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八章 希望の光達
化け物と化したルルド
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数十発の矢が怪物ルルドに向かって飛んでいく。
「『ウインド』!!」
更にシトラは矢に風の魔術をかけてスピードを上げて威力向上を狙う。その速度は獅子丸の居合の速度を遥かに上回っていた。
怪物ルルドは矢をはらおうとする素振りも避けようとする素振りも見せなかった。やがて矢は怪物ルルドへと到達する───が。怪物ルルドの鋼のような皮膚を傷つけることは不可能であった。シトラが放った矢は全て弾かれ、怪物ルルドの足元にバラバラと落ちていく。
「全っ然!矢が刺さらないんですけど!!」
「そんなものが進化した我に効くとでも?」
巨大な手による連続叩き潰しが歩達に襲いかかる。歩達はただただ逃げまどうしかなかった。
「くっそ!誰も攻撃しないなら俺からいくぜ!!」
「ま、待て!亮一!!」
先に怪物ルルドに攻撃をしかけたのは亮一だった。亮一は赤くなった煉獄刀を燃やして床にめり込む怪物ルルドの腕をぶった斬ろうとする。
「か、かてぇ・・・・」
亮一の全力の一撃だったにも関わらず、怪物ルルドの身体は雀の涙程度しか傷つかず、一刀両断には至らなかった。
「失せろ。ゴミ虫」
「うぎゃ───!!」
怪物ルルドの巨大なデコピンが亮一に命中する。デコピンがぶつかった瞬間、僅かにだが骨が砕ける音が耳に入った。亮一は壁にめり込んでいる。
「亮一ーーーー!!」
必死に叫んで呼んだが、返事はない。死んでいないことをただ祈るのみだ。だが、亮一のお陰で怪物ルルドの情報を手に入れることができた。あの怪物、無敵というわけではないようだ。
「くそっ!また使うしかないのか・・・!!」
歩は竜殺しの剣を構えて魔力を集中させる。灼熱の炎が刃へと宿った。
「メリア。今のうちに亮一の生死確認を頼む!!」
「わ、分かりました・・・!!」
灼熱の刃はやがて炎の渦を形成し、天井まで届くものとなった。
「ドラゴブレイクか。前世の我はそれを喰らって多大な損傷を受けたが、今の我ならどこまで耐えられるかな?」
「知らん────『ドラゴブレイク』!!」
果たして竜の鱗をも溶かす炎は放たれた。怪物ルルドは抵抗することなく、ドラゴブレイクの炎へとぶつかる。
「うぉおおおおおお!!」
歩のドラゴブレイクを喰らった怪物ルルドは炎の中で悶え苦しみ、うずくまる様子を見せたが、死んでいるようには見えなかった。
やがて怪物ルルドを包む炎は消える。怪物ルルドは多少ふらつきながらも立ち上がった。
「ははっ!耐えるぞ!耐えられるぞ!この身体!素晴らしい!実に素晴らしい!!」
怪物ルルドは傷つきながらも立ち上がったのだ。歩は唖然としてしまう。自分が持っている中の最強の技が攻略されてしまった。その事実に対して歩は恐怖を覚える。
こいつには、決定打を与えることは不可能───。そう思ってしまうくらい歩は絶望した。
「お、おしまいだ・・・」
絶望し、呆然と棒立ちする歩とは裏腹に怪物ルルドはまさに気分は右肩上がりであった。前世で散々苦しめられた技を完璧とは言えないが、克服することに成功したのだ。嬉しいという感情以外湧かないだろう。
怪物ルルドにはもう1つ気になることがあった。歩が絶望している隙に実行に移す。
「『フレイム』」
魔術を使うと、いつもより2回り程大きな炎の玉が形成される。
「素晴らしい・・・!!身体だけでなく、魔力の燃費も良くなるとは・・・!!」
怪物ルルドはしばし炎の玉を見て、歩達に向かって飛ばした。速度は変わらず、速い。
「「『シャイニングシールド』!!」」
歩と葵は急いで光の盾を張る。光の盾は完璧にできていた。しかし、怪物ルルドが放った炎の玉は無情にも二人の光の盾を悉く破壊した。
「まずい────」
リズベルは葵と歩を抱えてその場から離れる。炎の玉は歩達を追いかけずに床に衝突した。炎の玉の威力はすさまじく、王の間の床を破壊してしまった。
