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六章2つの世界
聖女の祈り
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「フッ!ハァッ!!」
ラグドの怒涛の連続攻撃。レッドの額にも汗が垂れてきた。最初ばかりはよけて刃をよけていたが、今はそんな余裕はない。魔術でバリアを作ってラグドの一撃を防いでいる。
だが、折角作った魔術のバリアもラグドの一撃で軽々と破壊されてしまう。
「きえぇぇぇ!!」
「────ッ!!」
時々攻撃と攻撃の合間を縫って攻撃を仕掛けるが全て空振り。頬に傷をつけることもできない。
レッドの顔にも怒りが垣間見えてきた。顔色も名前通りで真っ赤になっている。
「鬱陶しいんですよっ!!」
ついにレッドの堪忍袋の緒も切れたようで両手を大きく使って巨大な黒い玉を魔術で作り上げるとラグドに向かって放った。
「来た───!!」
ラグドは飛んでくる黒い玉にニヤリと厭らしい笑みを浮かべるとそれを軽々と避け、バリアも張っていないがら空きのレッドの胸に向かって先程頂戴したナイフを投げた。
黒い玉よりも速くナイフは飛んで行き、レッドの胸にぐさりと擬音が入る程しっかり刺さった。
「ギャアァ!!」
突然襲ってきた痛みにレッドは胸を押さえる。すると、レッドの胸からキラリと光る物が落ちた。それは紫色の宝石だった。
「よしっ!!」
ラグドは紫色の宝石を確認すると、レッドの方へと走っていき宝石を奪った。
「しまっ───!!」
慌てて血まみれの手を伸ばしてももう遅い。紫色の宝石はとっくのとうに聖女マリーの元へと投げられていたのだから。
「マリー!!やれぇ!!」
マリーは飛んで来た紫色の宝石をキャッチすると、電源をいれたかロボットの如く立ち上がった。
「凄いですね!この宝石!これならいけるかもしれません────」
聖女マリーは早速ゾンビ達に祈りを捧げ始めた。するとゾンビ達は糸の切れた人形のようにバタリバタリと倒れ始め、靄のようなものが次々とゾンビの中から出てきて上へと昇っていった。
「やっぱスゲェな、聖女ってのは」
「ありがとうお祖母ちゃん」
聖女マリーはサムズアップしながら笑顔を戦士達へと向ける。完全に勝負あった。
レッドは魔術を使う為に必要な宝石を奪われ、ゾンビ達は全員天へと召された。
残念ながら戦士達の中にはまだまだ戦える者が何人もいる。レッドには逃げる術などはない。
「観念してお縄についちまいな赤いおっさん。ここには元勇者パーティと竜殺しの英雄シグルの生まれ変わりもいるんだからな」
亮一そう呟きながらレッドを拘束しようと近づいた瞬間、レッドの口角が急に上がる。
「成る程、なんと言う巡り合わせでしょうか。まさか一人は生まれ変わりとはいえ、元勇者パーティがこの戦いに参加しているだなんて。私の推測にはなりますが、あの青年が英雄シグルの生まれ変わりでしょう?」
レッドが視線を向けたのは剣を納めながらレッドに近づいていた歩だった。
「いやはや、因果という物は意外と存在するようですねぇ。私もびっくりです」
「巡り合わせやら因果やらお前は何を言っているんだ?」
「そういえば、私が先代魔王の魔力が込められた魔石を盗んだ理由を皆様に話していませんでしたね」
苦しそうに胸を押さえながらレッドは立ち上がると、両手を大きく広げてる。
両手をどんどん近づかせていき、最終的に2つの手は合わさり指が組まれる。
「融合ですよ。この世界と・・・あちらの世界をね!」
歩は一瞬思考が追い付かなかったが、レッドが言ったこの世界とあちらの世界がラグナロクとエデンのことだとすぐに気づく。
「そんな事が可能なのか!?」
「魔術は全てを可能にする万能の術。2つの世界を縫い合わせることなんて魔力さえあれば可能なことなのだよ」
レッドは薄気味悪い笑みを浮かべながら自分の胸に刺さったナイフを力任せに引っこ抜くと、ケラケラと笑いながらもう一度自分の胸に刺す。次刺したのは心臓のど真ん中だった。
