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ガイアリザード暴走事件part2
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「ジン!遅いよ!何やってたのさ!」
後ろから少女の声が聞こえてくる。
どうやら間に合ったようだ。
「ごめんごめん。逃げる人達に邪魔されちゃてね」
僕の握る剣をガイアリザードは噛んでいた。
本当に間一髪だった、あと少し遅れたらガイアリザードの強靱な顎で噛み砕かれている所だった。
「2人は良いからここから離れて。後は僕1人で十分だか──らっ!!」
『ぐおっ!!』
ガイアリザードが剣を噛んだまま離そうとしないので、思いっきり顎に蹴りを入れる。
ふるとすぐに口が開き、やっと剣が抜けた。
「さてと、ちょっと悪いが、仕留めさせてもらうぞ」
さっきの蹴りでかなり頭に血が昇ったらしく、今にも切れそうだ。
『がぁあああああああああ!!』
僕に向かってガイアリザードは突進してくる。
試合開始だ。
ガイアリザードとジンさんの戦いは明らかにジンさんが有利だった。
ガイアリザードの噛みつき攻撃を華麗によけて、カウンター攻撃で体に斬撃を叩き込んでいく。
ガイアリザードの最大の特徴である岩のように硬い皮膚はあっという間に血だらけになってしまっていた。
ガイアリザードの息は切られるごとに荒くなり、いつ倒れてもおかしくはない。
「早く倒れてくれ。僕はもう・・・切りたくない」
小さかったが、切りたくないと確かに聞こえた。
何処のペットショップで売られていたガイアリザードかは分からないが、モンスターを愛するジンさんはもう傷つけたくないのだろう。
しかし、その願いも虚しくガイアリザードは血だらけの体でジンさんに突進していった。
「ふんっ!!」
空高く飛んで突進をかわす。
そのままガイアリザードの背中へと降りて、硬い背中に手に握りられた剣を深く突き刺した。
『ぐぇえええ・・・』
暴れることなく、ズーンと地面に伏せてしまう。
するとガイアリザードはゆっくりと目蓋を閉じた。
「すまない・・・」
この後ガイアリザードは2度と目を開けることはなかった。
また殺めてしまった。
人間の害になるからといって立派に生きていた生き物を。
何故人は興味をなくしたらすぐに捨てる。
僕には理解が出来なかった。
悲しくはないのだろうか。共に1つ屋根の下で暮らしていた生き物を殺されて。
悲しかったら出てきて謝ってほしい。
僕はそう願うばかりだった。
「ん?何だこれ?」
死骸の近くに何やら紫色に輝く石を見つける。
手にとって眺めてみた。
「これは・・・」
「メルー!良かったー!本当に良かったぁー!ありがとうございます!」
「いえいえ大した事はしていません」
「ありがとう魔族のお姉ちゃん!!」
「どういたしまして。もう離れないようにね」
バイバイと手を振りながら、リアリさんに助けられた女の子は母親と手を繋いで、人混みへと消えていった。
「ふう~死ぬかと思ったー!メイル大丈夫だった?」
「凄いですねリアリさん。あんなでっかいガイアリザードがいるのに女の子を助けに行くなんて・・・」
「いやー、そんな事ないよ。私なんて勇気だけが取り柄だし」
なんでだろう近付けない。
いつものリアリさんなのに近づけない。
「ど、どうしたのねえ?なんで離れようとするの?」
「すいません。何だがリアリさんがとても眩しくて・・・」
「ん?別に私光ってなんかないよ?」
「そ、そういう意味じゃなくて・・・」
私はリアリさんが女の子を助けているとき自分も行こうとしたけど、足が動かなかった事を話した。
すると、リアリさんは私がショボくれているのとは裏腹にニコニコと笑顔を作ってぽんぽんと私の肩を叩く。
「いや、しょうがないよもし私がいなかったらあの状況だったら絶対に誰もあの女の子を助けなかったと思うよ。あれはただ単に私が他の人よりも勇気があるだけよ」
「お前のは勇気じゃなくてただのバカだろがっ!!」
「あだ!」
バシッとリアリさんの頭をチョップしたのはジンさんだった。
ジンさんの顔はいつものニコニコ笑顔ではなく、とても怒っている顔だ。
「お前はいつもそうだ!後の事を考えずにズカズカと先へと進んでいってしまう。だからこの前だって──」
「だあぁ!やめてやめて!もうこれ以上言わないでなんでジンはいつも私がカッコつけてる時に邪魔をするかな・・・」
涙目でチョップされた脳天を自分でなでながらジンさんに訴えるとやれやれと右手で頭を押さえる。
「お前はカッコつけてると思っているかも知れないけど、さっき言った通りお前は勇気があるんじゃなくて後先考えずに行動しちゃうバカだ。だからもうちょっと行動を慎め。良いな?」
「分かったわよ・・・」
こっぴどく叱られたリアリさんはさっきの私よりショボくれてしまう。
ちょっと言い過ぎてはないのでしょうかジンさん?
