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六章2つの世界
通天閣の下で・・・
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キングウルフの爪は非常に硬く、鉄鋼にも匹敵する硬度だ。
名剣と呼ばれる竜殺しの剣の一撃を軽々とではないが、防いでみせた。
流石はキング級の魔物と言った所か。図体だけが大きいゴーレムとは大違いである。
僕が英雄シグルと入れ替わった時にシグルはキングリザードをドラゴブレイクで倒したらしいが、キング級の魔物を一体どうやったら倒せるのだろうか?
ドラゴブレイクは先程撃った為もう使えない。
カオスモードを展開して蹴散らすしか────。
「Gau!!」
背後からウェアウルフが錆びた剣を振りかざして飛びかかってきた。
直感だけで気づいた歩は左手につけた盾で錆びた剣から身を守り、攻撃を防がれて狼狽えるウェアウルフの脳天から真っ二つにした。
このようにキングウルフとの一対一の時にウェアウルフが横やりを入れてくるのだ。
たいした事の無い強さだが気が散る。
歩が奇襲を仕掛けてきたウェアウルフを蹴散らしているにも関わらずキングウルフは攻撃してくるからまたたちが悪い。
もしかしたらウェアウルフの奇襲はキングウルフが仕込んでいるのでは?
なら、話は早い。
「『カオスモード』20%展開・・・!」
白黒のオーラが歩の身体を包む。身体全体に力がみなぎる。
カオスモードになった歩は盾を地面に置くと、群がるウェアウルフに向かって走り出す。
「Gau!?」
ほとんどのウェアウルフは歩の速さに追い付くことができずに刃に斬られて殺された。
残ったウェアウルフ達は尋常ではない歩の速さに狼狽えている。だが、ウェアウルフは戦いで生活をする種族。逃げたら名が廃るというもの。
そこでウェアウルフ達が目をつけたのは槍を主武器にして戦う美丈夫の青年だった。
素早い突きは素晴らしいが、所詮は槍だ。一体ずつしか仕留める事は出来ない。
強いがあの剣の男よりかはマシだろう。
ニヤリと厭らしい笑みを浮かべてウェアウルフ達はライムに飛びかかる。
「Gruaaaa!!」
「うるせえっ!?」
空中に舞うウェアウルフ達をとらえたライムは横に薙いで一掃した。
腹を横に切られたせいで簡単には死ねずに苦しみながら死んでいく。
「ちっ!舐めすぎだよ槍使いを!」
槍は単体の敵を倒す事しかできないと思われがちだが、使い方によって集団にもダメージを与えることができる。
上手く使えば狭い洞窟の中でも使う事は可能だ。
槍を使うようになってから早10年以上。槍の使い方は熟知しているライムにとって槍だと油断して襲いかかってきたウェアウルフの集団を一掃する事なんて朝飯前だ。
「歩!周りの取り巻きは俺に任せてお前はキングウルフを殺せ!」
「はい!」
アスファルトが砕ける程足に力を込め、キングウルフめがけてかっ飛ぶ。
「うぉおおおおおお!!」
カオスモードのエネルギーが大量に込められた剣で斬りつけるが、キングウルフの鋼鉄のような硬い爪で止められてしまう。
「う・・・ぐぁああああ!!」
歩は諦めずに剣に力を込め続ける。叩き斬る勢いで刃を押し込む。
パキリ。キングウルフの爪に亀裂が入る。亀裂はどんどん大きくなっていき
、氷のように粉々に砕けた。
パラパラと破片が歩の頬にペチペチと当たる。キングウルフはまさか砕かれると思っていなかったのだろう。驚愕が表情に現れていた。
「Wau!?」
爪を砕いた歩は一歩後退すると、がら空きになった腹を剣で横に斬る。
「Gaaaaaaaaaaaaa!!」
斬り口から噴水のように血が吹き出し、キングウルフは苦しみながら息絶えた。
血のついた刃を払ってから鞘に納める。
「終わったか・・・」
でも何か違和感がある。しっくりこないと言うか、まだ終わっていないというか・・・。
何よりキングウルフを殺したという実感が無かった。
確かに腹は斬った。かなり深く。だが、手応えが無いのだ。
倒したはずなのに感触が無いなんて、こんな事は初めてだ。
「歩!やったか!?」
「やった事はやったはずなのですが・・・」
殺した実感がないことをライムさんに伝えるとライムさんはキングウルフの死体に近づいて調べ始めた。
「特に変わった事はなさそうだが・・・ん?何だこの虫?」
歩が斬った腹の斬り口を調べている時、ライムは何かを見つけた。ライムは見つけた何かを手でつまむと歩に見せる。
「芋虫・・・ですか?」
「ああ。蚕に似てるな」
ライムが見つけたのは蚕に良く似た白い芋虫だった。血で赤く染まってはいるが、元の色は白だと言うのは歩でも分かる。
「あれ?これって・・・・・・ッッ!!」
電撃が走ったかのような顔つきになるライム。
反応するや否や白い芋虫をキングウルフの死体に投げて槍を構えた。
「せりゃあ!!」
そしてキングウルフの心臓を勢い良く穿つ。腹を斬られて死んでいたので特に身体は動かなかったが。
一体どうして死んだ魔物に対して槍を・・・?
