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最終章 探究者と門番
30話 煽り煽られ
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「どうした?ルミナ、出力が、落ちている、ぞ」
「さっきまで、ずっと魔力を使用してたからね☆私の実験の素晴らしさが分からない頭の悪い人達のせいで台無しになったけどさ!!」
「それは、自業自得と言うのではないのか?ルミナ。君は、いつも、他人に、迷惑を、かける。もう少し、人に、気を使うように、したら、どうかな?」
「それは無理な相談だね☆」
「それも、そうか。今から、お前は、死ぬんだから」
少しおとなしい口喧嘩のついでに行われる激しい魔力のぶつかり合い。魔術を練る余裕がないのか、はたまた、魔術を練る必要もないのだろうか。
ただの喧嘩で済むなら、俺達も達観していた。しかし、既に異門町に被害が出ている。町から人が避難しきっている事が唯一の救いだ。
硬いアスファルトが、まるでお煎餅のように割られていく。しっかりと建築されたスーパーマーケットが、クッキーのように粉々になっていく。
同じ人間のはずなのに、まるで別生物の喧嘩を見ているようだ。
「なんちゅー、破壊力なの?あれ、人間が出して良い力じゃなくない?」
「それが、賢者なんだろうな。リャオさん、2人の残り魔力量を見る事ってできます?俺達じゃ、大まかにしか把握できないので!」
「うぅむ・・・クティが残り97%、ルミナが残り20%と言ったところかな?」
残り20%は、スマホで例えるなら、右上のバッテリー表示が赤くなる程度。つまりは、そろそろ電池切れするという事だ。
「なら、このまま放置してても・・・」
「いや、駄目だ。ルミナの魔力が切れる頃には、この国が修復不可能なくらい破壊されている」
「どうして!?あんなに雑な使い方してるのに!!」
「ううん、ヒスイ。それは賢者クティだけだよ。ルミナは必要最低限の魔力しか使ってない」
「わかりやすく例えるならば、省エネモードといったところでしょうか?全てタイミング合わせが必要になる大変危険な戦いですが、続けられれば、5時間は最低でも戦い続けられるでしょう」
5時間!?たった数分で異門町を半壊させたというのに、5時間もらあの調子で戦われたら、最低でも日本は滅ぼされてしまうのではないか?
「本当にやばい・・・!!なんとしてでも異門町で止めなくちゃ・・・で、でもどうすれば・・・」
俺達の体力は限界を既に超えている。リリとシュエリ王女の魔力は既に尽きている。打つ手は無い・・・いや?ある。じゃないか。
「リリ!シュエリ王女!!魔力は底を尽きていますか!?」
「尽きていると言われると、確かに尽きちゃってるね。出せるとしても、ライター程度の火だと思う」
「私も、一口サイズの氷を作る程度しか魔力は残っていません。ですが、何故そのようなことを?」
「思い出したんですよ!ロット2世を倒した時のことを!!シャープもモネも主任も覚えていますよね!あの戦法を!!」
「ああ、あれね!あれなら確かに行けるカモ!?」
「しかも、こっちには魔力の貯蔵タンクみたいなのが2人もいる。これなら、行けるんじゃねえの?」
「少なくとも、今よりかは遥かにマシな状況になるね~。勿論、翡翠もシャープも手伝ってねー?」
「「もちろん!!」」
翡翠の一言で、全てを理解する一同。シュエリも少し遅れて理解した。
「な、何をやろうとしとるんだ?皆・・・」
「魔力があって困るなら・・・魔力を吸収しちゃえば良いんですよ!!」
魔力吸収魔術。リリとシュエリ王女レベルの魔力を持ったロット2世に対抗するべく使用された魔術。他者の魔力を吸い、己の魔力にする補給魔術。
リャオも知らないわけがなく、理解した途端、手をポンと叩いて、彼らの名案に関心した。
「なるほど!それなら、行けるかもしれない!!」
残り20%残っているルミナの魔力を吸い上げ、戦えなくして、強制的にあの迷惑極まりない喧嘩を止める。この状況において最適解かもしれない。
