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1章 不幸な死と2度目の不幸な人生
11話 こんにちは第二の故郷
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あれから、何時間経っただろうか。久しぶりにまともな食事を摂ったのは久しぶりだったからか、すぐにお腹が空いてきた。
僕のお腹の音を聞くたびにカルーさんは、ため息を吐きながら、僕に食料をくれた。どれも携帯食ばかりで少し硬かったが、その硬さが逆に食事の楽しさを思い出させてくれた。
「貴様、本当によく食べるな。今までどんな食事をしていたんだ」
「3日に1度だけ残飯が床に放り投げられます。それだけしか食べる事は許されていませんでした」
「・・・私達の領地に着いたら、たらふく食べろ。私が許す」
「領地?一体どんな場所なんです?」
「賑やかな場所だ。私はあまり好ましく思っていない。静かな場所が好きだからな」
今、向かっているのは、バール領。バールさんが、統治している土地だ。つい3年前にドワーフを追い出して作ったらしい。魔族が活動を始めたのはつい5年前かららしい。
「今まで魔族は何処で暮らしていたんですか?」
「地下と聞いている。私もアンデッドとして蘇ったのは4年前だから詳しくはバール様に聞け」
「バールさんにですね。分かりました」
「バール様だ。仮にも雇われているんだ。様付けをしろ。あの人はあまりそういう事を気にする人じゃないが、形式的にもな」
「はい、分かりました。カルー将軍」
「やればできるじゃないか。そういえば、歳はいくつだ?」
「今日で10歳になりました」
「そうか・・・良し悪しは別として、一生記憶に残る誕生日になったな」
今日が、良い日か悪い日になるかは、今後の自分次第だろう。
しばらく、馬車に揺られていると、馬車が止まる。御者さんが到着を知らせてきたので、出てみると、そこは大きな要塞の中だった。町が石の壁に覆われており、町の真ん中には、そこそこ大きな城が建っていた。
「ここが、バール領の中心地、要塞城下町ゴレイムだ。今から、お前をバール様の元に連れていく前に服を選んでもらう。ついてこい」
手を引っ張られて連れていかれた場所は、衣服屋。カルー将軍は、店長に話を付けると、店長は、ぼろ布一枚の僕に、麻製の軽い服を渡してきた。
「何で、ヒュームの子供がこんな所に?」
「領主様の興味対象だ。殴るなよ?」
「だとしたら、元ヒュームである貴方も殴ってますよ」
「それは確かに言えているな・・・おい、待て」
奥で着替えようとする僕の手を引っ張って止める。カルー将軍は、僕の歪んだ胸部を見るや否や、魔法の詠唱を始めた。
「癒しの女神よ、この者の傷に口づけを『ヒール』」
カルー将軍の手の平から、優しさを感じる緑の光が放たれる。緑の光は、僕の体を包むと、変な形でくっついていた僕の骨を元に戻してくれた。
「歪な骨格は、成長の妨げになる。私の魔法属性が、癒しだった事を幸運に思うんだな」
「・・・ありがとうございます」
「今、アンデッドに癒しの魔法属性は似合わないと思ったな?」
「何で分かったんですか!?」
「皆、同じ顔するからだ!!」
本当にごめんなさい。
僕のお腹の音を聞くたびにカルーさんは、ため息を吐きながら、僕に食料をくれた。どれも携帯食ばかりで少し硬かったが、その硬さが逆に食事の楽しさを思い出させてくれた。
「貴様、本当によく食べるな。今までどんな食事をしていたんだ」
「3日に1度だけ残飯が床に放り投げられます。それだけしか食べる事は許されていませんでした」
「・・・私達の領地に着いたら、たらふく食べろ。私が許す」
「領地?一体どんな場所なんです?」
「賑やかな場所だ。私はあまり好ましく思っていない。静かな場所が好きだからな」
今、向かっているのは、バール領。バールさんが、統治している土地だ。つい3年前にドワーフを追い出して作ったらしい。魔族が活動を始めたのはつい5年前かららしい。
「今まで魔族は何処で暮らしていたんですか?」
「地下と聞いている。私もアンデッドとして蘇ったのは4年前だから詳しくはバール様に聞け」
「バールさんにですね。分かりました」
「バール様だ。仮にも雇われているんだ。様付けをしろ。あの人はあまりそういう事を気にする人じゃないが、形式的にもな」
「はい、分かりました。カルー将軍」
「やればできるじゃないか。そういえば、歳はいくつだ?」
「今日で10歳になりました」
「そうか・・・良し悪しは別として、一生記憶に残る誕生日になったな」
今日が、良い日か悪い日になるかは、今後の自分次第だろう。
しばらく、馬車に揺られていると、馬車が止まる。御者さんが到着を知らせてきたので、出てみると、そこは大きな要塞の中だった。町が石の壁に覆われており、町の真ん中には、そこそこ大きな城が建っていた。
「ここが、バール領の中心地、要塞城下町ゴレイムだ。今から、お前をバール様の元に連れていく前に服を選んでもらう。ついてこい」
手を引っ張られて連れていかれた場所は、衣服屋。カルー将軍は、店長に話を付けると、店長は、ぼろ布一枚の僕に、麻製の軽い服を渡してきた。
「何で、ヒュームの子供がこんな所に?」
「領主様の興味対象だ。殴るなよ?」
「だとしたら、元ヒュームである貴方も殴ってますよ」
「それは確かに言えているな・・・おい、待て」
奥で着替えようとする僕の手を引っ張って止める。カルー将軍は、僕の歪んだ胸部を見るや否や、魔法の詠唱を始めた。
「癒しの女神よ、この者の傷に口づけを『ヒール』」
カルー将軍の手の平から、優しさを感じる緑の光が放たれる。緑の光は、僕の体を包むと、変な形でくっついていた僕の骨を元に戻してくれた。
「歪な骨格は、成長の妨げになる。私の魔法属性が、癒しだった事を幸運に思うんだな」
「・・・ありがとうございます」
「今、アンデッドに癒しの魔法属性は似合わないと思ったな?」
「何で分かったんですか!?」
「皆、同じ顔するからだ!!」
本当にごめんなさい。
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