「別に言い過ぎではないさ、こいつは君が入る前にもけっこう危険な事をやらかしてるんだ。このぐらいじゃまだ足りない」
「ちょ、ちょっと!ジンさん!また私の心を───」
「あと、メイルさん。君は決して勇気がない訳じゃない。少なくともガイアリザードを見て逃げる人達よりかは全然勇気がある。だから自己嫌悪をしないでくれ。良いな?」
「は、はい・・・」
気を付けなさいと言うと彼はいつものニコニコとした笑顔へと戻り、その場から去ってしまった。
いつもなら心を勝手に読まないで下さいと怒って終わるのだが、今日のジンさんにはなんだが口答えが出来なかった。
なんだか分からないが、オーラのような物が感じられた。
しかし、本当に私は他の人よりも勇気があるのだろうか。
まだ自分の中に自分でもまだ分かっていない勇気があるのかもしれない。
「何故だ?何故魔晶石がガイアリザードの中から?」
モンスターが町の中で暴れるのはあまり珍しいことではないので、あまり驚かなかったが、暴れたガイアリザードの中から出てきた物に驚いた。
ゴーレムから採取できる魔晶石が出てきたのだから。
最初は誰かが落としたのかもしれないと思っていたが、いざ持ってみるとベットリと胃液がついていたのだ。
これから仮定出来る事はガイアリザードの胃の中に入っていたかもしれないという事。
だとすると緊急事態だ。
「早く騎士団の皆に伝えないと!!」
僕は猛スピードで騎士団の元へと走っていった。
後ろから少女の声が聞こえてくる。
どうやら間に合ったようだ。
「ごめんごめん。逃げる人達に邪魔されちゃてね」
僕の握る剣をガイアリザードは噛んでいた。
本当に間一髪だった、あと少し遅れたらガイアリザードの強靱な顎で噛み砕かれている所だった。
「2人は良いからここから離れて。後は僕1人で十分だか──らっ!!」
『ぐおっ!!』
ガイアリザードが剣を噛んだまま離そうとしないので、思いっきり顎に蹴りを入れる。
ふるとすぐに口が開き、やっと剣が抜けた。
「さてと、ちょっと悪いが、仕留めさせてもらうぞ」
さっきの蹴りでかなり頭に血が昇ったらしく、今にも切れそうだ。
『がぁあああああああああ!!』
僕に向かってガイアリザードは突進してくる。
試合開始だ。
ガイアリザードとジンさんの戦いは明らかにジンさんが有利だった。
ガイアリザードの噛みつき攻撃を華麗によけて、カウンター攻撃で体に斬撃を叩き込んでいく。
ガイアリザードの最大の特徴である岩のように硬い皮膚はあっという間に血だらけになってしまっていた。
ガイアリザードの息は切られるごとに荒くなり、いつ倒れてもおかしくはない。
「早く倒れてくれ。僕はもう・・・切りたくない」
小さかったが、切りたくないと確かに聞こえた。
何処のペットショップで売られていたガイアリザードかは分からないが、モンスターを愛するジンさんはもう傷つけたくないのだろう。
しかし、その願いも虚しくガイアリザードは血だらけの体でジンさんに突進していった。
「ふんっ!!」
空高く飛んで突進をかわす。
そのままガイアリザードの背中へと降りて、硬い背中に手に握りられた剣を深く突き刺した。
『ぐぇえええ・・・』
暴れることなく、ズーンと地面に伏せてしまう。
するとガイアリザードはゆっくりと目蓋を閉じた。
「すまない・・・」
この後ガイアリザードは2度と目を開けることはなかった。
また殺めてしまった。
人間の害になるからといって立派に生きていた生き物を。
何故人は興味をなくしたらすぐに捨てる。
僕には理解が出来なかった。
悲しくはないのだろうか。共に1つ屋根の下で暮らしていた生き物を殺されて。
悲しかったら出てきて謝ってほしい。
僕はそう願うばかりだった。
「ん?何だこれ?」
死骸の近くに何やら紫色に輝く石を見つける。
手にとって眺めてみた。
「これは・・・」
