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四章二人の魔女の戦争

ロマニア王国

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「・・・ここが、ロマニア王国・・・」

 まず、目に入って来たのは人々がごった返す市場だった。中世の格好をした国民達があれをくれそれをくれと商人と取り引きをする。

 果物を扱う店もあれば、冒険の為の武器を売っている露店もある。

 その光景は歩が思い描いていたファンタジーの世界そのものであった。

「キリキリ歩け!」

 しかし、良いイメージだけではない。兵士と思わしき男性5人が10人の老若男女に手枷と足枷をつけて何処かへと連れていっている姿もあった。

 ファンタジーの世界とはいえ、ロマニアは国だ。きっと法律が立てられているのであろう。

「ほら、歩かないと馬車に引かれるぞ?」

 歩いているのは人間だけではなく、馬車やシトラのような普通の人間とは少し容姿の違った亜種族もいる。

 見える物全てが新しくて思考が追い付いていない。

「歩君、観光したい気持ちも分かるがひとまず城に行こうか」

「あ、はい。すみません」

 ラグドさんを先頭に道を歩いていく。流石騎士団長と言ったところか、小さい子どもや精肉店の店長までもが気軽にラグドさんに話しかけてはハイタッチをして別れる。

 彼が騎士団長としてだけでなく、人としても尊敬されているのが分かる一時であった。

 しばらく歩くと、白い壁に赤い屋根と言ったシンプルで美しい城が見えてきた。あれが、ロマニア城。

「やっぱ、ここはいつ来ても綺麗ね!」

「そういえば、シトラは大臣の娘だったね」

「そういえばって何よ!そういえばって!」

 1年半も一緒に暮らしていたせいか、忘れていたが、彼女はエルフの国の大臣の娘。貴族である。 

「中は構造が複雑でシャルナと遊んだ時は毎回1時間超の大スケールかくれんぼをやったわ!」

「シャルナって・・・ロマニア王国の王女とか?」

「流石だね、歩君。その通りだよ。ちなみにシャルナ姫もシトラと似てかなりお転婆だよ」

「そうなんですか、それは会うのが楽しみです」

 世間話をしているとあっという間に城の入り口へとたどり着く。門番である2人の兵士はラグドとライムの顔を見ると、あっさりと門を開けて中へと入れた。

「凄い・・・」

 まず、最初に思い浮かんだ言葉はやはり『美』だった。床は大理石で出来ており、その床の上には王の間へと続くレッドカーペットが敷かれている。

 城という大規模な建物だというのに、見る所ホコリらしい物は見当たらない。

 誰もが想像する理想の城だった。

「「「「お帰りなさいませ、騎士団長様、副団長様」」」」

 騎士団長と副団長が帰ってきたと気づいた途端、辺りにいた兵士達が、一斉にお迎えの言葉をかける。何もかもが理想通りの城である。

「私の留守中に何か事件はあったかね?」

「はっ、下級悪魔が2日前に、違法薬物の取引が昨日ありました!」

「その様子だと、全て片付いたのかね?」

「下級悪魔の退治には成功しました!違法薬物の取引商は捕まえる事が出来ましたが、黒幕は未だ掴めず!」

「分かった。報告ありがとう、下がってくれ」

「はっ!」

 兵士は報告を終えると、務めへと戻っていった。

「では、王の元へと行こうか」

 再び歩き始める。階段を上り、3階まで上ると他のとは比べ物にならない程大きな扉の前に立たされた。

 そこにも門と同様に兵士が立ちはだかっており、ラグド達の顔を見た途端に扉から退き道を開ける。

「我が王は心がとても広い方だが、粗相はないようにね」

「は、はい・・・」

 一国の王に謁見。初めての体験に歩は間接が錆びたロボットのような動きで歩む。

 それは僕だけではないようで、亮一は勿論、葵までもが緊張している。

「そんな緊張するなって!俺なんて最初の謁見の時に口笛を吹きながら入ったぜ!」

 ライムさんの気の効いたジョークにエデン組の心が和らぐ。

「あれは今でも覚えているよ。いやー本当にヒヤヒヤしたよ」

 いや、ジョークじゃないんかい!緊張で声が出せないので心で叫ぶ歩であった。

 心が和らいだ所でやっと謁見の間の扉が開く。緊張故か完全に扉が開ききるまで随分長く感じた。

「待っていたぞ、ラグド、ライム」

 目線のすぐ前。控えめな配色ながらも高価な服を着て、頭には宝石が散りばめられた王冠を被った50代後半の男性がいた。

 誰が見ても分かる。ロマニア国の王だ。

「さて、その後ろにいるのは・・・?」

「歩、前に出て自己紹介」

 小声でライムに囁かれて歩は少し前に出ると、背筋をピンと伸ばして名前と簡単に城に来た経緯いきさつを話した。

「分かりやすい説明をありがとう、歩。そして君にやっと会えた」

「僕に・・・ですか・・・?」

 ロマニア王国の王が僕を待っていた?ただの喫茶店を営む僕を?