その答えはすぐに教えてくれた。
「俺が見つけたあの芋虫はな、屍人虫って呼ばれててね。あらゆる生物に寄生してはゾンビ化させる能力を持つ恐ろしい虫なんだ」
「ゾンビ化させる・・・!?」
まるでSFの世界にいそうな虫だ。こんな虫がいるなんてあちらの世界ではバイオハザードが起きているのでは?
「たまにあるぞバイオハザード。でも大体の原因がコイツだ。後は魔女」
「もしかして裂け目を作った科学者はこっちの世界に屍人虫を運ぶ為にこんな真似を・・・!!」
「分からない。屍人虫はどんな森でもいるからな。裂け目の先は森だっただろう?ただ単純にキングウルフが油断して寄生された可能性の方が高い」
「そうですか・・・」
「自発的か自然的のどっちでもこの事は報告させてもらう事にする。キングウルフとウェアウルフ数体の死体をもらって行っても良いか?」
「分かりました。報告はこちらからしておきます。今回は増援ありがとうございます!」
ライムはとても爽やかな笑顔を歩に向ける。
「良いってことよ!それよりも歩、お前魔族の平和記念パーティーに参加するんだってな?」
「はい。もしかしてライムさんも?」
「俺も一応は騎士だし貴族って理由で親父に参加しろって言われた」
「ライムさん貴族だったんですか・・・」
「そういえば教えてなかったっけ?そうだぜ!俺は一応貴族なんだ!」
シトラもそうだったが、ラグナロクの貴族はお転婆な人が多いのだろうか?
名剣と呼ばれる竜殺しの剣の一撃を軽々とではないが、防いでみせた。
流石はキング級の魔物と言った所か。図体だけが大きいゴーレムとは大違いである。
僕が英雄シグルと入れ替わった時にシグルはキングリザードをドラゴブレイクで倒したらしいが、キング級の魔物を一体どうやったら倒せるのだろうか?
ドラゴブレイクは先程撃った為もう使えない。
カオスモードを展開して蹴散らすしか────。
「Gau!!」
背後からウェアウルフが錆びた剣を振りかざして飛びかかってきた。
直感だけで気づいた歩は左手につけた盾で錆びた剣から身を守り、攻撃を防がれて狼狽えるウェアウルフの脳天から真っ二つにした。
このようにキングウルフとの一対一の時にウェアウルフが横やりを入れてくるのだ。
たいした事の無い強さだが気が散る。
歩が奇襲を仕掛けてきたウェアウルフを蹴散らしているにも関わらずキングウルフは攻撃してくるからまたたちが悪い。
もしかしたらウェアウルフの奇襲はキングウルフが仕込んでいるのでは?
