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店内

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「え・・・え・・・」
 言葉が出なかった。
 何故かと言うとお客様に売る動物達を飼育する檻には猫や犬ではなく──。
 モンスターが入っていたのだから。
「ぎゃあああああああああああ!!」
「ど、どうしたのメイルさん!?何かあった?」
 横でのほほんとした顔で立っていた店長さんは私の絶叫に肩をビクッとさせて驚く。
「ててて店長!何でモンスターが飼育用の檻に!!」
 モンスター。
 人に害を与える有害生物の総称。
 私はあまりモンスターに関しては詳しくないが、檻に入っている生き物はどう見ても犬や猫のような動物には見えなかった。
「え?だってここモンスターだけを取り扱うペットショップだよ?多分バイト募集のポスターにも書いてあっと思うんだけど・・・」
「そんな事書いて・・・ん?待てよ」
 つい3日前の記憶を辿ってみる。
 このペットショップのバイト募集のポスターを見つけた日だ。
 そして私の記憶の中のポスターには『モンスターを取り扱うペットショップです!』と大きくも小さくもない字で書かれていた。
 ・・・そういえばそうだった。
 どうやらあまりの緊張で忘れていたらしい。
「すいません・・・普通に書いてありました」
「だよね!良かったぁ~一瞬ビックリしちゃったよ!」
「アハハ・・・」
 これはかなりヤバイかもしれない。
 やっぱりここでは働けなさそうですというのは容易いがこんな良い人そうな人にそんな事言えない!
(どうしよう本当にヤバイ・・・勇気を持ってここでは働けないって言うか?いや、そんな事したら来月の家賃が・・・)
 私が働く事を決めた理由は1つ。
 お金が無くなったからだ。
 一人暮らしを始めて早2年。今まで私は親の仕送りで生きてきていた。
 朝から晩までぐーたらと生活をしていた。
 とても楽しい毎日だった。
 しかしそれが不味かった。
 親はいい加減働けと言い私に仕送りをしなくなってしまったのだ。
 このままだとアパートを追い出されて凍え死ぬと危機感を持った私はバイトを死物狂いで探し、やっと働く先を見つけたのである。
 しかしその今から働く場所がまさかのモンスター専門のペットショップ!これまでのぐーたら生活が祟ったのだろうか。
(どうする・・・どうする私・・・!)
「店長・・・」
「ん?何かな?」
「これからよろしくお願いします!」
 背に腹は変えられないとにかく普通のバイトが見つかるまでここで働く事にしよう。
 幸い店長は優しいし、若いし、かっこいいし。
 仕事内容以外は完璧な仕事先かもしれない。
「よろしくねメイルさん。俺の事はジンって呼んでね」
 ジンさん・・・とても覚えやすい名前だった。
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