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本編

大きな手掛かり

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「・・・それは災難だったな」

「はい・・・ふわぁ・・・眠い」

 睡眠不足で目が半開きの茜は出勤早々、月島に昨日の夜に謎の人物『SS』から届いた謎のメールを見せようとしていた。

「茜君はもう読んだのかい?」

「いえ、読んでないです。読む前にメール送ってから読もうと思ったんですけど、送ったメールの返しが完全に私を知ってるようで怖くて見る事ができなかったです・・・」

「そうか。じゃあ、開くとしよう」

「え?そんなにあっさり開いちゃうんですか?もし、殺人予告だったら?」

「殺人予告なら尚更見なきゃいけないだろう。それに清水組についての情報が知れるなら藁にもすがる気持ちで見るさ」

 今、私達が手に入れた情報は新山さんと町田さんが勤める研究施設を通ったという事のみ。今はどんな手を使ってでも新たな有力な情報が欲しいのが現状。しかし、一歩が踏み出せなかった為、月島警部補にメールを開いてもらうことにする。

「・・・・・・」

「け、警部補・・・どんな内容ですか?」

「これは・・・・・・凄い」

「・・・え?」

「見てくれ。このメールには俺らの逆転の可能性が記されてる!」

「逆転!?」
 
私は急いでメールの内容を見る。読み始めた瞬間、全身に鳥肌が立つのが分かった。

 月島警部補の言う通り、メールは私達警察の逆転劇を巻き起こせる火種そのものだった。

 私は目を全力で開いてメール内容を読む。

『7月29日 午後22時30分。池袋アニメイト前の公演にて麻薬の取引がある。取引をしきるのは清水組の息のかかったチンピラだ。なるべく大勢を連れて向かってくれ』

「つまり、このメールに書いて通りにすれば────」

「清水組と関係を持つヤツを捕まえ、一昨日の殺人事件を起こした黒ずくめの男を捕まえられる・・・」

 情報を得られてうれしい反面、あまりに細かく書かれた詳細に不信感を抱いてしまう。

 何故、このSSという人物は私達警察にこんなに親身になってくれるのか?もしかしたら警察側の人間なのだろうか。

「あり得なくはないが・・・もし、警察側の人間ならば、俺らに直接伝えれば良いんじゃないか?」

「確かに・・・なら、誰が?」

「さあな。でも、確かめてみる価値はありそうだ。人員をいつもの3倍に増やしてな」

 月島警部補も乗り気ではあるが、やはり嘘という可能性が否めない様子だ。

「当然、茜君も来るよな?」

「はい!勿論ですっ!」

 謎の人物SSが警視庁でも、月島警部補でもなく、私にメールで情報を送ったのは何か意味があるはず。

 ならば、その意味を知るためにも私は最後までこの事件に立ち向かわなければならない・・・!!
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