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6章 アルフォース・ディナスという異端

121話 実に興味深い

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 皆で協力して、研究室の掃除をする事、1時間。研究室はまた元の姿を取り戻した。

「ふぅ・・・皆でやると片付くのが早いねぇ・・・ところで、横にいるダークエルフとヒュームのハーフは誰だい?」

 種族だけでなく、ハーフと見抜くだなんて。流石はバール様と言った所だろうか。

「あれ?聞いてないんですか?魔王様からの情報は既に町の人も知っていますよ?」

「知らないねぇ。だって、しばらく寝ていたから」

「どのくらい?」

「・・・2日だね」

「睡眠薬か何か飲んだんですか?」

「新薬の被験をしたんだが、失敗して協力な睡眠薬になってたみたいだね。さて、そろそろその子の正体を教えてはもらえないかな?」

「勇者ですよ。魔王様が僕達に暗殺を頼んだ」

「おや、ではその子がアビルダ・ルインなのかい?わたしの情報だと、20歳のヒュームと聞いているのだが・・・」

「勇者は遺伝しないみたいです」

「ほほぉう!!それはなんとも興味深い!!是非とも研究したいねぇ!!」

 驚ている事には変わりないが、恐怖からの驚きではないようす。流石はバール様と言えるが、やはり魔族の中でも生粋の代わりものなのだろうと感じさせられる。

「アルフォース・・・この人は?」

「僕の命の恩人であり、上司のバール様。ここら辺の土地を統治している領主であり、魔王軍幹部だよ」

「つまり・・・アルフォースが忠誠を誓っている人?」

「そうだよ」

 肯定すると同時に、ケルビムは再び僕の背中から飛び降りて、片膝を付く。条件反射で動いているみたいだ。

「おや、礼儀は知っているようだねぇ。名前は?」

「ケルビムです。アルフォースとシームに命を救われ、愛を教えてもらいました」

「愛!そうかぁ!エンデ王領では差別や貧富の差が酷いと聞くからねぇ!愛なんて受けられるのはごく一部だろうさ!!因みにアルに愛を教えたのはわたしさ!!つまり、君に愛が伝わったのはわたしのお陰だ!そこんところよろしく頼むよ」

 何のマウントだよ。いや、確かにバール様の仕事の教え方には愛があったけど。

「そうだったのですか・・・じゃあ・・・・・おばあちゃん?」

「八倒されたいかい?まだまだピチピチの148歳なんだか!?」

「・・・若作り?」

「歳の取り方が遅いだけさぁ!!決して若作りではない!決してね!!ヒューム換算するなら、まだ21歳さ!!」

 やばい。ちょっと面白いかも・・・。

「とにかくだ!ここではわたしがトップだ。ルールさえ破らなければ、ここでの居住を許す!良いね?」

「分かりました・・・」

「あとアル!さっき笑っていたねぇ?」

「えぇ!?笑って何かいませんよ!!顔見てたでしょう!?」

「いいや、心が笑っていた!!上司を馬鹿にするとはいい度胸だ!さあ、お仕置きとして新作の薬の被験者になってもらうぞ!」

「そんなぁ・・・」

 確かに心では笑っていたが、少し理不尽じゃないか?そう思いながら、僕は新薬を飲み干し、意識を失った。

「あ、また睡眠薬になっていたみたいだ」
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