「うわぁあああああ!!」
リズベルは歩と葵を抱えて1階に落下する。王の間の真下はかつて平和記念パーティーを開催した大広間であった。
「あがっ───!!」
リズベルは二人を抱えたまま床に落下に腰に大きな損傷を負う。メリアは聖なる力で作った天使のような羽でパタパタと飛んで難を逃れたようだ。
「リズベルさんっ!!」
「す、すまない・・・腰が・・・」
歩はすぐさま立ち上がってリズベルに肩を貸して立ち上がらせる。すると、時間差で王の間の壁にめり込んでいた亮一が落下してきた。
歩はリズベルのようにはさせまいと落下地点で待ってしっかりとキャッチする。
「サンキュー・・・」
「何てことはない。それよりも・・・」
歩は怪物ルルドに視線を向ける。怪物ルルドは自分の強化された力を完全とまではいかないが大体は理解してしまったようだ。
「素晴らしいぞ・・・素晴らしいぞ・・・!!」
自分の強さを理解してしまった敵ほど厄介なヤツはいない。3年以上の戦いで自然に学んだことだ。
「だが・・・この城では窮屈だ・・・」
怪物ルルドは僕らそっちのけでなにやら頭を回し始めた。今の一言からあまり良い予感はしない。
「一度壊して新たに城を作るとしよう」
怪物ルルドは左手の平に半径1mの大きさの黒いおぞましい玉を形成する。みたことの無い魔術であったが、直感が教えてくれた。あの魔術はやばいと。
「皆!逃げろぉぉ!!」
皆が察知していたようで僕が叫ぶと城の外へと走っていく。だが、外に出たとしてもここは空中。ワイバーンも元の場所へと戻してしまった為、足がない。
「わ、私に任せてください・・・!!」
名乗り出てきたのはメリアだった。彼女は天に向かってお祈りを捧げると背中に先程の羽よりも巨大な大天使のような羽が生えてきたのだ。
「私に捕まって下さい・・・!!」
「だ、大丈夫なのか・・・?」
成人した男性3人と女性が2人いるのだぞ?それをか弱い修道女が持ち運べるのか?
「なるべく私にしがみつくようにしてください!!そうすれば地上までは何とか」
「分かった」
歩達はメリアの腹部や足にしがみつくと、メリアは全員しがみついたのを確認して大空へと飛んでいった。
総重量300キロはあるにも関わらずメリアは地上に向かってゆっくりと下りていった。
その数分後であった。歩達がつい先程までいた魔王城の空飛ぶ地が吹き飛んだのだ。間違いなく怪物ルルドが先程使った魔術で。
「やっぱりか・・・」
歩は自分の直感に感謝する。もしも鈍かったら魔王城と共にチリとなっていただろう。
これで怪物ルルドも死んでいたら良いのだが───。
「アイツ・・・飛んでるぞ・・・!!」
「背中に僅かだけど小さな羽が生えてた。多分それで飛んでんだと思う」
ルルドは瓦礫や土のホコリをかき分けて歩の視線へとその姿を現した。爆発に巻き込まれたにも関わらず、まったく傷ついていない。魔術は自分が行使した物でも身体は傷つく。あの威力の魔術から命を守る皮膚は恐ろしく硬い。
「あんな皮膚、どうやって破壊したら・・・」
「ラグドさんから借りた勇者の力で何とかならないのか・・・?」
「多分無理だ。僕が使う勇者の光はドラゴブレイクよりも弱い」
何か良い手はないのか・・・。思考を繰り返し行う。今まで培ってきた知性、努力全てを振り絞って考える。過去現在の出来事からも引っ張りだす。
思い出を引き出していると、ある一言が僕の頭の中に流れてきた。本当にさっきの記憶だ。
『ハッ!その程度か!!情けない・・・ラグドの勇者の一撃はこんな物ではなかったぞ!!』つい先程ルルドが僕に向けて放った言葉だ。この言葉には侮辱ではない他の意味があったのではないかと考える。
僕は勇者の力を使う時に何処を集中させた?全てだ。全ての臓器、筋肉に集中して放っていた。それでもラグドさんのようには使えていなかった。
それは自分が使いこなせていないからと勝手に考察していたが、それは違うのではないのか?まだ集中するべき部位があったのではないのか・・・?
