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第8話 [ 初めての出会い ]

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「またな・・・かぁ、何か死人だけど気持ちの良い奴だったな。」

《トゥルルン♪トゥルルン♪トゥルルン♪》

《スキルゴウリキヲカクトクシマシタ》

「おっ3回鳴ったって事は一気にレベルが3上がったなぁ・・・後は剛力かぁ」

力はありそうだったもんなぁと転生させた男のことを思いながらステータスを開いてみる。

シュウト  オオヤマジ(15歳)

種族:人族?

職業:使徒

Lv5→Lv8

HP:65/65→101/101

MP:305/305→692/692

攻撃力:30→150

防御力:27→130  〈100000/100000〉

素早さ:65→89

器用:90→120

知力:285→379/379

運:139→189

適正値:光 ♾  闇  ♾  火  0  水  30  風  0  土  0

武器:剣鉈
             錆びた剣

防具:古い服
古い皮の鎧
古い皮の小手


スキル:転生   Lv1  水魔法(熟練度8%)生活魔法(熟練度15%)鑑定(熟練度8%)剛力<new>

称号:ドジ・サバイバルマスター・強運・転生者・発明家・女神の寵愛を受けし者・悪食<new>

加護:世界神の寵愛・創世神の加護

「おぉ予想通り脳筋だったんだなぁってかアイツに会う前に食べる分の魔石、全部食っといて良かった。」

脳筋も脳筋、攻撃力と防御力以外はレベルアップの恩恵しか受けてなかった。

「剛力かぁ・・・1回使う前に今の力がどの位か先ずは試してみるか」

俺はとりあえずスキルを使わずにその辺の石を拾い、助走は付けずに思いっきり投げると思ったよりも飛んで大体50mくらいは飛んだ。

「おぉーすげーめっちゃ飛んでたなぁ」

「じゃあ次はスキルを使ってみるか」

剛力!と心の中で唱え発動させてみると見た目は変わってないが何か力が湧いてくる感覚が会ったので、そのまま思いっきり投げると今度は75m位飛んでいった。

「大体1.5倍位は上がりそうだなぁ後はどの位この状態が続くのかだな」

そう思い暫く様子を見ていると5分位だろうか急に湧き上がっていた感覚がなくなり、代わりに脱力感が湧いてきた。

「ん・・・使い所を考えて使わないとダメだな」

そう思いながら1分位で脱力感が消えたのでもう一度使ってみようとしたが、今度は発動すらしなかった。

「クールタイムが必要なスキルなのか?まぁ熟練度とか無かったし、その可能性があるか」

スキルの事を考えながら草原をマップの示す方向へ歩いていると遠くの方から戦闘音が聞こえてきたので、マップを確認するとオレンジが1つと黄色が5つに青が3個と点滅している青が1つあった。

一様警戒しながら丁度良い所に少し高くなっている場所があったので背を低く保ちながら近づいみると馬車の方に怪我を負ったのだろう馬車に持たれかかってもう1人商人らしき人に介抱されており、残りの2人は前に襲われた風を操る狼?を牽制しながら一回り小さい狼?を1匹、斬り倒している所だった。

「ん・・・これはアレか異世界物でよくある助けた方がいいやつか?」

ってか前の時は真っ赤だったのにオレンジになってるって事は何とか俺でも倒せる可能性が出てきたのか?と考えてると介抱している方に一回り小さい方が1匹だけが近寄っていた。

「ん!?気付いてない?・・・えぇい!どうにでもなれ!!!」

俺はビビりながらその1匹を一撃の下に斬り伏せたが、俺が突然現れた所為で戦っている方の1人の意識が俺の方に向いた瞬間にデカい狼?が風を飛ばす予備動作を其奴にしていたので急いで其奴の下へ駆け寄り肩を掴んで引き寄せて、身代わりになる形で吹き飛ばされてしまった。

「グワ!」「キャッ!」

「誰だか知らんが今だ!」

もう1人の奴はそう叫んで俺を吹き飛ばして隙ができた狼?に斬り掛かり、右眼を潰すことが出来た。

狼?は危険を察したのか一旦は離れたが、右眼を潰された為に怒り狂いひと吠えし、距離を空けていた他の狼?と共に一斉に飛び掛っていった。

2人が何とか耐えているころ俺は自分の剣は折れ、防具も服もボロボロになったのを見て、少々落ち込んでいたが何とか耐えている2人を見て「あっ!ヤベそれどころじゃないや」と思い、剣鉈を取り出して、剛力を発動させ、2人の所へ戻っていき、小さい方の狼を1匹、また1匹と斬り伏せていった。

「誰だかは、知らんがすまない助かった。もう少しだけ付き合ってくれ!」

俺は「おう!」と声をかけると残り2匹の小さい方の狼?に斬りかかり倒してしまう。するとデカい方の狼?は形勢が不利だと思ったのか踵を返して逃げていった。

「ふぅ助かったぁ・・・あっ!アロン大丈夫か!?」

俺が身代わりになった奴はその場にへたり込み、もう1人は叫びながら介抱されている仲間の方に行った。

俺はへたり込んでいる奴に「大丈夫か?」と声をかけ立たせようと脇に手をやるとプヨンとした感覚が手に伝わった瞬間「キャッ!」「わ!ごめん」ビックリして急いで手を離した。

