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四章二人の魔女の戦争
プロローグ2
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カランカランと来客を知らせるベルの音が店に響き渡る。
店は昼という事もあって賑わっていたが、エルフのシトラは決して来客を見逃さない。
「いらっしゃいませ~。お客様何名様でしょうか?」
「3人です」
来店したのは常連の子供連れの親子だった。無邪気に手を振る少女にシトラは笑顔で手を振る。
「では、こちらへどうぞ~」
ついさっき拭き終えたテーブル席に案内する。昼のお客の入れ替りはとても激しい。目が回ってしまいそうだ。
「ご注文がお決まりになりましたらお声をおかけください」
「いや、もう決まってる。ハヤシライス3つお願いします」
「はい!かしこまりました!!」
常連の人の接客は本当に楽だ。だって最初から何を食べるか決めているのだから。
歩の考案した新メニューも食べてほしいという願望もあるが、何を選ぶのかは客の勝手だ。押し付けてはいけない。
注文を聞いたシトラはキッチンへと向かいエプロンに身を包む青年に声をかける。
「歩、ハヤシライス3つ!」
「はいよっと!」
歩は聞こえていたのだろうかご飯をお皿に盛ってその上からルーをかけていた。
「お冷持っていくね!」
「うん!お願い!!」
3つのコップに氷と水を注ぐと先程の親子へと運ぶ。
ここ『憩いの場』で働いているのは歩とシトラとバイトが2人。流石に2人ではきついと歩が雇ってくれたのだ。
賢明な判断だとアタシは思う。けれども少し寂しくもあった。歩と2人きりでいられる時間が短くなってしまったからだ。
まあ、その分夜に甘えるのだが。
「すみませ~ん、会計お願いしまーす!」
提供した料理を食べ終わったお客がレシートを持ってレジの前にたっている。急いで行かなければ・・・!
「はいはい!今お伺いします!」
レジに立ったのはシトラではなく、歩よりも背が少しばかり高い若い男だった。
「ごめん、ありがとう亮一!」
レジをしてくれだ亮一に感謝の言葉を述べるとシトラはキッチンに再び向かう。
すると、同じタイミングでキッチンを出ようとした小柄の女性にぶつかりそうになる。
「ごめん葵!」
「ううん、大丈夫」
驚いて一瞬ジュースをこぼしそうになった葵だが、驚異の体幹で見事溢さなかった。
「歩、出来た?」
「うん、すぐに持っていって!」
歩のすぐ近くには『憩いの場』特製のハヤシライスが3つ作られていた。それを大きなお盆に載せて親子の元へと運ぶ。
忙しいけれど、楽しい毎日を歩達は暮らしていた。
店は昼という事もあって賑わっていたが、エルフのシトラは決して来客を見逃さない。
「いらっしゃいませ~。お客様何名様でしょうか?」
「3人です」
来店したのは常連の子供連れの親子だった。無邪気に手を振る少女にシトラは笑顔で手を振る。
「では、こちらへどうぞ~」
ついさっき拭き終えたテーブル席に案内する。昼のお客の入れ替りはとても激しい。目が回ってしまいそうだ。
「ご注文がお決まりになりましたらお声をおかけください」
「いや、もう決まってる。ハヤシライス3つお願いします」
「はい!かしこまりました!!」
常連の人の接客は本当に楽だ。だって最初から何を食べるか決めているのだから。
歩の考案した新メニューも食べてほしいという願望もあるが、何を選ぶのかは客の勝手だ。押し付けてはいけない。
注文を聞いたシトラはキッチンへと向かいエプロンに身を包む青年に声をかける。
「歩、ハヤシライス3つ!」
「はいよっと!」
歩は聞こえていたのだろうかご飯をお皿に盛ってその上からルーをかけていた。
「お冷持っていくね!」
「うん!お願い!!」
3つのコップに氷と水を注ぐと先程の親子へと運ぶ。
ここ『憩いの場』で働いているのは歩とシトラとバイトが2人。流石に2人ではきついと歩が雇ってくれたのだ。
賢明な判断だとアタシは思う。けれども少し寂しくもあった。歩と2人きりでいられる時間が短くなってしまったからだ。
まあ、その分夜に甘えるのだが。
「すみませ~ん、会計お願いしまーす!」
提供した料理を食べ終わったお客がレシートを持ってレジの前にたっている。急いで行かなければ・・・!
「はいはい!今お伺いします!」
レジに立ったのはシトラではなく、歩よりも背が少しばかり高い若い男だった。
「ごめん、ありがとう亮一!」
レジをしてくれだ亮一に感謝の言葉を述べるとシトラはキッチンに再び向かう。
すると、同じタイミングでキッチンを出ようとした小柄の女性にぶつかりそうになる。
「ごめん葵!」
「ううん、大丈夫」
驚いて一瞬ジュースをこぼしそうになった葵だが、驚異の体幹で見事溢さなかった。
「歩、出来た?」
「うん、すぐに持っていって!」
歩のすぐ近くには『憩いの場』特製のハヤシライスが3つ作られていた。それを大きなお盆に載せて親子の元へと運ぶ。
忙しいけれど、楽しい毎日を歩達は暮らしていた。
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