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最終章 勝利の為なら手段は選ばず

162話 順番に対処していく

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「わたし達が現状で処理しなければいけないのは、大きく分けて3つだ。それが何か分かるかい?」

「ええと、接近戦を仕掛けてくるエンデ兵と、遠距離で攻撃してくるエンデ兵。そして、上空を舞う天使ですか?」

「その通り。遠距離攻撃の兵士はアスタロトに任せておいて構わないだろう。接近戦の兵士はわたし達研究者に任せておきたまえ。君は、天使を対峙次第、殺さずに捕まえて・・・あとは分かるね?」

「第2プランですね。分かりました」

「だいぶ酷いとは思うが、我慢だ。では、よろしく頼むよ」

 酷い事なんてこの2度目の人生で何度も行って来た。今更、抵抗感などない。

 天使に見えるように、誰もいない位置に立つ。剣は構えず、ただ無防備な姿だけを見せる。

 すると、天使が1人僕を見つける。ありがたい事に僕の名前は天界にも行き届いている。ヒュームの身でありながら、エンデを裏切った裏切り者だと。勇者をエンデから奪った危険人物だと。

 天使は美しい顔から、歯を剥き出しにして、光の槍を構える。

「見つけたぞ!裏切り者ぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 戦場のど真ん中で、剣も構えずに無防備な状態で立っているという違和感を感じずに光の槍を投擲。

 無防備にしながらも、投擲される槍をしっかりと視認していたアルは、難なく槍を避け、何事も無かったかのように元の位置に立ち直す。

 中指を立てるよりも、相手の怒りを煽る挑発である。

 お前の攻撃なんて、油断してても当たらないよ。お前なんていなくても何も変わらない。と相手に思い込ませる事ができる。

「き、さまぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 さぞ、プライドのこもった自慢の投擲だったのだろう。避けられてプライドをズタズタに引き裂かれた天使は急降下。新たに光の剣を作り出し、僕に向かって特攻を仕掛けてくる。

 数字にして、時速160km以上は出ているだろう。天使の体重も加わって、当たったらとてつもないダメージを僕は追うことになる。なら、さっさと良ければ良い話だが、恐らく避けてもついてくるだろう。

 天使は最高速度で急降下して来ていない。ある程度操縦が効くように速度を落としている。だから、ここで捕まえる。どうやってかって?それは勿論─────。

「シャドウ・ハンド!!」

「何だとぉぉぉ!!」

 影の手でだ。僕は、無防備な状態を見せていただけで、無防備になっていたわけではない。予め自分の影に、シャドウ・ハンドを潜ませていたのだ。

 僕の影から飛び出したシャドウ・ハンドは急降下してくる天使を掴んで速度を落とし、拘束。その後、人力ではおよそ出せない力で、全身の骨を粉砕した。

「ぐえぇぇぇ!?」

「捕獲成功!!バール様!捕獲に成功しました!」

「流石はアルだ!たった1人でやってのけるなんてねぇ。他の者達も9体集めた。さあ、始めようじゃないか。作戦を!!」

 新魔王軍始まって以来の最悪の作戦が今、始まる。
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