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4章 魔王の肩書きを持つ少女

69話 本音を吐いちゃえ

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「現魔王軍を構成しているのは、魔族、魔物、そして他種族というのは知っているな?では、割合は知っているか?」

「確か、魔族4割、魔物5割、他種族1割でしたっけ?」

「そう!その通り!魔物は5割も支えている!!それなのに、それに見合った報酬が貰えていない・・・」

 先程、飲ませたニンジンジュースには、5%程アルコールを混ぜた。ギリギリ気づかない程の量だ。

 事前情報通り、アスタロト様は酒に慣れておらず、少ないアルコール量でも、すぐに酔ってくれた。

 彼は、吐き出すように魔王様への不満を吐いてくれた。

「幹部である余はまだ良い!十分な食料や報酬をもらっている!!だが、部下の魔物達は違う!十分な報酬はおろか、食料が行き届いていない!聞く話によると、何もしていない魔族の貴族らに十分すぎる食料が流れているという話ではないか!!」

 虐げられてきた魔族の中にも、階級は存在する。そして、階級が高い者の独占も存在する。

 バール領に住む魔族は、研究ラブで他を気にしない人が多いので、特に問題にはなっていないけど、地下やアスタロト様の領地は特にそれが酷いと噂で聞いたことがある。

 アスタロト様は、部下が正当な評価を得られていない事に酷い憤りを感じていたのだろう。

「だから、提案しようとした!!進攻のついでに、魔物の評価の見直しを!!しかし、その機会すら魔王様は与えてくれなかった!それが・・・とても悔しい」

 テーブルに突っ伏して悔し涙を流し始める。その涙は決して演技ではなく、感情の爆発により、発生した涙だった。

「だが、余は信じている。魔王様は今、何かがあって余ら魔物の話を聞いてくれないのだと。きっと、事が済めば余の話にも耳を傾けてくれると!そう、信じている」

 アスタロト様は確かに、魔王様に不満を抱いていた。しかし、完全なる失望ではなく、期待している故の不満。

 今後の魔王様の対応次第で、謀反などの裏切りを起こす可能性があるけど、少なくとも今ではない。多く見積もって数年後だろう。

 それに、魔王様の懐の広さからして、魔物への待遇は変わっていくと思われる。アスタロト様もその事に気づいているはず。

 よって、彼は魔王様の予知夢に出てきた裏切り者ではないと思われる。だとすると、裏切り者はバール様?それとも、ミシェル様?

 バール様はあり得ない!!と言いたいが、実際の所、あの人の本心を聞いた事が一度もない。何処かで魔王様へ不満を抱いているかもしれない。

 ミシェル様は、会ったのか初めてなので、評価ができない。噂によると、外見中身全て最高の幹部と言われているらしい。

 また、振り出しに戻ってしまったわけだけど、無駄になったわけではない。アスタロト様がシロだと確信できたわけだし、彼から信頼を得る事ができた。これは、後で大きな財産となるだろう。
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