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1章 不幸な死と2度目の不幸な人生
9話 新魔王軍VSルヴァン・ディナス
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「今度は何の実験に使うんですか?確かに闇属性のヒュームは珍しいどころの騒ぎじゃありませんが、活用方法が分かりません」
「ん~?わたしもまだ決めてないねぇ。なんたって、思わぬ収穫だったからさ。でも、ここに置いておくよりかは遥かにマシじゃないかな?わたし達的にも、アル的にもね」
地下牢に監禁されていた時点で、虐待されている事は分かっている。なら、貰っていっても問題は無いだろう。
「やはり、そいつが目的か、ツノ持ち」
魔族に対しての差別発言を言い放ちながら、ボロボロの体で立ち上がったのは、ルヴァン・ディナス。何やら勘違いをしているようだ。
「仲間であるそいつを連れ戻す為にこのような蛮行を行ったんだろう!?違うか!?」
「うん、違うね」
「え・・・」
「単に領主の中では一番弱いから最初に襲っただけさ。それ以外に理由は無いよ」
新魔王軍が、数多あるエンデ王国の領地の中で、まず最初にディナス領を選んだ理由。それは、ディナス領の兵力の弱さと、領主自体の実力の無さからだった。反撃の狼煙を上げるには、最適だった。
だが、その発言は、ルヴァンの身の丈に合っていないプライドを深く傷つけた。
「ツノ持ち風情が!俺が弱いだと!?ふざけるんじゃない!確かに俺に仕えてる兵士は、全員農民上がりのひょろがりばかりだ!しかし、俺が違う!一流の教育を受けて、最高級の食材を与えられ、先祖代々から受け継いだ才能がある!弱いなど決して────」
「くどい!!貴様は負けた!それがまだ分からんのか!見ろ!お前の領地を!荒れ果てているではないか!」
広大な畑は荒らされ、そこら中に死体が倒れている。木造の家は燃えて炭となり、石造りの家は粉々に砕けて原型をとどめていない。家畜は柵を壊され、野生へと逃げてしまった。
誰がどう見ても再起不能。ディナス領の負けなのだが、ルヴァンはそれを認めたくなかった。幼い頃から父親に聞かされてきたディナス家の栄光、魔族の醜悪さ。それらを己の全てとしているルヴァンにとって、この事態はあってはならない事態なのだ。
「そして、貴様のその体はなんだ!右腕は吹き飛び、右目はつぶれている!それでも、負けを認めないというのなら・・・私が相手になろう」
それでも諦めないルヴァンに引導を渡すべく、剣を抜いたのはカルー将軍。貧血になりながらも剣を構えるルヴァンと向き合うのだが────。
「黒き刃よ、肉を斬り裂け『ブラック・ナイフ』」
バールの横槍ならぬ、黒いナイフでルヴァンの首は刎ねられ、人生に終わりを迎えた。
「あの・・・バール様、今私はこの者に引導を────」
「誰でも良かったでしょ今のは。それに、時間無いし。こんな奴に正々堂々とかやらなくていいし。ていうか、この子を研究したいし」
「ええ・・・分かりました」
騎士道や男の約束なんて知ったこっちゃない!それが、バールという女である。
「それじゃ、撤収~~」
ディナス領が新魔王軍を名乗る集団に襲われ、壊滅したというニュースは、エンデ王国中に1日足らずで広まった。
「ん~?わたしもまだ決めてないねぇ。なんたって、思わぬ収穫だったからさ。でも、ここに置いておくよりかは遥かにマシじゃないかな?わたし達的にも、アル的にもね」
地下牢に監禁されていた時点で、虐待されている事は分かっている。なら、貰っていっても問題は無いだろう。
「やはり、そいつが目的か、ツノ持ち」
魔族に対しての差別発言を言い放ちながら、ボロボロの体で立ち上がったのは、ルヴァン・ディナス。何やら勘違いをしているようだ。
「仲間であるそいつを連れ戻す為にこのような蛮行を行ったんだろう!?違うか!?」
「うん、違うね」
「え・・・」
「単に領主の中では一番弱いから最初に襲っただけさ。それ以外に理由は無いよ」
新魔王軍が、数多あるエンデ王国の領地の中で、まず最初にディナス領を選んだ理由。それは、ディナス領の兵力の弱さと、領主自体の実力の無さからだった。反撃の狼煙を上げるには、最適だった。
だが、その発言は、ルヴァンの身の丈に合っていないプライドを深く傷つけた。
「ツノ持ち風情が!俺が弱いだと!?ふざけるんじゃない!確かに俺に仕えてる兵士は、全員農民上がりのひょろがりばかりだ!しかし、俺が違う!一流の教育を受けて、最高級の食材を与えられ、先祖代々から受け継いだ才能がある!弱いなど決して────」
「くどい!!貴様は負けた!それがまだ分からんのか!見ろ!お前の領地を!荒れ果てているではないか!」
広大な畑は荒らされ、そこら中に死体が倒れている。木造の家は燃えて炭となり、石造りの家は粉々に砕けて原型をとどめていない。家畜は柵を壊され、野生へと逃げてしまった。
誰がどう見ても再起不能。ディナス領の負けなのだが、ルヴァンはそれを認めたくなかった。幼い頃から父親に聞かされてきたディナス家の栄光、魔族の醜悪さ。それらを己の全てとしているルヴァンにとって、この事態はあってはならない事態なのだ。
「そして、貴様のその体はなんだ!右腕は吹き飛び、右目はつぶれている!それでも、負けを認めないというのなら・・・私が相手になろう」
それでも諦めないルヴァンに引導を渡すべく、剣を抜いたのはカルー将軍。貧血になりながらも剣を構えるルヴァンと向き合うのだが────。
「黒き刃よ、肉を斬り裂け『ブラック・ナイフ』」
バールの横槍ならぬ、黒いナイフでルヴァンの首は刎ねられ、人生に終わりを迎えた。
「あの・・・バール様、今私はこの者に引導を────」
「誰でも良かったでしょ今のは。それに、時間無いし。こんな奴に正々堂々とかやらなくていいし。ていうか、この子を研究したいし」
「ええ・・・分かりました」
騎士道や男の約束なんて知ったこっちゃない!それが、バールという女である。
「それじゃ、撤収~~」
ディナス領が新魔王軍を名乗る集団に襲われ、壊滅したというニュースは、エンデ王国中に1日足らずで広まった。
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