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1章 不幸な死と2度目の不幸な人生
5話 水属性じゃない!?
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家の中は、外観通りの汚れ具合。足場がないくらい汚かった。
「おい、クアンタ。お前掃除してるのか?」
「はい、勿論。半年に1回くらい・・・ヒヒッ」
どうやら、自分で掃除ができないタイプの人みたいだ。父さんは呆れたようにため息を吐いた。
「きょ、今日はどうなされたんですか?」
「俺の息子は今日で3歳になるわけなんだが、魔法が何故か使えないんだ」
「相伝のコツでも?」
「そうだ。だから、お前に調べて欲しい。そういうのは得意だろ?」
「ええ、勿論ですとも。ボボボボクが唯一人の役に立てる事ですから・・・」
クアンタさんは、僕の椅子に座らせると、果物ナイフを取り出した。
「おい!クアンタ!何をするつもりだ?」
「ああ!ご安心をルヴァンさん。調べる為にこの子の血を一滴だけもらうだけなので・・・」
魔法属性は遺伝する事から、他の魔法についての情報も、遺伝子の塊である血液から見る事ができるのだろう。
「まず、血液を採取しまして、ルヴァンさんの息子さんの魔法属性を調べさせていただきます」
「知ってるだろ?ディナス家は皆、水の魔法属性だ」
「ええ、知っていますとも。ですから、これはあくまで確認です。では、失礼しますね」
ナイフの先で、指先を小突かれると、ポタリと小さな傷ができて、血が出始める。
クアンタさんはその血を人差し指サイズの瓶に入れると、薬の準備を始める。用意した薬は、フラスコのような薄く透明な瓶に入った透明な液体だった。
「こちらの薬に、血液を入れると、その人の魔法属性の色になります。では、失礼───」
透明に薬の中に、ポタリと僕の血を落とす。すると、透明な薬は本当に変色を始め、水色────ではなく、紫と黒が混じった禍々しい色へと変化した。
「「「え?」」」
この場にいた全員が、首を傾げる。分かりきっていた事が違かった。その事実を受け止めるのに、数秒はかかった。
水色ではない、事にもショックだったが、この禍々しい色はなんなのだろう?あまり良い予感はしないが・・・。
「ここここれは・・・まさか!!闇!?魔族以外からは生まれないとされる闇ではありませんか!!何故、ディナス家のご子息からこの魔法属性ガッ!?」
クアンタさんの言葉は、父さんの首絞めによって遮られてしまう。顔を真っ赤にした父さんは、クアンタさんを本気で締め殺しにかかっていた。
「どういう事だぁ!クアンタァ!我が家を汚そうとは良い度胸だ!その罪、その首を差し出しても償いきれぬぞ!!」
「ひ、ひいぃぃぃぃ!!ごめんなさい!!でででもボクは何も細工なんかしていませんんんんん!!疑うなら、貴方もやってみてください!!」
「良いだろう!!フンッ!!」
腰に下げていた剣で腕を皮膚を斬り、余っていた魔法属性判定の薬にドバドバと入れる。透明の薬はすぐに変色を始め、鮮やかな水色へと変色した。
「なんだとぉぉぉ!!アル!もう一回だ!もう一回判定しろ!!」
「えっ?・・・うわぁ!!」
父さんは僕の腕を強引に引っ張ると、クアンタさんから果物ナイフを奪い、僕の腕を突き刺した。
肉を裂く激痛が腕に走る。刺した箇所は違うが、通り魔に刺された時の事を否が応でも思い出してしまう。
「さあ!どうだ?」
僕から出た、血を残った薬に入れるが、色は変わらず闇属性のモノだった。
「クソッ!もう一回だ・・・!!こんな事、あってはならない!ならないんだ!!」
「と、とうさ───」
「うるさい!お前は少し黙っていろ!!」
それから、数度果物ナイフで刺され、血液を奪われ、薬で判定されたが、結果は覆らず、闇属性。
「クソ!クソ!クソ!何故だ!何故ダァァァァァァァァァ!!」
