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6章 アルフォース・ディナスという異端

132話 アルの正体

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「字が汚くて読み難い・・・」

「どれどれ?読んでみようじゃないか」

 父さんの日記は、殴り書きのように書かれていて汚い。性格の粗暴さが文字に出ているのだろうか?

「さぁて、と・・・・・おお!意外だ!息子である君を褒めちぎる言葉が書いてあるぞ!」

「3歳過ぎてからは最悪だと思いますよ。でも、なんて書いているのか気になりますね・・・どんな感じで褒められてるんですか?」

「えっとねぇ・・・たった3ヶ月でしゃべれた事を褒めちぎってる。何だか普通に子供の成長を願っている父親の日記だねぇ・・・」

「そうですね・・・」

「だけども、君は幼い頃からこんなに喋れたのかい?」

「ああ~はい。何故かは分からないんですけど・・・」

 実は転生者というのが理由なのだが、色々と説明が面倒くさそうだし、信じてくれなさそうだし言わないでおこう。

「ん?君、覚えているのかい?生後3ヶ月の出来事をしっかりと記憶しているのかい?」

「えっ!?ええ、まあ・・・」

「面白いねぇ・・・子供は、一定の年数が立たなければ、物心がつかないはずなんだけどねぇ・・・君はたった3ヶ月でそれを獲得してしまっている。はっきり言って天才だ」

「そうですかね?」

「まあ、天才というよりは特殊と言った方が良いかな?だけども、今の君からはそんな片鱗は感じられない。少し才能がある闇属性のヒュームだ」

「それって褒めてます!?」

「いや、客観的な評価さ。もしかしたら、闇の魔法属性の影響が脳に影響出ていたのかもしれないねぇ」

「ヒュームが魔法属性を得るのは3歳だと聞く。0歳の頃からそんな事があり得るのか?」

「そう言われると確かにそうだ・・・アルは本当に知らないのかい?」

「はい、全く・・・」

 転生者と言っても信じはしない。だから、知らないを貫くとしよう・・・としたのだが。

「んん?アル、君今嘘ついたね?」

「えっ!?付いてませんよ!」

「いいや、嘘をついた。君は嘘を付く時、眉間に皺がよるんだ。8年間君を見続けていたわたしが言うんだから間違いない」

「うそぉ!?」

 僕にそんな癖があったのか?前世の両親からは何も言われたことがないぞ!?この世界に来てから身についてしまったのか?

「嘘だよ」

 なんだ、嘘か・・・。

「けど、これでアルが嘘をついていた事が分かったねぇ・・・嘘でないなら、そんな変な反応はしないはずだ」

 しまった。これは罠だ。バール様が僕から情報を捻り出す為に仕掛けたトラップだ。

「さあ、観念して白状したらどうだい?アル。君は一体わたし達にどんな嘘を付いている?」

 もう、これは隠していても意味はない。むしろ、隠していたら今後の関係に影響が出かねない。

「実は僕・・・前世の記憶を持ってこの世界に生まれたんです」

 そう告白した瞬間、皆眉を顰めた。
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