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6章 アルフォース・ディナスという異端

124話 謎の屋敷

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 1週間もの保護活動を終え、仮拠点へと帰ってきたアル。彼を出迎えたのは、バールとバール軍の者達だった。

「アルゥ!ご苦労だったねぇ!!大変だったろう?君1人でルイン領の生き残りを探したんだからねぇ!!」

「やっぱり、アタシとシームも行くべきだった」

「仕方ないよ。シームはその生き残りの治療で手一杯だったんだし。それに、ケルビムが行ってたら町とか村を破壊してたでしょ?」

「ゴップ・・・・・斬るよ?」

「ほらぁ!!やっぱりぃ!!」

「2人とも、落ち着いて。保護した人達は無事に辿り着けた?怪我とか熱出してた人がいたけど、大丈夫?」

「99%は大丈夫と言えるねぇ。残り1%はまだ、治療中さ。医者と回復役は慢性的に人手不足だから・・・いっそのことカルーの娘を量産するのはどうかな?」

「倫理観!!捨てちゃダメって言いましたよね!!」

「そんなに怒らないでくれよぉ~冗談なんだからぁ~」

「冗談に聞こえないのが、バール様の冗談」

「2人共酷いねぇ・・・」

 1週間ぶりの仲間との会話。時間を考えずに楽しんでいると、アスタロト様の部下の魔物が走ってきた。

「バール様。少しよろしいでしょうか?」

「おや?何だい?アスタロトがわたしを頼むだなんて珍しい事があるんだねぇ」

「魔法関連の事です。この仮拠点から30km程北に向かった場所に不自然な空間の歪みが見つかりました。歪んでいる箇所は不思議な力で触れないとの事なので、調査をお願いできますでしょうか?」

「不自然歪みぃ?興味深いねぇ。アル、君もついてきたまえ。わたしだけでは骨が折れそうだ」

「僕も魔法の専門家ってわけではないんですけどね・・・分かりました」

「バール様、アタシは?」

「お留守番だ。この間みたいに絶対についてこないように」

「・・・・分かりました」

「分かってるならよろしい。では、行こうか」

 馬を一頭借り、僕が操作し、バール様は後ろに乗る。スピードは標準よりやや劣るが、骨や筋肉が太い為、スタミナと頑丈さに富んだ長距離移動向けの馬だ。

 時間にしておよそ1時間。報告を受けた歪みの前にやってきた。

「確かに空間が歪んでますね。雲が渦巻いてる」

「それだけじゃない。歪んだ空間を触る事ができない。これはもしかしなくても、結界だね。恐らく急造の目眩し用のだ。わたし達が攻めてきた時に作ったんだろう」

 戦争中、空が歪んでいる事を気にする者なんていない。ましてや、歪みが発生している場所は、戦地として使われた平原からかなり離れた場所にある森の入り口。気づくはずがない。

「このくらいだったら、すぐに壊す事ができる。えーい!」

 歪む空間にデコピンをかますと、触れた箇所からヒビが入り始め、広がっていく。やがて、空間は割れ、そこそこ巨大な屋敷が姿を現した。
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