「だ、大丈夫。こっちこそゴメンなさい。手を貸してくれる?」

「あぁ」ちょっと同様しながら手を貸した。

「1つ聞いていい?」

「なんだ?」

「貴方、私のこと女って気付いてなかったでしょ」

「えっ!いやぁ・・・あのぅ・・・そのぅ・・・。」

「ふふっ気付いてなかったのね。」

「はい・・・すいません。」

「ふふっ良い人そうで良かった。」

俺たちは会話をしながら馬車の方に向かった。

「先程は有難う御座いました!貴方様が居なかったらこの馬車もこの者らもどうなっていたことか」

「いやぁこっちこそもう少し早く気付いていれば亡くなる方もいなくて済んだかも知れませんし」

馬車の周りには数名の死体と思われる残骸があった。

「いえ、此奴らは、馬車を襲ってきた盗賊か何かなので何も問題ないですし、護衛の1人負傷していますがポーションで持ち直しましたので。」

「そうだ、ありがとな!」

心配して駆け寄っていた男がそう言うと立ち上がって肩を叩いてきた。

「それにしてもお前大丈夫か?防具も服もボロボロじゃないか」

「身体だけは丈夫なんで見た目はボロボロだけど怪我もしてないし。」

「宜しければこのまま一緒に街に行って、御礼をさせて頂けませんか?」

「いやぁこんなボロボロ奴と一緒では迷惑になると思いますし、偶然居合わせただけですし。」

「いえいえ、それでは此方が困ります!助けて頂いた所為でボロボロになったのですし、ここまで酷い状態になってまで助けて頂いて何もしないのでは、人の道に恥じる行い!気にせず御礼をさせて下さい!それとも何方かにお急ぎで向かわれてるのですか?」

「いやぁ急ぎは無いですが・・・」

「気にすんなって!この旦那は言ったら聞かない人だが良い人だから、な!」

「お前は一言余計だ!」

バシ!と頭を叩いた。

男は「イッテ!」と言いながらまた介抱に戻った。

俺は苦笑しながら「では宜しくお願いします。」と言いながら荷物を取りに行き、戻ってきた。

「しかし本当に良かったんですか?もしかしたら盗賊の仲間とかもっと悪い奴かもしれないとか思わないんですか?」

「はっははは、その可能性を考えなかった訳ではありませんが、自身を犠牲にして赤の他人を救ける人を悪人とは思えませんし、これでも人を見る目には自信がありますし、鑑定も使えますので、失礼は承知で戦闘中に使わせてもらいました。」

「道理で何か覗かれてる感じがしたのは、その所為だったんですね」

「まぁ職業がら鑑定は必要なスキルでもあるので。」

「失礼を承知で聞きますが、どの程度鑑定出来るのですか?」

「そうですねぇ貴方なら良いでしょう。物であればほぼ全てが鑑定可能です。ただ神眼や魔眼ではないので生き物ですと名前や年齢それにランク、レベル位ですねシュウト様。」

「!    おぉ忘れていました。私の名はシュウト  オオヤマジです。」

「此方こそ申し訳ありません。私の名前はハロルド  マキシマムと申します。」

「俺はカインだ」

「自分はアロンです。皆を救ってくれてありがとうございます。」

「私はミミよ」

「そういえばそんな格好をしてるがシュウトは貴族なのか?」

「何故?」

「何故ってファミリーネームがあるから」

「えっ?そうなの?でも俺は貴族じゃないよ。じゃあハロルドさんは貴族なのですか?」

「商売上必要になったので、名乗らせて頂いてます。ところで先程から気になっていたのですがお持ちの袋にしているのは、ベアリザードの皮ではありませんか?」

「ベアリザード?かは分かりませんが鱗を持った熊でしたね。」

「クマ?・・・では、向こうの方にある森で現れましたか?」

ハロルドさんは、俺がいた森の方を指差しながらそう言ったのでこの世界の事を教えてもらえるように少し嘘を交えて話してみる事にした。

「おそらくそうですね。実はステータスで名前や年齢は分かるんですが気が付いたらあの森にいて、それ以前の記憶がないんですよ。何も持っていなかったですし。」

「お・・・そうなんですか・・・それは悪いことを聞いてしまいましたね。」

「いや、大丈夫ですよ。その為にも世界を回ろうかと思って旅をし始めたところだったんで。」

「で、1つ良いですか?この皮や袋の中に色々あるんで、価値や名前を教えて貰ってもいいですか?因みにこのベアリザードでしたか、その魔物は死んで直ぐのを見つけただけなんですけどね。」