「私の・・・いえ、私達の願いは果たされた!後は頼みます!ドーメル様ァ!!」
血を大量に吐き出すと、レッドは笑顔で死んでいった。
ラグドの怒涛の連続攻撃。レッドの額にも汗が垂れてきた。最初ばかりはよけて刃をよけていたが、今はそんな余裕はない。魔術でバリアを作ってラグドの一撃を防いでいる。
だが、折角作った魔術のバリアもラグドの一撃で軽々と破壊されてしまう。
「きえぇぇぇ!!」
「────ッ!!」
時々攻撃と攻撃の合間を縫って攻撃を仕掛けるが全て空振り。頬に傷をつけることもできない。
レッドの顔にも怒りが垣間見えてきた。顔色も名前通りで真っ赤になっている。
「鬱陶しいんですよっ!!」
ついにレッドの堪忍袋の緒も切れたようで両手を大きく使って巨大な黒い玉を魔術で作り上げるとラグドに向かって放った。
「来た───!!」
ラグドは飛んでくる黒い玉にニヤリと厭らしい笑みを浮かべるとそれを軽々と避け、バリアも張っていないがら空きのレッドの胸に向かって先程頂戴したナイフを投げた。
黒い玉よりも速くナイフは飛んで行き、レッドの胸にぐさりと擬音が入る程しっかり刺さった。
「ギャアァ!!」
突然襲ってきた痛みにレッドは胸を押さえる。すると、レッドの胸からキラリと光る物が落ちた。それは紫色の宝石だった。
「よしっ!!」
ラグドは紫色の宝石を確認すると、レッドの方へと走っていき宝石を奪った。
「しまっ───!!」
慌てて血まみれの手を伸ばしてももう遅い。紫色の宝石はとっくのとうに聖女マリーの元へと投げられていたのだから。
「マリー!!やれぇ!!」
マリーは飛んで来た紫色の宝石をキャッチすると、電源をいれたかロボットの如く立ち上がった。
「凄いですね!この宝石!これならいけるかもしれません────」
聖女マリーは早速ゾンビ達に祈りを捧げ始めた。するとゾンビ達は糸の切れた人形のようにバタリバタリと倒れ始め、靄のようなものが次々とゾンビの中から出てきて上へと昇っていった。
「やっぱスゲェな、聖女ってのは」
「ありがとうお祖母ちゃん」
聖女マリーはサムズアップしながら笑顔を戦士達へと向ける。完全に勝負あった。
レッドは魔術を使う為に必要な宝石を奪われ、ゾンビ達は全員天へと召された。
残念ながら戦士達の中にはまだまだ戦える者が何人もいる。レッドには逃げる術などはない。
「観念してお縄についちまいな赤いおっさん。ここには元勇者パーティと竜殺しの英雄シグルの生まれ変わりもいるんだからな」
亮一そう呟きながらレッドを拘束しようと近づいた瞬間、レッドの口角が急に上がる。
「成る程、なんと言う巡り合わせでしょうか。まさか一人は生まれ変わりとはいえ、元勇者パーティがこの戦いに参加しているだなんて。私の推測にはなりますが、あの青年が英雄シグルの生まれ変わりでしょう?」
レッドが視線を向けたのは剣を納めながらレッドに近づいていた歩だった。
「いやはや、因果という物は意外と存在するようですねぇ。私もびっくりです」
「巡り合わせやら因果やらお前は何を言っているんだ?」
「そういえば、私が先代魔王の魔力が込められた魔石を盗んだ理由を皆様に話していませんでしたね」
苦しそうに胸を押さえながらレッドは立ち上がると、両手を大きく広げてる。
両手をどんどん近づかせていき、最終的に2つの手は合わさり指が組まれる。
「融合ですよ。この世界と・・・あちらの世界をね!」
歩は一瞬思考が追い付かなかったが、レッドが言ったこの世界とあちらの世界がラグナロクとエデンのことだとすぐに気づく。
「そんな事が可能なのか!?」
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レッドは薄気味悪い笑みを浮かべながら自分の胸に刺さったナイフを力任せに引っこ抜くと、ケラケラと笑いながらもう一度自分の胸に刺す。次刺したのは心臓のど真ん中だった。
「私の・・・いえ、私達の願いは果たされた!後は頼みます!ドーメル様ァ!!」
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