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最終章 勝利の為なら手段は選ばず

176話 魔王軍、勝利

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「あぁぁぁぁぁ!!ちょっとごめん!火傷が!痛い!」

「あ、ごめんなさい・・・シーム?シームは何処?」

 天使がまだ残る戦場で、癒しの魔法の使い手であるシームを探す。幸いにも、彼女はすぐに見つかった。

「あの一撃からよくこの程度で済ませられましたね。でも、これだと少し痕が残ってしまうかもしれません。今は痛み止めで我慢してもらって後でゆっくりと傷が残らないように治療しましょう。幸い、戦いは終わったようですし・・・」

 周りの天使達をよく見ると、魔王軍兵に武器を突き付けられた状態で手を挙げている。指揮を行っていたウリエルが死んで、士気がガクンと落ち、戦意を失ってしまったのだろう。

 どうしていいか分からない天使達に向かって魔王様が叫ぶ。

「聞け!ニグンの天使達よ!たった今、ウリエルは倒された。お前達が四大天使を崇める者達は全員死んだ!我々の勝利である!それでもなお、戦いたい、仇を撃ちたいと思うのならば、かかって来い!妾が相手になろう!!」

 ギロリと獲物を狙う肉食獣のような目で天使達を睨みつけ、威嚇。すると、天使達はエンデ城の方へと向かって言った。僕達も追いかけていく事にする。

 門から入城し、階段を昇り、謁見の間に入る。天界へと続くゲートは、謁見の間に発生していたらしい。

 追ってきた僕達を見て殺されるとでも思ったのか、天使達は悲鳴を上げながらゲートへ直行。僕達は全ての天使が入りきるまで監視し続けた。

「おいお前!お前で最後か!?」

「は、はいぃぃぃ!そうですぅ!その通りですぅぅぅ!!」

「なら、お前が閉じろ。5分以内にな」

「閉じられなかったら?」

「闇の魔法をぶっ放す。1分経過ごとに一発な」

「わわわ分かりマシたぁぁぁぁ!!」

 ビビった天使は慌てて作業を始める。どうやら誰でもできる作業らしい。成人が一気に3人出れる大きさのゲートがどんどん小さくなっていき、ついには成人男性1人通り抜けられそうな大きさにまで至る。

「もう2度と、攻めてこようとだなんて思わないでね」

「勿論です!絶対に絶対に!攻めようだなんてしませ────あ」

 ゲートを閉じていた天使の手と口がピタリと止まる。後ろを振り向き、こちらを見ようとしない。途中になって嘘だよーんとかそういうわけではないみたいだ。

 ゲートの奥、天界から叫び声が聞こえる。

「させぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんん!!」

 叫び声と共に猛スピードで走ってきてゲートに突っ込んできたのは、けむくじゃらの男。背中には6本の翼が生え、程よい筋肉が付いている。

「まだだぁ!まだ勝負は終わっていないぞぉぉぉぉぉぉ!!」

「男神ニグン様!?」

 シームさんが驚きの声を上げる。大分、神とは思えない登場と、形相にその場にいる誰もがドン引きした。 
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