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4章 魔王の肩書きを持つ少女

56話 いざゆかん魔王城へ

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「護衛・・・バール様1人で十分では?」

「普段ならね。だが、今回はちょっと事情が違う。新魔王軍の幹部4人が集まる。わたし並の強さとクセの強さを持ってる曲者がね」

 つまり、いざこざがあった時、代理で争えという事らしい。

「なるほど・・・ならば、私達ではなく、アルさんだけで良いのではないでしょうか?私は足手纏いですので・・・」

「骨折をたったの1分で治してしまう治癒魔法が使える者が役立たず?それはちょっと過小評価じゃないかなぁ?」

「オイラは弱いですよ?はっきり言って」

「でも、魔法が使える。ゴブリンなのにね。これだけで不意を突くことができるのさ」

 ゴブリンは、人語を理解できないため、魔法属性は持っていても魔法は使えない。確かに初見殺しとしてはゴップは強いだろう。魔法の威力も他と比べて遜色が無いし。

「だけど、メインで戦ってもらうのはアル、君だよ。大丈夫かい?」

「はい、やります!!」

「怪我したら、カルーの娘に言うんだよ?しっかりと、ゴブリン君の力をも借りるんだよ?」

「分かってますって。僕だって修羅場を潜り抜けてるんで大丈夫ですよ!!」

「本当かい?本当に大丈夫かい?」

 前世でたまに見かけた過保護な母親のようだ。そんなに僕は危なっかしいだろうか?

「それじゃあ、早速向かおうか。皆準備は良い?」

「「「いやいやいや!ちょっと待って!!早い早い!!」」」

「仲が良いねぇ。どうしてだい?」

「今、知らされたんですよ!!休みの日にいきなり!そんでもって今から向かうなんて準備もへったくれも無いですよ!!」

「それは確かにそうだねぇ・・・普通ならね?」

 テーブルの上に無造作に置かれる3つのリュック。それぞれサイズが違っており、僕用、ゴップ用、シームさん用のだろう。

「君達の部屋に少しお邪魔して、着替えや生活必需品を詰め込ませてもらった!だから、安心して今から向かおう!!」

「武器は?」

「用意してないわけないだろう?しっかりと磨いておいたよ!」

 ホントだ。しかも、しっかりと研いである。いつものバール様からは考えられないな・・・。

「それと、この服と革鎧を着たまえ!一応公的な場に向かうのだからね」

 新たに用意されたのは、紺色で少し地味だけど、上品さ感じる服と革鎧。今の服装は、動きやすいが、少し汚い。魔王城に向かうには少し失礼だろう。

「それでは、10分で用意したまえ!わたしは待っているから!!」

「あっ!ちょっと待ってください!!

 3人の荷物を持って外へ出て行こうとするバール様を止める。まだ、聞きたい事があるんだ。

「新魔王軍の幹部がバール様含めて4集まるんですか?」

「ああ、

「・・・彼ですね?」

「ああ、彼さ・・・」

 まさか、本当に数ヶ月で魔王軍幹部になるだなんて思いもしなかったな・・・。
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