駄目だ。どう思考を回しても思い付かない。誰か知っていそうな人物は──いた!!
「メリア。ラグドさんから勇者の力の使い方のコツとか教えてもらってないか?」
「ええっ?勇者の力の使い方・・・もしかしてあれかな?」
孫のメリアなら知っているのでは?と一か八かで聞いてみたが、なにやら知っているようだ。地上に着くまでは流石のルルドも何もしてはこないだろう。話を聞いてみることにした。
「お祖父ちゃんの奥義の『シャインブレード』は知ってるますよね?私小さい頃お祖父ちゃんにどうやって使っているのか聞いてみたんです」
「そうか!!シャインブレードも勇者の力で打っていたのか・・・!!」
魔力の気配がしたのは勇者の力と同時に魔力も使っているからなのだろう。それ故に広範囲で高火力の技が出せたのだ。
「全身と心を集中させるらしいですよ」
「全身と心・・・?でも、心臓に集中はしているぞ?」
「心臓じゃないんじゃない?例えば魂とか?」
シトラの発言で頭の中で何かが繋がる。そうだ。ラグドさんから借り受けた勇者の力は元々ラグドさんの魂の紐つけられていたもの。
今僕が勇者の力の所有者ならば、勇者の力の根源は内臓の何処かではなく、魂にあるのではないのだろうか?
「そういうことだったのか・・・でも、魂に集中を込めるにはどうしたら・・・」
内臓ならまだ辛うじて感じとることができる。魂は生憎物質ではない。脳に宿る人間の力の源だ、とラグドさんは教えてくれた。ただ、脳に集中を注いだとしても魂に集中は注ぐことはできないだろう。
「なあ、歩。ステータスカードって確か魂を強化して身体能力を向上させる物だったよな?」
「確かそうだったね・・・・そうか!ステータスカードか!流石だよ、亮一!」
つまりはだ。魂に繋がっているステータスカードに集中を注げば自然と魂に集中を注ぐことができるのではないのだろうか?
幸いなことにステータスカードは意識すればすぐに出も物質化することができる。内臓に集中を注ぐことよりも簡単だ。
「行ける・・・!行けるぞ!!」
「よっしゃ!やったろうぜ!!」
「『ウインド』!!」
更にシトラは矢に風の魔術をかけてスピードを上げて威力向上を狙う。その速度は獅子丸の居合の速度を遥かに上回っていた。
怪物ルルドは矢をはらおうとする素振りも避けようとする素振りも見せなかった。やがて矢は怪物ルルドへと到達する───が。怪物ルルドの鋼のような皮膚を傷つけることは不可能であった。シトラが放った矢は全て弾かれ、怪物ルルドの足元にバラバラと落ちていく。
「全っ然!矢が刺さらないんですけど!!」
「そんなものが進化した我に効くとでも?」
巨大な手による連続叩き潰しが歩達に襲いかかる。歩達はただただ逃げまどうしかなかった。
「くっそ!誰も攻撃しないなら俺からいくぜ!!」
「ま、待て!亮一!!」
先に怪物ルルドに攻撃をしかけたのは亮一だった。亮一は赤くなった煉獄刀を燃やして床にめり込む怪物ルルドの腕をぶった斬ろうとする。
「か、かてぇ・・・・」
亮一の全力の一撃だったにも関わらず、怪物ルルドの身体は雀の涙程度しか傷つかず、一刀両断には至らなかった。
「失せろ。ゴミ虫」
「うぎゃ───!!」
怪物ルルドの巨大なデコピンが亮一に命中する。デコピンがぶつかった瞬間、僅かにだが骨が砕ける音が耳に入った。亮一は壁にめり込んでいる。
「亮一ーーーー!!」
必死に叫んで呼んだが、返事はない。死んでいないことをただ祈るのみだ。だが、亮一のお陰で怪物ルルドの情報を手に入れることができた。あの怪物、無敵というわけではないようだ。
「くそっ!また使うしかないのか・・・!!」
歩は竜殺しの剣を構えて魔力を集中させる。灼熱の炎が刃へと宿った。
「メリア。今のうちに亮一の生死確認を頼む!!」
「わ、分かりました・・・!!」
灼熱の刃はやがて炎の渦を形成し、天井まで届くものとなった。