なら、話は早い。
「『カオスモード』20%展開・・・!」
白黒のオーラが歩の身体を包む。身体全体に力がみなぎる。
カオスモードになった歩は盾を地面に置くと、群がるウェアウルフに向かって走り出す。
「Gau!?」
ほとんどのウェアウルフは歩の速さに追い付くことができずに刃に斬られて殺された。
残ったウェアウルフ達は尋常ではない歩の速さに狼狽えている。だが、ウェアウルフは戦いで生活をする種族。逃げたら名が廃るというもの。
そこでウェアウルフ達が目をつけたのは槍を主武器にして戦う美丈夫の青年だった。
素早い突きは素晴らしいが、所詮は槍だ。一体ずつしか仕留める事は出来ない。
強いがあの剣の男よりかはマシだろう。
ニヤリと厭らしい笑みを浮かべてウェアウルフ達はライムに飛びかかる。
「Gruaaaa!!」
「うるせえっ!?」
空中に舞うウェアウルフ達をとらえたライムは横に薙いで一掃した。
腹を横に切られたせいで簡単には死ねずに苦しみながら死んでいく。
「ちっ!舐めすぎだよ槍使いを!」
槍は単体の敵を倒す事しかできないと思われがちだが、使い方によって集団にもダメージを与えることができる。
上手く使えば狭い洞窟の中でも使う事は可能だ。
槍を使うようになってから早10年以上。槍の使い方は熟知しているライムにとって槍だと油断して襲いかかってきたウェアウルフの集団を一掃する事なんて朝飯前だ。
「歩!周りの取り巻きは俺に任せてお前はキングウルフを殺せ!」
「はい!」
アスファルトが砕ける程足に力を込め、キングウルフめがけてかっ飛ぶ。
「うぉおおおおおお!!」
カオスモードのエネルギーが大量に込められた剣で斬りつけるが、キングウルフの鋼鉄のような硬い爪で止められてしまう。
「う・・・ぐぁああああ!!」
歩は諦めずに剣に力を込め続ける。叩き斬る勢いで刃を押し込む。
パキリ。キングウルフの爪に亀裂が入る。亀裂はどんどん大きくなっていき
、氷のように粉々に砕けた。
パラパラと破片が歩の頬にペチペチと当たる。キングウルフはまさか砕かれると思っていなかったのだろう。驚愕が表情に現れていた。
「Wau!?」
爪を砕いた歩は一歩後退すると、がら空きになった腹を剣で横に斬る。
「Gaaaaaaaaaaaaa!!」
斬り口から噴水のように血が吹き出し、キングウルフは苦しみながら息絶えた。
血のついた刃を払ってから鞘に納める。
「終わったか・・・」
でも何か違和感がある。しっくりこないと言うか、まだ終わっていないというか・・・。
何よりキングウルフを殺したという実感が無かった。
確かに腹は斬った。かなり深く。だが、手応えが無いのだ。
倒したはずなのに感触が無いなんて、こんな事は初めてだ。
「歩!やったか!?」
「やった事はやったはずなのですが・・・」
殺した実感がないことをライムさんに伝えるとライムさんはキングウルフの死体に近づいて調べ始めた。
「特に変わった事はなさそうだが・・・ん?何だこの虫?」
歩が斬った腹の斬り口を調べている時、ライムは何かを見つけた。ライムは見つけた何かを手でつまむと歩に見せる。
「芋虫・・・ですか?」
「ああ。蚕に似てるな」
ライムが見つけたのは蚕に良く似た白い芋虫だった。血で赤く染まってはいるが、元の色は白だと言うのは歩でも分かる。
「あれ?これって・・・・・・ッッ!!」
電撃が走ったかのような顔つきになるライム。
反応するや否や白い芋虫をキングウルフの死体に投げて槍を構えた。
「せりゃあ!!」
そしてキングウルフの心臓を勢い良く穿つ。腹を斬られて死んでいたので特に身体は動かなかったが。
一体どうして死んだ魔物に対して槍を・・・?
その答えはすぐに教えてくれた。
「俺が見つけたあの芋虫はな、屍人虫って呼ばれててね。あらゆる生物に寄生してはゾンビ化させる能力を持つ恐ろしい虫なんだ」
「ゾンビ化させる・・・!?」
まるでSFの世界にいそうな虫だ。こんな虫がいるなんてあちらの世界ではバイオハザードが起きているのでは?
「たまにあるぞバイオハザード。でも大体の原因がコイツだ。後は魔女」
「もしかして裂け目を作った科学者はこっちの世界に屍人虫を運ぶ為にこんな真似を・・・!!」
「分からない。屍人虫はどんな森でもいるからな。裂け目の先は森だっただろう?ただ単純にキングウルフが油断して寄生された可能性の方が高い」
「そうですか・・・」
「自発的か自然的のどっちでもこの事は報告させてもらう事にする。キングウルフとウェアウルフ数体の死体をもらって行っても良いか?」
「分かりました。報告はこちらからしておきます。今回は増援ありがとうございます!」
ライムはとても爽やかな笑顔を歩に向ける。
「良いってことよ!それよりも歩、お前魔族の平和記念パーティーに参加するんだってな?」
「はい。もしかしてライムさんも?」
「俺も一応は騎士だし貴族って理由で親父に参加しろって言われた」
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