「リリ!シュエリ!!お願い!!」
「まかせて!!」「任せて下さい!!」
やる気は十分、魔力吸収魔術を使うのに最低限必要な最低限の魔力もある。しっかりと使うこともできる。
「「マジケエフージオ!!」」
2人の魔力吸収が始まる。残りの魔力を気にしていたのだろう。ルミナはすぐに自分が魔力を吸われている事に気がついた。
「ちょっと!本当にやめて!死んじゃうから!!」
「そうやって、命乞いしてきた人達を何人殺してきた!絶対にやめないからな」
「くっ・・・!死ねぇ!!」
純粋な魔力の塊が飛んでくる。人から離れた魔力を吸収する事はできない。
「させないっ!!」
だから、誰かが守らなければならない。俺は、今彼女達を守らなければならない。魔力の塊を切り返し、ルミナにぶつけた。
「ぐえっ!?」
「そこだ」
「ぐはぁ!?」
切り返した魔力の塊がぶつかり、その次に、賢者クティの拳が腹に入る。強烈な2発の攻撃にルミナは、墜落してくる。
「そろそろ、トドメ」
「や、だ・・・こんな所で死ぬなんて絶対に嫌だぁ・・・!!」
「諦めろ、お前に、もう、助かる、術は、無い」
「キャハハ・・・それは違うんじゃないかな?私だって、ただただ惑星融合に力を注いでたわけじゃないんだし」
「何が、言いたい?」
「私には、私以外に私がいる!貴方達は良く知っているでしょう?」
ああ、良く知っている。ついさっきまで戦っていたんだからな。
「ルミナコピー・・・」
「そう!魔力量以外は完璧に再現された私の傑作の1つ!私レベルじゃなくても、魔力を持ってる!そう!つまり!!」
指パッチンと共に無数のルミナコピーが現れる。
「コピーから魔力を貰えば!私は元通りってわけ!!キャハハハハハハ!!」
「「「「キャハハハハハハ!!」」」」
「つくづぬ悪知恵が働くなぁ!本当に!!」
「どうした?ルミナ、出力が、落ちている、ぞ」
「さっきまで、ずっと魔力を使用してたからね☆私の実験の素晴らしさが分からない頭の悪い人達のせいで台無しになったけどさ!!」
「それは、自業自得と言うのではないのか?ルミナ。君は、いつも、他人に、迷惑を、かける。もう少し、人に、気を使うように、したら、どうかな?」
「それは無理な相談だね☆」
「それも、そうか。今から、お前は、死ぬんだから」
少しおとなしい口喧嘩のついでに行われる激しい魔力のぶつかり合い。魔術を練る余裕がないのか、はたまた、魔術を練る必要もないのだろうか。
ただの喧嘩で済むなら、俺達も達観していた。しかし、既に異門町に被害が出ている。町から人が避難しきっている事が唯一の救いだ。
硬いアスファルトが、まるでお煎餅のように割られていく。しっかりと建築されたスーパーマーケットが、クッキーのように粉々になっていく。
同じ人間のはずなのに、まるで別生物の喧嘩を見ているようだ。
「なんちゅー、破壊力なの?あれ、人間が出して良い力じゃなくない?」
「それが、賢者なんだろうな。リャオさん、2人の残り魔力量を見る事ってできます?俺達じゃ、大まかにしか把握できないので!」
「うぅむ・・・クティが残り97%、ルミナが残り20%と言ったところかな?」
残り20%は、スマホで例えるなら、右上のバッテリー表示が赤くなる程度。つまりは、そろそろ電池切れするという事だ。
「なら、このまま放置してても・・・」
「いや、駄目だ。ルミナの魔力が切れる頃には、この国が修復不可能なくらい破壊されている」
「どうして!?あんなに雑な使い方してるのに!!」
「ううん、ヒスイ。それは賢者クティだけだよ。ルミナは必要最低限の魔力しか使ってない」
「わかりやすく例えるならば、省エネモードといったところでしょうか?全てタイミング合わせが必要になる大変危険な戦いですが、続けられれば、5時間は最低でも戦い続けられるでしょう」
5時間!?たった数分で異門町を半壊させたというのに、5時間もらあの調子で戦われたら、最低でも日本は滅ぼされてしまうのではないか?
