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1章 不幸な死と2度目の不幸な人生
1話 2回目の誕生
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女神様に異世界へと転送?された後、僕は真っ暗な場所にいた。とても暗くて何も見えない。しかも、水中にいた。
川か海にいるのかと錯覚したが、違う。壁がある。壁というよりも、僕を厚い肉の膜が覆っていた。
それに、水の中にいるというのに、全然息苦しくない。寧ろ、暖かくて心地が良い。お風呂とかと比べ物にならないくらいだ。
その感覚と、前世の知識で何となく推測できた。僕は今、今世のお母さんのお腹の中にいるんだ。
転生と言われたんで、一体どこらへんから始まるんだと思っていたけど、まさか、胎児からだとは思わなかった。
『赤子の体には、妊娠7ヶ月の時点で魂が宿ります。貴方は今、胎児としては7ヶ月。赤子として外に出る事が出来るのはあと、3ヶ月後になります』
何処からともなく声が聞こえる。耳からではなく、頭に直接響く声。女神様の声だ。
『貴方はとても落ち着いた方ですね。大体の方は慌てて暴れまわるのですが・・・』
そんな事したら、あ母さんの方が死んでしまうのでは?
『何度かそういう事がありましたね』
あったんだ・・・お気の毒に。
『では、残り3ヶ月頑張ってください』
とても暇な3ヶ月になりそうだ・・・・・と思っていた僕だったけど、そうでもなかった。精神年齢が肉体よりも老けているお陰だろうか。あまり長く待った感じはなく、その日を迎えた。
「頭が出てきました!!」
「あなた・・・!!」
「頑張れ!あと少しだ!頑張ってくれ!!」
胎の中からやっと頭だけを出す事が出来た。聞こえてきたのは計3人の声。助産師と、今世の両親の声だろう。今世のお母さんが苦しんでいるのが良く分かる。なるべく早く出てあげなければ・・・!!
「凄い!この子、自力で出ようと頑張ってます!!」
良太には、他の赤ん坊とは違い、しっかりとした自我が形成されていた。故に、1秒でも早く出ようと自力で母の体から出始めたのだ。
「後は私が・・・・よいしょ!!」
今まで誰にも触られなかった体が、助産師の優しい手に優しく掴まれる。すると、どうした事だろうか。別に泣きたくもないのに泣いてしまった。赤ちゃんが産まれた直後に泣くのは、遺伝子に組み込まれた本能なのかな?
「生まれました!!元気な男の子です!!」
性別をはっきりと宣言している事から、この世界では、生まれる前に性別が分かる技術はまだないみたい。
「おお!男の子か!!やったぞ!跡継ぎが産まれた!!」
「ええ、良かったわね。貴方・・・」
両親の声が聞こえる。目開いて、顔を確認したいが、視力が悪すぎて全く見えない。保健体育の授業で言ってたっけ?生まれた直後の赤ちゃんの視力は0.01しかないって。
これじゃあ、両親の顔が見えないじゃないかと不満に思っていると、体が妙な浮遊感に襲われ、また別の人にだっこされた。
「ほら、見てくれ!君そっくりだ!特にこの口元とか!!」
「そんな事言ったら、目元は貴方そっくりですよ」
だっこしたのは今世の父さんのようだ。だっこされた事で、ようやっと見えた。前世で例えるなら、ヨーロッパ系の顔立ち。服装は・・・少し古いような気がする。
今世の母さんは、なんだかとても優しい顔の人だ。なんでも包み込んでくれそうなたれ目の美女と言った所だろうか?