「ドラゴブレイクか。前世の我はそれを喰らって多大な損傷を受けたが、今の我ならどこまで耐えられるかな?」
「知らん────『ドラゴブレイク』!!」
果たして竜の鱗をも溶かす炎は放たれた。怪物ルルドは抵抗することなく、ドラゴブレイクの炎へとぶつかる。
「うぉおおおおおお!!」
歩のドラゴブレイクを喰らった怪物ルルドは炎の中で悶え苦しみ、うずくまる様子を見せたが、死んでいるようには見えなかった。
やがて怪物ルルドを包む炎は消える。怪物ルルドは多少ふらつきながらも立ち上がった。
「ははっ!耐えるぞ!耐えられるぞ!この身体!素晴らしい!実に素晴らしい!!」
怪物ルルドは傷つきながらも立ち上がったのだ。歩は唖然としてしまう。自分が持っている中の最強の技が攻略されてしまった。その事実に対して歩は恐怖を覚える。
こいつには、決定打を与えることは不可能───。そう思ってしまうくらい歩は絶望した。
「お、おしまいだ・・・」
絶望し、呆然と棒立ちする歩とは裏腹に怪物ルルドはまさに気分は右肩上がりであった。前世で散々苦しめられた技を完璧とは言えないが、克服することに成功したのだ。嬉しいという感情以外湧かないだろう。
怪物ルルドにはもう1つ気になることがあった。歩が絶望している隙に実行に移す。
「『フレイム』」
魔術を使うと、いつもより2回り程大きな炎の玉が形成される。
「素晴らしい・・・!!身体だけでなく、魔力の燃費も良くなるとは・・・!!」
怪物ルルドはしばし炎の玉を見て、歩達に向かって飛ばした。速度は変わらず、速い。
「「『シャイニングシールド』!!」」
歩と葵は急いで光の盾を張る。光の盾は完璧にできていた。しかし、怪物ルルドが放った炎の玉は無情にも二人の光の盾を悉く破壊した。
「まずい────」
リズベルは葵と歩を抱えてその場から離れる。炎の玉は歩達を追いかけずに床に衝突した。炎の玉の威力はすさまじく、王の間の床を破壊してしまった。
「うわぁあああああ!!」
リズベルは歩と葵を抱えて1階に落下する。王の間の真下はかつて平和記念パーティーを開催した大広間であった。
「あがっ───!!」
リズベルは二人を抱えたまま床に落下に腰に大きな損傷を負う。メリアは聖なる力で作った天使のような羽でパタパタと飛んで難を逃れたようだ。
「リズベルさんっ!!」
「す、すまない・・・腰が・・・」
歩はすぐさま立ち上がってリズベルに肩を貸して立ち上がらせる。すると、時間差で王の間の壁にめり込んでいた亮一が落下してきた。
歩はリズベルのようにはさせまいと落下地点で待ってしっかりとキャッチする。
「サンキュー・・・」
「何てことはない。それよりも・・・」
歩は怪物ルルドに視線を向ける。怪物ルルドは自分の強化された力を完全とまではいかないが大体は理解してしまったようだ。
「素晴らしいぞ・・・素晴らしいぞ・・・!!」
自分の強さを理解してしまった敵ほど厄介なヤツはいない。3年以上の戦いで自然に学んだことだ。
「だが・・・この城では窮屈だ・・・」
怪物ルルドは僕らそっちのけでなにやら頭を回し始めた。今の一言からあまり良い予感はしない。
「一度壊して新たに城を作るとしよう」
怪物ルルドは左手の平に半径1mの大きさの黒いおぞましい玉を形成する。みたことの無い魔術であったが、直感が教えてくれた。あの魔術はやばいと。
「皆!逃げろぉぉ!!」
皆が察知していたようで僕が叫ぶと城の外へと走っていく。だが、外に出たとしてもここは空中。ワイバーンも元の場所へと戻してしまった為、足がない。
「わ、私に任せてください・・・!!」
名乗り出てきたのはメリアだった。彼女は天に向かってお祈りを捧げると背中に先程の羽よりも巨大な大天使のような羽が生えてきたのだ。
「私に捕まって下さい・・・!!」
「だ、大丈夫なのか・・・?」
成人した男性3人と女性が2人いるのだぞ?それをか弱い修道女が持ち運べるのか?
