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4章 魔王の肩書きを持つ少女

52話 拍子抜けにも程がある

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 つい1週間前、信用して送ったアルフォース・ディナスから手紙が来た。

 封緘シールにハートが使われていたので、恋文と勘違いさたが、違った。恋文に偽装した報告書だった。

 報告内容は、シフォンヌ領の大きな戦力であるロール騎士団の解体に成功したと書かれてきた。シフォンヌ領主の信用も完全に失って、生き残りは再雇用どころか、領外へと追放されたらしい。

 彼に行かせて正解だった。妾は今いる健康状態の良い兵士を全員集めて宣言した。

「地上のシフォンヌ領へと攻めるぞ!!」

「「「「おおぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 兵士達のやる気がいつにも増して高い。大きな第一歩を踏み出してやるという気迫を感じる。これなら、行ける!!シフォンヌ領を勝ち取ることができる!!

 ありがとう、アルフォースよ。君は良いやつだ。今度君にあったら、是非ともお礼がしたい。とびきりの最高のお礼だ。

 地下を出て、地上へと出る。太陽の光に慣れていない我らにとって、太陽の光は少しばかり痛かったが、数分もすれば慣れてくる。吸血鬼でもあるまいし。

 どこまでも続いていそうな、緑の草原。動物植物豊かな森に、実に美味しい果実。これがあと少しで手に入る。そう思うとやる気が湧いてくる。

 兵士達も同じようで、ヤル気を通り越し、早く戦いたいという気持ちが表に出てきている。

「さあ!見えてきたぞ!我が兵士達よ!闘志を燃やせ!復讐心を燃やせ!今こそ200年前の復讐の狼煙をあげてやろうではないか!!」

「「「「殺す!!殺す!!殺す!!」」」」

 こうしてゲリラ的に始まったシフォンヌ領襲撃は・・・・たったの12時間で終わりを告げた。

 こちら側の被害者数、まさかの15人!しかも、不意打ちや、トラップに引っかかったなどの理由だ。シフォンヌ兵には全く苦戦しなかった。そもそも弱かったし、とても数が少なかった。

 事前情報だと、兵士だけでも5万人程いると聞いていたのだが、1万人いるかも怪しかった。しかも、その全てが弱く、疲弊していた。ついでにエンデ王国最強と名高いイヴ・シフォンヌすらいない。

「どういう事だ!?これが、エンデ王国最強戦力なのか!?」

 戦争に勝ったのに、まるで勝った気がしない。兵士達のやる気は行き場を失い、建物や領民に向けられる。領内の出来事を聞くために何人か残しておきたかったが、兵士達の腹の虫の居所が悪く、全て虐殺されてしまった。

 シフォンヌ領には我ら以外の人間は存在していなかった。仕方がないので、シフォンヌ領の事を今一番熟知しているであろうアルフォースに会いに行く。

 彼が言い放った言葉は妾から一瞬で言葉を失わせた。

「すみません、手紙送った後、色々あって、領主が死んじゃいました」

 あまりの衝撃発言に、しばらく気を失っていたようで、目を覚ますと、アルフォースが妾に膝枕をしていた。
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