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本編
復讐者
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「俺はっ!ずっとぉ!この!時を!待って!いたんだ!!」
「・・・奇遇だな。俺もだ」
清水は己が手に握った刀を震いストロング・ソルジャーを斬りにかかる。しかし、どう頑張ってもストロング・ソルジャーにあたる事はなく、次第に斬撃を繰り出す体力が削られていく。
「ぜえ・・・ぜえ・・・ど、どうしてだ!?何で当たらねえ!」
清水の怒りは限界を突破し振り切れた事で逆に普段よりも頭が冷静になっていた。
幼い頃から鍛えてきた剣の腕も上手く使いこなせている。なのに────何故なのだろう。攻撃が当たらないのだ。
斬撃どころか、斬撃の余波として現れる風すらもストロング・ソルジャーには当たらないのだ。
すると、当たらない事に苛立ちを覚えた清水は更に刀を振るスピードを上げ、何としてでも刃をストロング・ソルジャーに当てようと試みる。
しかし、それは逆効果。意味が無い所か自身を不利に陥らせるものだった。
「・・・・・・」
「おらおら!どうした!?避けていてばかりでは俺には勝てないぞ!!」
「・・・・・・」
清水が攻撃を繰り返す一方でストロング・ソルジャーは避けのみを繰り返していた。
避けて避けてまた避けて。特に焦る様子を見せなかった。むしろ時間が経つにつれて余裕を持って避けているようにも見える。
代わり映えしない行動。いつまでも終わらない状況。終止符を打ったのはストロング・ソルジャーだった。
「・・・・・ふっ!」
バキッ!
「なっ・・・!!俺の・・・刀が・・・」
先程まで斬撃を放っていた清水の刀は呆気なくストロング・ソルジャーの横からのパンチで真っ二つに折れてしまったのだ。
得意の武器を奪われた清水は糸が切れた操り人形の如くその場にへたれこんでしまう。
「ウソ・・・だろ・・・俺の十八番だぞ・・・それを息を切らす事なく呆気なく・・・」
清水はストロング・ソルジャーに復讐したい。父の無念を晴らしたい思いで今日まで組の運営と兼ねて鍛練を続けてきた。
ボクシング、柔道、空手、剣道、居合、弓道、狙撃。
様々な技術を身につけた清水は身の丈以上の実力を手にし、どんなに背丈の高い巨漢だろうと難なく倒せるようになっていた。
なのに、だ。彼は自分と大して背丈の変わらない者にやられた。戦意を奪われてしまった。
これを意味するのは完全なる実力差の壁。今の自分では到底壊せきれない強固な壁である。
「あ・・・あ・・・」
「・・・どうした?もう終わりか?」
「ああ・・・お前には勝てない。今刀を折られた事で気づいた」
今の清水につい5分前のような復讐心と闘争心は無い。虚無である。彼の心には何も無くなってしまった。
「・・・そうか」
敵対者の戦意喪失を確認したストロング・ソルジャーは戦闘体勢を解除し、警察から借りた手錠を清水の手にかける。
「これで・・・新清水組は終わりだ。早く部下達に言え。戦いは終わりだと」
「ああ・・・その前に1つ質問良いか?」
「・・・何だ」
「俺はお前を殺すという目的で今日まで生きてきた。所謂復讐心というヤツだ・・・」
「ああ・・・」
「お前は、何で動いている?」
「・・・・・・お前と同じさ」
思いも寄らなかった解答に清水は思わず顔を上げ、ストロング・ソルジャーの仮面を見つめる。
「今の俺はヒーローなんかではない。復讐者さ」
その声色に偽りは見えなかった。
「・・・奇遇だな。俺もだ」
清水は己が手に握った刀を震いストロング・ソルジャーを斬りにかかる。しかし、どう頑張ってもストロング・ソルジャーにあたる事はなく、次第に斬撃を繰り出す体力が削られていく。
「ぜえ・・・ぜえ・・・ど、どうしてだ!?何で当たらねえ!」
清水の怒りは限界を突破し振り切れた事で逆に普段よりも頭が冷静になっていた。
幼い頃から鍛えてきた剣の腕も上手く使いこなせている。なのに────何故なのだろう。攻撃が当たらないのだ。
斬撃どころか、斬撃の余波として現れる風すらもストロング・ソルジャーには当たらないのだ。
すると、当たらない事に苛立ちを覚えた清水は更に刀を振るスピードを上げ、何としてでも刃をストロング・ソルジャーに当てようと試みる。
しかし、それは逆効果。意味が無い所か自身を不利に陥らせるものだった。
「・・・・・・」
「おらおら!どうした!?避けていてばかりでは俺には勝てないぞ!!」
「・・・・・・」
清水が攻撃を繰り返す一方でストロング・ソルジャーは避けのみを繰り返していた。
避けて避けてまた避けて。特に焦る様子を見せなかった。むしろ時間が経つにつれて余裕を持って避けているようにも見える。
代わり映えしない行動。いつまでも終わらない状況。終止符を打ったのはストロング・ソルジャーだった。
「・・・・・ふっ!」
バキッ!
「なっ・・・!!俺の・・・刀が・・・」
先程まで斬撃を放っていた清水の刀は呆気なくストロング・ソルジャーの横からのパンチで真っ二つに折れてしまったのだ。
得意の武器を奪われた清水は糸が切れた操り人形の如くその場にへたれこんでしまう。
「ウソ・・・だろ・・・俺の十八番だぞ・・・それを息を切らす事なく呆気なく・・・」
清水はストロング・ソルジャーに復讐したい。父の無念を晴らしたい思いで今日まで組の運営と兼ねて鍛練を続けてきた。
ボクシング、柔道、空手、剣道、居合、弓道、狙撃。
様々な技術を身につけた清水は身の丈以上の実力を手にし、どんなに背丈の高い巨漢だろうと難なく倒せるようになっていた。
なのに、だ。彼は自分と大して背丈の変わらない者にやられた。戦意を奪われてしまった。
これを意味するのは完全なる実力差の壁。今の自分では到底壊せきれない強固な壁である。
「あ・・・あ・・・」
「・・・どうした?もう終わりか?」
「ああ・・・お前には勝てない。今刀を折られた事で気づいた」
今の清水につい5分前のような復讐心と闘争心は無い。虚無である。彼の心には何も無くなってしまった。
「・・・そうか」
敵対者の戦意喪失を確認したストロング・ソルジャーは戦闘体勢を解除し、警察から借りた手錠を清水の手にかける。
「これで・・・新清水組は終わりだ。早く部下達に言え。戦いは終わりだと」
「ああ・・・その前に1つ質問良いか?」
「・・・何だ」
「俺はお前を殺すという目的で今日まで生きてきた。所謂復讐心というヤツだ・・・」
「ああ・・・」
「お前は、何で動いている?」
「・・・・・・お前と同じさ」
思いも寄らなかった解答に清水は思わず顔を上げ、ストロング・ソルジャーの仮面を見つめる。
「今の俺はヒーローなんかではない。復讐者さ」
その声色に偽りは見えなかった。
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