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6章 アルフォース・ディナスという異端

142話 一皮剥けたねぇ

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 アルが7番目の道に向かってから30分は経つかなぁ?まるで後ろから帰ってくる様子がない。

 これはもしかしなくても、見つけたみたいだ。たった1発で。

「女神ダネスのお導きかねぇ?神というのも捨てたもんじゃなかったというわけだ」

「当然だろう。我々を創造した神だ。こんなに近づいたら導いてくれるに決まっている」

「にしては、かなり道を間違えたけどね」

「間違えすぎたから気を遣って下さったんだろう」

「それはそうかも」

 少し休んだお陰で、立ち上がって、ケルビムと遊んであげるくらいには体力が戻った。10年くらい前は子供は嫌いだと思っていたんだが、案外、そうだもないみたいだ。

 いや、子供の質が良かっただけかもしれない。アルとケルビム。どっちもわたしには勿体無いくらいの良い子だからねぇ・・・。

「アルを拾ったのは、彼がヒュームでありながら、闇の魔法属性を持っていた事に興味を惹かれたと言っていたな」

「ああ、そうだね。彼のお陰で充実した8年となったよ。一気にエンデの侵略も終わったしねぇ」

「そして、今日アルが闇の魔法属性を持っている判明する。となると、お前の興味の対象から外れるわけだ」

「・・・そうなるねぇ。何が言いたい?」

「よかったらアルを妾にくれないか?アイツは非常に有能だ。是非とも隣に置いておきたい。それに、かなり特殊ではあるが、アイツとは親族だしな」

 やっぱり、ルシフェルはアルを気に入っていたみたいだ。言う事もしっかり聞いてくれる上に任務もそつなくこなす。アスタロトも言っていたが、わたしの元で雑用として扱うには非常に勿体無い。

「ふぅむ、困った。忠誠を誓った魔王様からのお願いだ。これは聞かなくてはならない。それに、アルを持て余している自覚はあるからねぇ~」

 だが!

「断らせてもらうよ。アルはわたしのモノさ。誰にも渡さないよ」

「それは何故だ?」

「アルはわたしがいなくても生きていけるだろうけど、わたしはダメだろうからねぇ。つまりは生活必需品というわけさ」

「・・・非常に惜しいが、まあ良い。許す」

「ありがとうねぇ、ルシフェル」

「ここでは魔王と呼べ。ケルビムがいるだろう・・・ケルビム?」

 おや?ケルビムがいない。1分程しか話していないのに何処に行ったのだろうか?

 辺りを見渡していると、7番目の道の前に立って、神の炎を構えていた。敵かな?

 ・・・いや、違う。この魔力は何だ?濃度も量も桁違い。調子の良いわたしの2倍はあるぞ。一体誰が出してる?

「遅くなってすみません。神殿、見つけました」

「・・・アルかい?」

「はい、ただいま戻りました」

 異常な魔力の発生源はアルだった。30分前まではあんな魔力は出していなかったのにどうして?神殿で女神ダネスと接触して、転生者としての力を発揮したのか?

「案内しますので、必要な物を持ち帰って帰りましょう。もう歩けますか?」

「あ、ああ!勿論だ!!しかし、アル。どうしたんだ?その、魔力は・・・」

「これですか?これはちょっと、自分を受け入れました。詳しい話は後にしますんで、さっさとこっから帰りましょう!!」

 見た目は変わらないが、中身が変わってしまった。ついでに、前よりも性格が爽やかになっていたような気がした。

 非常に興味深い。後で、しっかりと訳を説明してもらおうかねぇ・・・。
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