「父さ、ん・・・」
痛みからか、出血多量からか、意識が薄れていく。父さんの叫びを聞きながら、僕は意識を手放してしまった。
「おい、クアンタ。お前掃除してるのか?」
「はい、勿論。半年に1回くらい・・・ヒヒッ」
どうやら、自分で掃除ができないタイプの人みたいだ。父さんは呆れたようにため息を吐いた。
「きょ、今日はどうなされたんですか?」
「俺の息子は今日で3歳になるわけなんだが、魔法が何故か使えないんだ」
「相伝のコツでも?」
「そうだ。だから、お前に調べて欲しい。そういうのは得意だろ?」
「ええ、勿論ですとも。ボボボボクが唯一人の役に立てる事ですから・・・」
クアンタさんは、僕の椅子に座らせると、果物ナイフを取り出した。
「おい!クアンタ!何をするつもりだ?」
「ああ!ご安心をルヴァンさん。調べる為にこの子の血を一滴だけもらうだけなので・・・」
魔法属性は遺伝する事から、他の魔法についての情報も、遺伝子の塊である血液から見る事ができるのだろう。
「まず、血液を採取しまして、ルヴァンさんの息子さんの魔法属性を調べさせていただきます」
「知ってるだろ?ディナス家は皆、水の魔法属性だ」
「ええ、知っていますとも。ですから、これはあくまで確認です。では、失礼しますね」
ナイフの先で、指先を小突かれると、ポタリと小さな傷ができて、血が出始める。
クアンタさんはその血を人差し指サイズの瓶に入れると、薬の準備を始める。用意した薬は、フラスコのような薄く透明な瓶に入った透明な液体だった。
「こちらの薬に、血液を入れると、その人の魔法属性の色になります。では、失礼───」
透明に薬の中に、ポタリと僕の血を落とす。すると、透明な薬は本当に変色を始め、水色────ではなく、紫と黒が混じった禍々しい色へと変化した。
「「「え?」」」
この場にいた全員が、首を傾げる。分かりきっていた事が違かった。その事実を受け止めるのに、数秒はかかった。
水色ではない、事にもショックだったが、この禍々しい色はなんなのだろう?あまり良い予感はしないが・・・。
「ここここれは・・・まさか!!闇!?魔族以外からは生まれないとされる闇ではありませんか!!何故、ディナス家のご子息からこの魔法属性ガッ!?」
クアンタさんの言葉は、父さんの首絞めによって遮られてしまう。顔を真っ赤にした父さんは、クアンタさんを本気で締め殺しにかかっていた。
「どういう事だぁ!クアンタァ!我が家を汚そうとは良い度胸だ!その罪、その首を差し出しても償いきれぬぞ!!」
「ひ、ひいぃぃぃぃ!!ごめんなさい!!でででもボクは何も細工なんかしていませんんんんん!!疑うなら、貴方もやってみてください!!」
「良いだろう!!フンッ!!」
腰に下げていた剣で腕を皮膚を斬り、余っていた魔法属性判定の薬にドバドバと入れる。透明の薬はすぐに変色を始め、鮮やかな水色へと変色した。
「なんだとぉぉぉ!!アル!もう一回だ!もう一回判定しろ!!」
「えっ?・・・うわぁ!!」
父さんは僕の腕を強引に引っ張ると、クアンタさんから果物ナイフを奪い、僕の腕を突き刺した。
肉を裂く激痛が腕に走る。刺した箇所は違うが、通り魔に刺された時の事を否が応でも思い出してしまう。
「さあ!どうだ?」
僕から出た、血を残った薬に入れるが、色は変わらず闇属性のモノだった。
「クソッ!もう一回だ・・・!!こんな事、あってはならない!ならないんだ!!」
「と、とうさ───」
「うるさい!お前は少し黙っていろ!!」
それから、数度果物ナイフで刺され、血液を奪われ、薬で判定されたが、結果は覆らず、闇属性。
「クソ!クソ!クソ!何故だ!何故ダァァァァァァァァァ!!」
「父さ、ん・・・」
痛みからか、出血多量からか、意識が薄れていく。父さんの叫びを聞きながら、僕は意識を手放してしまった。
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