「君の事はラグドからよく聞いている。才能があり、素晴らしい人格の持ち主だと」

 チラリと歩はラグドの方を見ると、彼はウインクをした。

「あ、ありがとうございます。陛下・・・」

「ハハハハ!緊張しているのか!?そりゃあ仕方ないか!」

 ロマニア王国の王。ラグナロク一の国を治める王は大層厳しい人かと思ったが───どうやら思い違いだったようだ。

 むしろ彼だからこそこのロマニア王国は平和が続いているのではないか?

「さて、次は君達だな・・・」

 次に王が目を向けたのは亮一達の方だった。亮一達は王に目線を向けられるとびくっ!と肩を震わせる。

 僕と合流する前にここに立ち寄ったと聞いたが、そのとき何か不味い事をしたのだろうか?

「えっ───」

 どうやら・・・予想が的中したらしい。王の目線に恐れおののいた3人は一斉に正座をし、床を割ろうとしているのかと疑わせる程の強さで頭を床に擦り付けてこう言った────。

「「「先日は大変なご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした!!」」」

 唾を飲む土下座。まさかこんなに素晴らしい土下座をラグナロクで見られるとは思ってもいなかった。

 王も怒る事をせずに土下座に驚いて玉座から転げ落ちている。

「い、いや、大丈夫だから。兵士達も腕を擦りむいた程度の怪我だったし、それに急いでたのに止めようとしていたワシも悪いし───」

 悪いのは(多分)亮一達なのに、逆に王様が謝る始末。恐るべし土下座パワーと言ったところ。

「俺らに出来る事があれば、是非言ってください!」

「洗濯でも、お掃除でも、お料理でも!なんなら戦闘にも使って構わないです!いやむしろ戦闘で使って下さい」

「まあ、本人達もこうやって頭擦り付けて反省しているので許してやって下さいよ陛k───アダッ!!」

  土下座している状態の亮一に頭をポカリと殴られる葵。お前は一体何をしているんだ?

「戦いね・・・君達、魔女と戦う為に来たんだね?」

歩を含めたエデン組4人がコクリと頭を下げる。歩に続いてラグドもライムも頭を下げた。

「ラグドから聞いている通り今我が国の兵士は半分もの数が削れてしまった。正直に言って魔女に勝てるかどうかも分からない状況だ」

 ラグドさんが話していた悪魔達との戦い。どれ程壮絶な戦いだったのだろうか?考えただけで鳥肌が立つ。

「君達のレベルはいくつだね?」

「全員が60を超えています」

「ほう、素晴らしい。是非とも我が国の戦力となって頂きたい。客将として扱っても構わないかね?」

「客将・・・ですか?良いんですか?僕らがそんな良い位をもらって」

「貰うに十分に値する。心配しなくて良い、君達はあちらの世界エデンでは分からなかっただろうが、君達の力は驚異的だよ」

ステータスカードを持っているのは歩を含んでも7人しかいなかった。だからどれ程が強くてどれ程が弱いのか分からなかったのだ。

「期待しているよ、客将殿」



「シャルナー、いるー?」

 シトラは謁見の間から出ると友達であるロマニア王国の王女シャルナに会いに行った。

 ノックをするが、反応はなし。

「ロマニア王、居るって言ってたよな?」

 ロマニア王にあの後シトラはシャルナがいるか聞いていた。答えはイエス。最近は真面目に勉強に勤しんでいるらしい。

「もしかして勉強に集中しすぎているとか・・・?」

「あぁ、テスト前の歩みたいな状態になっているわけ?」

「多分ね」

 だとしたら勝手に入るわけにはいかない。メイドさんでも連れてこよう。そう言ってシトラはシャルナ専属のメイドだという女性を連れてきた。シャルナ専属のメイドは艶やかな黒髪を三つ編みにした優しそうな女性だった。

