雨の日のお伽噺

雨月 千疾

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人形

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後ろ姿の人がいた
椅子の上にたっていた
目の前には輪っかになっている
紐がぶら下がっていた
後ろ姿しか見えないけど
泣いている様子もなく
躊躇いなく首に縄を通した
椅子はあっけなく倒れ
首を芯としてブラブラしている
それは人形のようだった
『自殺出来るのは人間だけなんだよ』
僕の中でボクの声が響いた
動物は自分で死ぬことも出来ない
可哀想だな
『可哀想だなって考えるやつは馬鹿だ』
なんで?
人間の方が可哀想だから?
『そーだよ』
なんで?
『自分で考えたら』
人間なんて脆い生き物だからかな
『かもね』
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