「なるべく私にしがみつくようにしてください!!そうすれば地上までは何とか」
「分かった」
歩達はメリアの腹部や足にしがみつくと、メリアは全員しがみついたのを確認して大空へと飛んでいった。
総重量300キロはあるにも関わらずメリアは地上に向かってゆっくりと下りていった。
その数分後であった。歩達がつい先程までいた魔王城の空飛ぶ地が吹き飛んだのだ。間違いなく怪物ルルドが先程使った魔術で。
「やっぱりか・・・」
歩は自分の直感に感謝する。もしも鈍かったら魔王城と共にチリとなっていただろう。
これで怪物ルルドも死んでいたら良いのだが───。
「アイツ・・・飛んでるぞ・・・!!」
「背中に僅かだけど小さな羽が生えてた。多分それで飛んでんだと思う」
ルルドは瓦礫や土のホコリをかき分けて歩の視線へとその姿を現した。爆発に巻き込まれたにも関わらず、まったく傷ついていない。魔術は自分が行使した物でも身体は傷つく。あの威力の魔術から命を守る皮膚は恐ろしく硬い。
「あんな皮膚、どうやって破壊したら・・・」
「ラグドさんから借りた勇者の力で何とかならないのか・・・?」
「多分無理だ。僕が使う勇者の光はドラゴブレイクよりも弱い」
何か良い手はないのか・・・。思考を繰り返し行う。今まで培ってきた知性、努力全てを振り絞って考える。過去現在の出来事からも引っ張りだす。
思い出を引き出していると、ある一言が僕の頭の中に流れてきた。本当にさっきの記憶だ。
『ハッ!その程度か!!情けない・・・ラグドの勇者の一撃はこんな物ではなかったぞ!!』つい先程ルルドが僕に向けて放った言葉だ。この言葉には侮辱ではない他の意味があったのではないかと考える。
僕は勇者の力を使う時に何処を集中させた?全てだ。全ての臓器、筋肉に集中して放っていた。それでもラグドさんのようには使えていなかった。
それは自分が使いこなせていないからと勝手に考察していたが、それは違うのではないのか?まだ集中するべき部位があったのではないのか・・・?
駄目だ。どう思考を回しても思い付かない。誰か知っていそうな人物は──いた!!
「メリア。ラグドさんから勇者の力の使い方のコツとか教えてもらってないか?」
「ええっ?勇者の力の使い方・・・もしかしてあれかな?」
孫のメリアなら知っているのでは?と一か八かで聞いてみたが、なにやら知っているようだ。地上に着くまでは流石のルルドも何もしてはこないだろう。話を聞いてみることにした。
「お祖父ちゃんの奥義の『シャインブレード』は知ってるますよね?私小さい頃お祖父ちゃんにどうやって使っているのか聞いてみたんです」
「そうか!!シャインブレードも勇者の力で打っていたのか・・・!!」
魔力の気配がしたのは勇者の力と同時に魔力も使っているからなのだろう。それ故に広範囲で高火力の技が出せたのだ。
「全身と心を集中させるらしいですよ」
「全身と心・・・?でも、心臓に集中はしているぞ?」
「心臓じゃないんじゃない?例えば魂とか?」
シトラの発言で頭の中で何かが繋がる。そうだ。ラグドさんから借り受けた勇者の力は元々ラグドさんの魂の紐つけられていたもの。
今僕が勇者の力の所有者ならば、勇者の力の根源は内臓の何処かではなく、魂にあるのではないのだろうか?
「そういうことだったのか・・・でも、魂に集中を込めるにはどうしたら・・・」
内臓ならまだ辛うじて感じとることができる。魂は生憎物質ではない。脳に宿る人間の力の源だ、とラグドさんは教えてくれた。ただ、脳に集中を注いだとしても魂に集中は注ぐことはできないだろう。
「なあ、歩。ステータスカードって確か魂を強化して身体能力を向上させる物だったよな?」
「確かそうだったね・・・・そうか!ステータスカードか!流石だよ、亮一!」
つまりはだ。魂に繋がっているステータスカードに集中を注げば自然と魂に集中を注ぐことができるのではないのだろうか?
幸いなことにステータスカードは意識すればすぐに出も物質化することができる。内臓に集中を注ぐことよりも簡単だ。
「行ける・・・!行けるぞ!!」
「よっしゃ!やったろうぜ!!」
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