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4章 魔王の肩書きを持つ少女

50話 手紙には無い情報

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 案の定、バール様の研究室は悲惨だった。資料や本は適当な場所に山積み。使い終わった食器はそのまま放置で虫が湧き、服は洗わず、積み重なっている。

「僕が2週間いないだけでこんなになっちゃうんですね・・・」

「フフ、君がいなきゃもう私は駄目みたいだ」

「僕は魔族の皆さんと違って、寿命は短いんですから。ある程度は自分で出来るようにしておいた方が良いですよ」

「そこに関しては問題はない!既に肉体を複製する研究は進んでいる!君が死にそうになる時には既に完成しているだろうさ」

「そこまでします?」

「当たり前さ。君は私の生活にかかせないピースの1つなんだからねぇ」

 一見したら、道具のように見られているだけかもしれない。いや、実際に道具のように見られているのだろう。けど、愛用している道具のように扱われている。これは下手したら、普通の人間扱いよりもありがたい事なのではないのか?

「手紙は読んだよ。ロール騎士団を壊滅なんてすごい事をしてくれたねぇ。わたしも鼻が高いよ」

「あ~~・・・その事なんですが・・・実は手紙を送った後に更なる新展開が待っていまして」

「その新展開が原因で帰ってくるのが遅くなったのかな?言ってごらん。怒らないから」

 バール様は、僕が任務成功後に即帰宅しなかった事に少し怒っているみたいだ。

「実は・・・シフォンヌ領の領主が死ぬという事態が発生しまして」

「・・・まじ?」

「「マジ」」「本当です」

「まじか・・・あの、屈強な女戦士が死亡。毒殺かい?」

「いえ、民衆からの評判を底まで落として、夫が殺されたと誤認させて、暴れさせた後に四肢を斬り裂き、殺害しました。しばらくは忘れられそうにない至福の時間でした」

「そっか・・・所で?」

 後ろを振り向くと、いつの間にかスネイクさんと、シームさんが立っていた。観光はもう終わったのだろうか。

「わたしの研究室に入ってくるなんて随分と見上げた勇気じゃないかぁ・・・死にたがりみたいだね」

「これは失礼、ミス・バール。私の名前はスネイル・ウィーマン。見ての通り魔族ですのでよろしく」

「シームです・・・よろしくお願いします・・・」

「アル?」

「はい、説明します」

 2人の簡単な紹介と、シフォンヌ領での作戦にどれだけ協力してくれたかを説明した。

「カルー将軍の娘に、地上出身の魔族と来たか・・・これは結構興味深いね・・・それで?何をお望みかな?」

「流石は魔王軍幹部の1人。お見通しでしたか」

「今、最も世界から憎まれてる新魔王軍の地上拠点に来てるんだから、そういうのは想像しちゃうよねぇ。なるべく早くしてくれたまえ。わたしも忙しい身なんだ。この部屋を見たら分かるだろう?」

「居場所が欲しくてここに来ました・・・」

「私はそれ相応の地位と魔族の友を求めてここへとやってきました」

「ふむふむ・・・・・分かった。とりあえず考えておくから、今日は休みたまえ。それと、アルはここに残るように」

 説教とかではなさそうだ。
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