そう言いながら袋を差し出すとハロルドさんはいい笑顔で「良いですよ」と言いながら受け取って中身と袋を鑑定しだした。

「しっかしあの森で何もない状態でよく生き延びれたなぁ剣や防具くらいは持ってたのか?」

カインはまだ足元の覚束無いアロンを馬車の荷台に乗せながら話しかけてきた。

「いや、最初に見つけたのはベアリザードの背中に刺さってた、この剣鉈だけだったよ」

「じゃあ魔法か?」

「いや今でこそ水魔法と生活魔法で火を付けたり、飲水を用意したりは出来るけど森にいた時はそれどころじゃなかったし、思い出す事も出来なかったから大変だったよ。」

俺はあまり嘘はつきたくなかったが、使っても熟練度の低さから疑われる事のない様に話をした。

「じゃあ飲み水は?何か?食う時はそのままか?」

「近くに川があったし、流石にそのままは食べるわけないだろ。」

「川ってあんな奥に居たのか!?」

「必死だったからなぁわからん。」

「まぁそうか気が付いたらって言ってたもんなぁ   それよりも何も持って無かったって言ったよなぁ」

「あぁそうだけどそれが何か?」

「何かじゃねぇよ!スクロールも無くてどうやって火を着けるんだよ!」

「どうやってって色々方法はあるだろう?」

「はぁ!?種火を残して置く以外スクロールか魔法だけだろ!」

「はぁ!?サバイバルを舐めんな!そんな事で1人何も無かったら生きて行けないぞ!」

「まぁまぁまぁお2人とも落ち着いて下さい。ちょっと良いですか?」

ハロルドさんはそう言いながら割って入ってきた。

「何ですか?どうされました?」

「シュウト様いいですか、通常火を起こす為には自身若しくは他者の魔法で着けるか金額はそこそこしますが、スクロールを使うかの2通りしか無いのです。だからカインの言う事の方が常識なのです。ですが、シュウト様はその他の方法をご存知との事ですが宜しいですか?」

「え?常識?本当にその他の方法は無いんですか?」

「はい、ですから他の方法がいかなるものかお教え願えないでしょうか?」

「あぁはい・・・え~と、袋の中にってあそこか」

ハロルドさんが鑑定の為に並べ始めていたのでその中から一様持ってきた竹を取りハロルドさんの下へ戻ってきた。

「え~とやるので見てもらっていいですか?」

「その前にその道具は火を着ける為の魔道具ですか?私にはバンブーの割った物にしか見えないので鑑定させて頂いても?」

「あぁいいですよ。」

「ふむぅ~やはりバンブーの破片としか出ませんねぇ」

「そんなもんで着くわけ無いじゃないかバカにするな!そんなんで着くって言うなら鼻から酒でも飲んでやるよ!」

「まぁ見てろよ、それにその言葉忘れるなよ!       ハロルドさんいいですか?」

そう言うと竹を受け取り剣鉈で削っているとハロルドさんから「何をしてるのですか?」と聞かれたので

「この削りカスに火種をつけ種火にする為の準備です。」

「なるほど・・・」と見ている姿は真剣そのものだった。

俺はそのまま火を着ける準備をして、簡単に火を着けてみた。

「おぉ凄い!本当に火が着いた。」

「何かしたんだろう!じゃなきゃ火が着く訳がねぇ!」

俺はカインがそう言うだろうと思ってたので、もう1つ用意していた物を渡して「擦るだけだからカインお前でも出来るさ」と煽ってみた。

そう言われ、何か仕掛けがないか魔力反応が無いか調べ、何もないのを確認すると俺と同じ様にやってみると簡単に火が着いた。

「あーーー負けた負けた。俺の負けだ!おもしれぇこれ誰でも出来るのか?」

カインは本当に嬉しそうに俺に聞いてきたので、苦笑しながら答えた。

「あぁミミさんでもハロルドさんでもある程度体重のある子供でも擦り合わせる時に体重をかけて何度も擦り合わせれば火は着くよ。」

「じゃあ私もやってみたい♪」

馬車の方で此方の様子を見ていたミミが声をかけてきたので、やり方を教えてやらせてみた。

「わっ!着いた♪着いた♪」

「では、私も・・・・・おぉ着きましたなぁ」

馬車で騒ぎを見てたアロンもやりたそうだったが、まだ無理が出来なかったので此方を見て羨ましそうにしていた。

「アロンはまた今度な!」と気づいたカインが声をかけると「俺はいい!」と馬車の奥に入っていった。

「何か悪いことしたなぁ・・・こんなに皆が愉しそうにするとは思わなくて。」

「いい、いい、生きてるんだから後でやらせればいいんだ!」

「そうだなってか鼻から酒を飲むんだっけ?」

「あ!しゃあねぇ街に着いたらやってやるよ!」

俺は苦笑しながら「冗談だよ。わかってくれたならそれでいいよ。」と返した。

「え!いいのか♪前にやった時は何日か鼻が痛かったから助かったぜ」

その言葉にやった事あるのかよと思いながら苦笑しているとハロルドさんが声をかけてきた。
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