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4章 魔王の肩書きを持つ少女

60話 魔王様の様子がおかしい?

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「つまらない!?そんな理由でせっかくの兵士達のやる気をどぶに捨てる気ですか?」

「やる気があるのは十分に分かっている。しかし、2つの領地と領主は既に3つの領地を失っているというのに、何も行動を起こしていないのには何か理由があるはず。休憩と様子見をかねての進攻停止だ」

「何かしてくる前に仕留めるというのも案の1つだと思いますが!?」

「それに、最初はつまらないから進攻しないと言っていたのに、もう理由を変えているじゃないか。コロコロを理由を変えているという事は、わたし達には話せない真の理由があるんじゃないのか?」

 魔王様の意見にはっきりと反対の意を示すバール様とアスタロト様。何処か暑苦しさを感じるアスタロト様はともかく、研究ラブなバール様まで意見するだなんて珍しい。

 でも、僕もお二方と同じ意見で、進攻した方が良いと思う。今、手を止めたら、魔王様が危惧しているエンデ側の秘策が飛んでくるかもしれないし・・・。

「いいや、もう変えない。決定事項だ」

「なら、何故幹部全員呼んだのです!?」

「普通に報告書で伝えるだけで良かったんじゃないかなぁ?」

「ええい!そこまで手が回らなかったんだ!!もう今日は解散だ!部屋は用意してあるから各自休め!!以上だ!!」

 質問攻めと反対意見に堪忍袋の緒が切れたのだろう。魔王様はテーブルをひっくり返し、家具をけり飛ばしながら、部屋を出て行ってしまった。残されたのは幹部とその護衛のみ。普段から世話をしているメイド達も彼女の怒りっぷりに動揺を隠せずにいた。

「むうぅ・・・!!こちらの提案をする前に逃げられてしまった・・・!!城を持って上機嫌と聞いていたのにまるで話が違うではないか!!」

「まあまあ、落ち着いて下さい。魔王様にも何か考えがあってあのような発言をしたに違いありません」

「ただ癇癪を起したようにしか見えなかったけどねぇ、ミシェル。部屋は魔法が使えるくらいの広さはあるかな?」

「明日こそ余の意見をしかとあの耳に入れて見せる!絶対にな!!」

 こうして、会議というよりも決定事項報告会はたった5分で終わりを迎えてしまった。僕達護衛1人1人にも部屋が与えられているようで、メイドさんに案内された部屋に入る。

「いい部屋だな・・・バール領で使っている部屋よりも断然良いな・・・」

 部屋に使われている木材は勿論、ベッドや机やいすなども体を傷めない高級品で固められている。とりあえず、荷物を置いて落ち着こうと、机にリュックを置くと、机から何かの紙が落ちた。

「これは・・・手紙?」

 紙の正体は、しっかりと便箋の中に入れられ、シーリングスタンプで封された手紙だった。右下には僕の名前が書かれており、封を開けて、手紙の内容を確認する。

「『今日の夜、中庭の池の前まで来い。夕食の一時間後がベストだ』・・・・・・罠かな?」

 とりあえず、行ってみる事にしよう。
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