「メルー!良かったー!本当に良かったぁー!ありがとうございます!」
「いえいえ大した事はしていません」
「ありがとう魔族のお姉ちゃん!!」
「どういたしまして。もう離れないようにね」
バイバイと手を振りながら、リアリさんに助けられた女の子は母親と手を繋いで、人混みへと消えていった。
「ふう~死ぬかと思ったー!メイル大丈夫だった?」
「凄いですねリアリさん。あんなでっかいガイアリザードがいるのに女の子を助けに行くなんて・・・」
「いやー、そんな事ないよ。私なんて勇気だけが取り柄だし」
なんでだろう近付けない。
いつものリアリさんなのに近づけない。
「ど、どうしたのねえ?なんで離れようとするの?」
「すいません。何だがリアリさんがとても眩しくて・・・」
「ん?別に私光ってなんかないよ?」
「そ、そういう意味じゃなくて・・・」
私はリアリさんが女の子を助けているとき自分も行こうとしたけど、足が動かなかった事を話した。
すると、リアリさんは私がショボくれているのとは裏腹にニコニコと笑顔を作ってぽんぽんと私の肩を叩く。
「いや、しょうがないよもし私がいなかったらあの状況だったら絶対に誰もあの女の子を助けなかったと思うよ。あれはただ単に私が他の人よりも勇気があるだけよ」
「お前のは勇気じゃなくてただのバカだろがっ!!」
「あだ!」
バシッとリアリさんの頭をチョップしたのはジンさんだった。
ジンさんの顔はいつものニコニコ笑顔ではなく、とても怒っている顔だ。
「お前はいつもそうだ!後の事を考えずにズカズカと先へと進んでいってしまう。だからこの前だって──」
「だあぁ!やめてやめて!もうこれ以上言わないでなんでジンはいつも私がカッコつけてる時に邪魔をするかな・・・」
涙目でチョップされた脳天を自分でなでながらジンさんに訴えるとやれやれと右手で頭を押さえる。
「お前はカッコつけてると思っているかも知れないけど、さっき言った通りお前は勇気があるんじゃなくて後先考えずに行動しちゃうバカだ。だからもうちょっと行動を慎め。良いな?」
「分かったわよ・・・」
こっぴどく叱られたリアリさんはさっきの私よりショボくれてしまう。
ちょっと言い過ぎてはないのでしょうかジンさん?
「別に言い過ぎではないさ、こいつは君が入る前にもけっこう危険な事をやらかしてるんだ。このぐらいじゃまだ足りない」
「ちょ、ちょっと!ジンさん!また私の心を───」
「あと、メイルさん。君は決して勇気がない訳じゃない。少なくともガイアリザードを見て逃げる人達よりかは全然勇気がある。だから自己嫌悪をしないでくれ。良いな?」
「は、はい・・・」
気を付けなさいと言うと彼はいつものニコニコとした笑顔へと戻り、その場から去ってしまった。
いつもなら心を勝手に読まないで下さいと怒って終わるのだが、今日のジンさんにはなんだが口答えが出来なかった。
なんだか分からないが、オーラのような物が感じられた。
しかし、本当に私は他の人よりも勇気があるのだろうか。
まだ自分の中に自分でもまだ分かっていない勇気があるのかもしれない。
「何故だ?何故魔晶石がガイアリザードの中から?」
モンスターが町の中で暴れるのはあまり珍しいことではないので、あまり驚かなかったが、暴れたガイアリザードの中から出てきた物に驚いた。
ゴーレムから採取できる魔晶石が出てきたのだから。
最初は誰かが落としたのかもしれないと思っていたが、いざ持ってみるとベットリと胃液がついていたのだ。
これから仮定出来る事はガイアリザードの胃の中に入っていたかもしれないという事。
だとすると緊急事態だ。
「早く騎士団の皆に伝えないと!!」
僕は猛スピードで騎士団の元へと走っていった。
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