「あっ、そういえば名前はどうする?この前一緒に考えた中から決めようか!」
「そうですね。それじゃあ・・・アルフォースはどうでしょうか?」
「アルフォース・・・うむ!そうしよう!なんだか、それっぽい顔だし、表情も満足気だ!ベビーファーストで、アルフォースに決定だ」
そういえば、僕はもう、雨宮良太じゃなかった。それは、前世で前世の両親が付けた名前。これから僕の名前はアルフォース。
「今日からお前の名前はアルフォース・ディナス!由緒正しきディナス家の息子だ!!」
アルフォース・ディナスだ。
女神様に異世界へと転送?された後、僕は真っ暗な場所にいた。とても暗くて何も見えない。しかも、水中にいた。
川か海にいるのかと錯覚したが、違う。壁がある。壁というよりも、僕を厚い肉の膜が覆っていた。
それに、水の中にいるというのに、全然息苦しくない。寧ろ、暖かくて心地が良い。お風呂とかと比べ物にならないくらいだ。
その感覚と、前世の知識で何となく推測できた。僕は今、今世のお母さんのお腹の中にいるんだ。
転生と言われたんで、一体どこらへんから始まるんだと思っていたけど、まさか、胎児からだとは思わなかった。
『赤子の体には、妊娠7ヶ月の時点で魂が宿ります。貴方は今、胎児としては7ヶ月。赤子として外に出る事が出来るのはあと、3ヶ月後になります』
何処からともなく声が聞こえる。耳からではなく、頭に直接響く声。女神様の声だ。
『貴方はとても落ち着いた方ですね。大体の方は慌てて暴れまわるのですが・・・』
そんな事したら、あ母さんの方が死んでしまうのでは?
『何度かそういう事がありましたね』
あったんだ・・・お気の毒に。
『では、残り3ヶ月頑張ってください』
とても暇な3ヶ月になりそうだ・・・・・と思っていた僕だったけど、そうでもなかった。精神年齢が肉体よりも老けているお陰だろうか。あまり長く待った感じはなく、その日を迎えた。
「頭が出てきました!!」
「あなた・・・!!」
「頑張れ!あと少しだ!頑張ってくれ!!」
胎の中からやっと頭だけを出す事が出来た。聞こえてきたのは計3人の声。助産師と、今世の両親の声だろう。今世のお母さんが苦しんでいるのが良く分かる。なるべく早く出てあげなければ・・・!!
「凄い!この子、自力で出ようと頑張ってます!!」
良太には、他の赤ん坊とは違い、しっかりとした自我が形成されていた。故に、1秒でも早く出ようと自力で母の体から出始めたのだ。
「後は私が・・・・よいしょ!!」
今まで誰にも触られなかった体が、助産師の優しい手に優しく掴まれる。すると、どうした事だろうか。別に泣きたくもないのに泣いてしまった。赤ちゃんが産まれた直後に泣くのは、遺伝子に組み込まれた本能なのかな?
「生まれました!!元気な男の子です!!」
性別をはっきりと宣言している事から、この世界では、生まれる前に性別が分かる技術はまだないみたい。
「おお!男の子か!!やったぞ!跡継ぎが産まれた!!」
「ええ、良かったわね。貴方・・・」
両親の声が聞こえる。目開いて、顔を確認したいが、視力が悪すぎて全く見えない。保健体育の授業で言ってたっけ?生まれた直後の赤ちゃんの視力は0.01しかないって。
これじゃあ、両親の顔が見えないじゃないかと不満に思っていると、体が妙な浮遊感に襲われ、また別の人にだっこされた。
「ほら、見てくれ!君そっくりだ!特にこの口元とか!!」
「そんな事言ったら、目元は貴方そっくりですよ」
だっこしたのは今世の父さんのようだ。だっこされた事で、ようやっと見えた。前世で例えるなら、ヨーロッパ系の顔立ち。服装は・・・少し古いような気がする。
今世の母さんは、なんだかとても優しい顔の人だ。なんでも包み込んでくれそうなたれ目の美女と言った所だろうか?
「あっ、そういえば名前はどうする?この前一緒に考えた中から決めようか!」
「そうですね。それじゃあ・・・アルフォースはどうでしょうか?」
「アルフォース・・・うむ!そうしよう!なんだか、それっぽい顔だし、表情も満足気だ!ベビーファーストで、アルフォースに決定だ」
そういえば、僕はもう、雨宮良太じゃなかった。それは、前世で前世の両親が付けた名前。これから僕の名前はアルフォース。
「今日からお前の名前はアルフォース・ディナス!由緒正しきディナス家の息子だ!!」
アルフォース・ディナスだ。
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