「ごめんなさい、私情で連れてきてしまって」

「いえいえ、構いません。私も丁度手が開いていたので。それに、シャルナ様もお友達が来たと知れば跳び跳ねて喜びますわ」

 専属メイドはシトラがしたようにコンコンとドアをノックすると、「シャルナ様、メルティです。開けて下さい」とドアに向けて喋った。

 しかし、1分経っても反応なし。メルティははて、と首を傾げるともう一度同じ行動をした。またも反応はなし。

「おかしいですね・・・姫様、入りますよ」

 メルティは音を立てないようにゆっくりとドアノブを捻るとゆっくりとドアを開けて姫の部屋へと入る。

「これは───」

 中には───誰もいなかった。代わりに勉強机と思われる机の近くにある窓が大きく開かれており、床に文字がびっしりと書かれた羊皮紙が散乱している。

「ああ、逃げてしまいましたか・・・」

「また?と言うと何度か脱走しているのですか?」

「はい・・・。確かにシャルナ様は以前と比べて勉強もするようになりましたが、それはただ単に欲求を抑え込んでいるだけなんです」

「成る程。ストレス発散で脱走か・・・」

 おそらく父親であるロマニア王に頼めば外に出してくれるだろうが、シャルナ王女は国の象徴そのもの。象徴を1人でほっつき歩かせる国があるものか。護衛の為の兵士が必ずつくであろう。

 それを知っているシャルナ王女はその警護が嫌で窓から逃げ出したと見える。

「とにかく探しましょう。僕らも手伝いますので・・・」

「ありがとうございます・・・!!」

 メルティはペコペコと頭を下げる。彼女のせいではないので頭は下げないでほしいのだが。メルティは兵士を呼びに兵士の詰所へと走っていった。

「まずどうやって下に降りたんだ?ここ4階だぞ?」

 4階から飛び出しても健康な人間だったならば死にはしないが、着地した際に必ず何処かの骨が折れているはずだ。王女も流石に何もなしで飛び降りる事はないだろう。何か布を繋げてロープを作って下に降りたに違いない。と、思ったのだが───。

「何にも・・・ない・・・」

 窓には下に降りる為に使った物は1つも見当たらなかった。一体どうやって───。

「ん?あれ・・・?」

「どうしたの?」

 歩はある不可解な点に気づいてしまった。それは───。

「窓枠に足跡がない・・・」

「足跡?なんで足跡なの?」

「ここから飛び降りるなら、窓枠の上に立たなきゃいけないだろ?」

「あぁー、確かに!」

 しかし、窓枠に王女の足跡どころかとても綺麗で、誰の足跡もついてはいなかった。

 と、言うことは。導かれる答えは1つ。

「王女はこの城から出ていない」



「何?シャルナは城からは出ていないだと?」

 頭にハテナを浮かべるロマニア王に歩は自分の推理を教える。ロマニア王はすぐに納得してくれた。

「成る程の・・・。よし分かった!兵士達よ、城中を探せ!」

 王の命令に敬礼すると、兵士達は王女の部屋からそそくさと立ち去った。

「ロマニア王は何か心当たりはありますか?」

「心当たりというと?」

「シャルナ姫が隠れそうな場所です」

 そうだなー、とロマニア王はしばしの間唸ると着いて来いと背中を向ける。

 まず、連れてこられたのは城の中に建設された大きな図書館だった。

 ロマニア王は大量にある本棚の1つの前に立つと、何処からかマゼンダ色の本を取り出す。その本を空いているスペースに入れると、なんということか───!!

「隠し部屋!?」

「しー!図書館だから!」

 驚きで大声を出してしまった歩にロマニア王は優しく注意すると、現れた下へと続く階段を下っていく。

 図書館の隠し部屋に広がっていたのは、。だが、ただの本ではないというのは素人の僕でも分かる。

「こ、これは───!!」

「どうしたのシトラ?」

 興味本位で本を本棚から1冊取ったシトラは目が飛び出してしまうのではないかと心配するほど目を見開いて驚く。

「こ、これ魔導書よ!しかも紀元前の魔法使いが書いた物!!」

「えっ!?」

 魔導書の価値はイマイチ分からないが、歴史の深さに思わず驚く歩。元の世界エデンの物で例えるなら書聖と呼ばれる王羲之おうぎしが書いた作品と同じくらいの価値があるのではないか。

「どどど、どうしてこんな物なここに・・・!」

「それは私も分からない。ただ言える事は1つだけある。その中身を理解したら今の世に蔓延はびこっている常識が変わってしまうだろうな」

 たった1冊の本がそれほどの力を持っているかは定かではないが、もし本当ならは恐ろしい事が起こりそうなので開かないでおこうと開こうとしていたシトラを止める。

「本題に戻るが・・・いないようだな」

 魔導書に興奮していて一時だけ頭から吹き飛んでいたが、僕らの目的は王女シャルナを見つけ出す事だ。貴重な本を見にきたわけではない。

「では、次の場所に案内しよう。着いてきてくれ」

 今の僕らには拒否権はなかった。ただ、僕らに見せてしまっても良いのだろうか?この国どころかこの世界の人間ではないのに・・・。
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