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5章 望まれていない勇者
108話 俺様が勇者だ
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はっきり言ってアイツの身体は異常で、日に日に強くなっていくのを感じた。
そして、光の魔法を使うのも見てしまった。ああ、本当にコイツは男神ニグンから選ばれた勇者なのだと改めて認識させられた。
だが、アイツはまだ勇者の剣である『神の炎』を握っていなかった。エンデ城の宝物庫にあるのだから、当たり前なのだが。
ならば、今神の炎を使えば、俺様は勇者として認められるのではないか?憎きアルディンの旅仲間であるシームの言葉で気付かされた。
まだ、勇者は生まれていない。勇者は、神の炎を握ってやっと勇者となるのだと。
それ即ち、神の炎を握ればその者が勇者になれるというわけだ。
その事に気づいた俺様はすぐさま行動を始めた。城の間取り図で宝物庫の位置を確認した後にルート確認。
そして、訓練が終わる夕方と共に行動を開始した。勿論、全身をローブで隠してだ。
現在、兵士不足の影響か、宝物庫の兵士の練度は低く、俺様でも倒す事ができた。通りすがりの兵士に見られてしまったが、さっさとずらかるので問題はないだろう。
問題は神の炎はどこにあるのか?間取りは得ることはできたが、宝物庫の中の配置までは知らない。下手したら探すのに苦労する。
そう思っていたが、神の炎は、すぐ目の前にあった。どうぞ盗んでください。ただし、扱えないませんけどね?と言わんばかりに。
「これが・・・神の炎」
赤く熱された鉄のように赤い刀身、鍔の無い直線。鞘は無く、裸のまま、台座に突き刺さっている。
「勇者の・・・俺様の剣・・・!!」
さて、引き抜くとしよう・・・。
「いたぞ!アイツだ!!神の炎を盗もうとしている!!」
「「捕まえろー!!」」
見惚れていたのか、いつのまにか追加の兵士を呼ばれてしまった。仕方がないので、台座ごと持って窓から飛び降りる。
そこからは事前に考えておいたルートをひたすら走る。走り抜ける。台座が若干重いが、そんな事気にしている暇はない。
兵士に追われながら到着したのは、使用している家・・・ではなく、この時間帯に大勢の人間が集まる通称酒呑み広場。
その中心に台座ごと神の炎を置いて、俺様は叫んだ。
「聞けぇ!エンデの民よ!!俺様はアビルダ・ルイン!勇者の家系に生まれた、正当なる勇者だ!!」
この衝撃的な一言に人々は視線を向け、興味を向ける。
「今この場に持ってきたこの赤く光る剣は、神の炎!つまりは、勇者の剣!!俺様はこの剣を抜き、勇者となる!!」
「うぉおおおお!!」「良いぞ良いぞぉ!」「やれやれ!」
この場に冷静な者はおらず、いるのは酔っ払いと狂った者のみ。故に誰もアビルダの愚行を止める者はいなかった。
「いたぞ!」「止めろ!」
迫り来る兵士。アビルダは慌てるように神の炎の柄を掴み、台座から引き抜く。あまり強く固定はされていなかったようで、案外簡単に抜けてしまう。
「・・・や、やったのか?俺様は勇者になれたのか?」
抜けた神の炎は赤く燃え始め、刀身を巨大化させていく。温度も急上昇を始め、無資格者であるアビルダの体は腕から黒く焦げ始めた。
そして、光の魔法を使うのも見てしまった。ああ、本当にコイツは男神ニグンから選ばれた勇者なのだと改めて認識させられた。
だが、アイツはまだ勇者の剣である『神の炎』を握っていなかった。エンデ城の宝物庫にあるのだから、当たり前なのだが。
ならば、今神の炎を使えば、俺様は勇者として認められるのではないか?憎きアルディンの旅仲間であるシームの言葉で気付かされた。
まだ、勇者は生まれていない。勇者は、神の炎を握ってやっと勇者となるのだと。
それ即ち、神の炎を握ればその者が勇者になれるというわけだ。
その事に気づいた俺様はすぐさま行動を始めた。城の間取り図で宝物庫の位置を確認した後にルート確認。
そして、訓練が終わる夕方と共に行動を開始した。勿論、全身をローブで隠してだ。
現在、兵士不足の影響か、宝物庫の兵士の練度は低く、俺様でも倒す事ができた。通りすがりの兵士に見られてしまったが、さっさとずらかるので問題はないだろう。
問題は神の炎はどこにあるのか?間取りは得ることはできたが、宝物庫の中の配置までは知らない。下手したら探すのに苦労する。
そう思っていたが、神の炎は、すぐ目の前にあった。どうぞ盗んでください。ただし、扱えないませんけどね?と言わんばかりに。
「これが・・・神の炎」
赤く熱された鉄のように赤い刀身、鍔の無い直線。鞘は無く、裸のまま、台座に突き刺さっている。
「勇者の・・・俺様の剣・・・!!」
さて、引き抜くとしよう・・・。
「いたぞ!アイツだ!!神の炎を盗もうとしている!!」
「「捕まえろー!!」」
見惚れていたのか、いつのまにか追加の兵士を呼ばれてしまった。仕方がないので、台座ごと持って窓から飛び降りる。
そこからは事前に考えておいたルートをひたすら走る。走り抜ける。台座が若干重いが、そんな事気にしている暇はない。
兵士に追われながら到着したのは、使用している家・・・ではなく、この時間帯に大勢の人間が集まる通称酒呑み広場。
その中心に台座ごと神の炎を置いて、俺様は叫んだ。
「聞けぇ!エンデの民よ!!俺様はアビルダ・ルイン!勇者の家系に生まれた、正当なる勇者だ!!」
この衝撃的な一言に人々は視線を向け、興味を向ける。
「今この場に持ってきたこの赤く光る剣は、神の炎!つまりは、勇者の剣!!俺様はこの剣を抜き、勇者となる!!」
「うぉおおおお!!」「良いぞ良いぞぉ!」「やれやれ!」
この場に冷静な者はおらず、いるのは酔っ払いと狂った者のみ。故に誰もアビルダの愚行を止める者はいなかった。
「いたぞ!」「止めろ!」
迫り来る兵士。アビルダは慌てるように神の炎の柄を掴み、台座から引き抜く。あまり強く固定はされていなかったようで、案外簡単に抜けてしまう。
「・・・や、やったのか?俺様は勇者になれたのか?」
抜けた神の炎は赤く燃え始め、刀身を巨大化させていく。温度も急上昇を始め、無資格者であるアビルダの体は腕から黒く焦げ始めた。
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