「本当にやばい・・・!!なんとしてでも異門町で止めなくちゃ・・・で、でもどうすれば・・・」
俺達の体力は限界を既に超えている。リリとシュエリ王女の魔力は既に尽きている。打つ手は無い・・・いや?ある。じゃないか。
「リリ!シュエリ王女!!魔力は底を尽きていますか!?」
「尽きていると言われると、確かに尽きちゃってるね。出せるとしても、ライター程度の火だと思う」
「私も、一口サイズの氷を作る程度しか魔力は残っていません。ですが、何故そのようなことを?」
「思い出したんですよ!ロット2世を倒した時のことを!!シャープもモネも主任も覚えていますよね!あの戦法を!!」
「ああ、あれね!あれなら確かに行けるカモ!?」
「しかも、こっちには魔力の貯蔵タンクみたいなのが2人もいる。これなら、行けるんじゃねえの?」
「少なくとも、今よりかは遥かにマシな状況になるね~。勿論、翡翠もシャープも手伝ってねー?」
「「もちろん!!」」
翡翠の一言で、全てを理解する一同。シュエリも少し遅れて理解した。
「な、何をやろうとしとるんだ?皆・・・」
「魔力があって困るなら・・・魔力を吸収しちゃえば良いんですよ!!」
魔力吸収魔術。リリとシュエリ王女レベルの魔力を持ったロット2世に対抗するべく使用された魔術。他者の魔力を吸い、己の魔力にする補給魔術。
リャオも知らないわけがなく、理解した途端、手をポンと叩いて、彼らの名案に関心した。
「なるほど!それなら、行けるかもしれない!!」
残り20%残っているルミナの魔力を吸い上げ、戦えなくして、強制的にあの迷惑極まりない喧嘩を止める。この状況において最適解かもしれない。
「リリ!シュエリ!!お願い!!」
「まかせて!!」「任せて下さい!!」
やる気は十分、魔力吸収魔術を使うのに最低限必要な最低限の魔力もある。しっかりと使うこともできる。
「「マジケエフージオ!!」」
2人の魔力吸収が始まる。残りの魔力を気にしていたのだろう。ルミナはすぐに自分が魔力を吸われている事に気がついた。
「ちょっと!本当にやめて!死んじゃうから!!」
「そうやって、命乞いしてきた人達を何人殺してきた!絶対にやめないからな」
「くっ・・・!死ねぇ!!」
純粋な魔力の塊が飛んでくる。人から離れた魔力を吸収する事はできない。
「させないっ!!」
だから、誰かが守らなければならない。俺は、今彼女達を守らなければならない。魔力の塊を切り返し、ルミナにぶつけた。
「ぐえっ!?」
「そこだ」
「ぐはぁ!?」
切り返した魔力の塊がぶつかり、その次に、賢者クティの拳が腹に入る。強烈な2発の攻撃にルミナは、墜落してくる。
「そろそろ、トドメ」
「や、だ・・・こんな所で死ぬなんて絶対に嫌だぁ・・・!!」
「諦めろ、お前に、もう、助かる、術は、無い」
「キャハハ・・・それは違うんじゃないかな?私だって、ただただ惑星融合に力を注いでたわけじゃないんだし」
「何が、言いたい?」
「私には、私以外に私がいる!貴方達は良く知っているでしょう?」
ああ、良く知っている。ついさっきまで戦っていたんだからな。
「ルミナコピー・・・」
「そう!魔力量以外は完璧に再現された私の傑作の1つ!私レベルじゃなくても、魔力を持ってる!そう!つまり!!」
指パッチンと共に無数のルミナコピーが現れる。
「コピーから魔力を貰えば!私は元通りってわけ!!キャハハハハハハ!!」
「「「「キャハハハハハハ!!」」」」
「つくづぬ悪知恵が働くなぁ!本当に!!」
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