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最終章 探究者と門番
29話 想定外の最悪
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「ねぇ、聞いてるじゃん。君達なの?どうなの?」
「あ、うあ・・・」
禍々しくも感じられる魔力量に思わず声が出なくなってしまう。別に魔術師でもない俺でも、吐き気を催すほどの魔力の量は、魔力がフルチャージしてあるリリの2倍ある。
生粋の魔術師であるリリとシュエリ王女はその場に四つん這いになって嘔吐してしまった。
「緊張して、話せないのか、仕方ない・・・」
消えたと思ったら、目の前にその姿を表した。テレポートとも見える速度。しかし、突風が発生した事からただの高速移動だ。100mも離れていたのに、1秒も経たずに詰められてしまった。
「なら、自分で読み取るから」
頭を優しく鷲掴みにされる。俺の頭を掴んでいる手が黄色に一瞬だけ光る。
「なるほど、君達のせいじゃ、無いみたいだね」
先程までまるで状況を理解していなかったのに、全てを悟ったかのように俺達に向ける表情が柔らかくなった。
一瞬だけ光った手、その後に理解したような表情。恐らく青年は俺の頭の中に記憶を読み取ったのだろう。
読心魔術よりも遥かに難しいとされる魔術に人の記憶を読み取る魔術が存在した気がする。青年がしたのは恐らくそれだろう。
「ごめんね、高圧的に、接して」
敵対したわけではないみたいだ。いきなり優しさに触れたせいで、頭がバグりそうだ。
「お前、だったんだね、ルミナ・・・」
「歳上に対してお前呼びだなんて、随分と良いご身分ねクティ。引きこもってた34年で礼儀すら忘れちゃった?」
礼儀どころか、常識すらない人間が何言ってんだ。ていうか、いつの間にか治癒で傷を治しているじゃないか。くそっ、亀裂さえなければ殺せたのに・・・!!
「最近、騒がしいと思ったら、そういう、事だったんだ。お前は、本当に、愚かだね。結果なんて、目に見えているのに、それでも、結果を、求める」
「そんなもの見なくちゃ分からないじゃない!皆いっつもそう言う!!そんなのやらなくても分かるだろう?その無駄に賢い頭で考えたらどうなんだって?そんなの分かってるよ!それでも!確かめたい!だから、私は─────」
先程まで、落ち着いた様子だったのに、いきなり何で焦っているんだ?やはり、あの魔力の量は同じ賢者からしても畏怖の対象なのだろうか?
「それで、迷惑を、かける。だから、お前には、友達が、大切な人が、いない」
「そんなのアンタだってそうじゃない!」
今、ルミナは俺でも分かるくらいのとんでもない地雷を踏んだ。威力で例えるなら、大怪我じゃすまされない即死の威力を誇る地雷。
「僕にも、いた。お前が、壊した、流行病も、お前の部下が、作った」
「・・・!!な、何でそれを!」
「知らないと、思ったか?お前は、僕の、怒りの、許容範囲を超えた」
「ひっ!!」
魔術の超一流であるルミナにも恐怖の声を上げさせる威圧感。顔は完全に優男なのに、うちから溢れ出す殺気と魔力が彼の怖さを大きくしている。
リリに関しては気絶し、シュエリ王女は失禁してしまっている。敵対していないというのに、俺も足が生まれたての子鹿のようになってしまっている。
「ルミナ!悪い事は言わないから潔くクティに殺されるんだ!!さもないと、滅茶苦茶に─────」
「フフフ・・・・キャハハ!!抵抗しないだなんて、そんな馬鹿な事誰がするもんですか!生きてる限り、可能性は潰えない!ここで、生き残って!今度こそ惑星融合を成功させてみせる!!」
「だから、それが無理だから早く降伏しろって言ってるんだ!クティに敵対した時点でもう、可能性は潰えている!そのくらい分かっt─────」
「そんな事!やらなくちゃ分からない!!私は最後まで抵抗する!例え、ゾンビになってでも!!」
リャオさんの顔色がみるみる悪くなっていく。ルミナを殺してくれるというのに、何故そんなに顔面蒼白なのだろうか?
理由は、すぐに分かった。
「分かった、じゃあ、死ね」
雑に大きく拳を振り上げると、目の前のルミナに向かって振り下ろす。目で追う事も難しい拳は、ルミナの顔面をひしゃげ、地面を抉りながら、異門町の方へと吹き飛ばす。
町の方からは、爆発音と大勢の人の悲鳴が聞こえてきた。
「クティは、最強ゆえに手加減というものを知らない。だから、戦った時、戦場は荒地と化す。しかも、今のクティは怒りで自分をまるで制御できてない」
「・・・もしかして、オレ達が止めないとザナとリオ滅びる?」
「可能性としては十分ありえるだろう」
これは、想定外の最悪のシチュエーションかもしれない。
「あ、うあ・・・」
禍々しくも感じられる魔力量に思わず声が出なくなってしまう。別に魔術師でもない俺でも、吐き気を催すほどの魔力の量は、魔力がフルチャージしてあるリリの2倍ある。
生粋の魔術師であるリリとシュエリ王女はその場に四つん這いになって嘔吐してしまった。
「緊張して、話せないのか、仕方ない・・・」
消えたと思ったら、目の前にその姿を表した。テレポートとも見える速度。しかし、突風が発生した事からただの高速移動だ。100mも離れていたのに、1秒も経たずに詰められてしまった。
「なら、自分で読み取るから」
頭を優しく鷲掴みにされる。俺の頭を掴んでいる手が黄色に一瞬だけ光る。
「なるほど、君達のせいじゃ、無いみたいだね」
先程までまるで状況を理解していなかったのに、全てを悟ったかのように俺達に向ける表情が柔らかくなった。
一瞬だけ光った手、その後に理解したような表情。恐らく青年は俺の頭の中に記憶を読み取ったのだろう。
読心魔術よりも遥かに難しいとされる魔術に人の記憶を読み取る魔術が存在した気がする。青年がしたのは恐らくそれだろう。
「ごめんね、高圧的に、接して」
敵対したわけではないみたいだ。いきなり優しさに触れたせいで、頭がバグりそうだ。
「お前、だったんだね、ルミナ・・・」
「歳上に対してお前呼びだなんて、随分と良いご身分ねクティ。引きこもってた34年で礼儀すら忘れちゃった?」
礼儀どころか、常識すらない人間が何言ってんだ。ていうか、いつの間にか治癒で傷を治しているじゃないか。くそっ、亀裂さえなければ殺せたのに・・・!!
「最近、騒がしいと思ったら、そういう、事だったんだ。お前は、本当に、愚かだね。結果なんて、目に見えているのに、それでも、結果を、求める」
「そんなもの見なくちゃ分からないじゃない!皆いっつもそう言う!!そんなのやらなくても分かるだろう?その無駄に賢い頭で考えたらどうなんだって?そんなの分かってるよ!それでも!確かめたい!だから、私は─────」
先程まで、落ち着いた様子だったのに、いきなり何で焦っているんだ?やはり、あの魔力の量は同じ賢者からしても畏怖の対象なのだろうか?
「それで、迷惑を、かける。だから、お前には、友達が、大切な人が、いない」
「そんなのアンタだってそうじゃない!」
今、ルミナは俺でも分かるくらいのとんでもない地雷を踏んだ。威力で例えるなら、大怪我じゃすまされない即死の威力を誇る地雷。
「僕にも、いた。お前が、壊した、流行病も、お前の部下が、作った」
「・・・!!な、何でそれを!」
「知らないと、思ったか?お前は、僕の、怒りの、許容範囲を超えた」
「ひっ!!」
魔術の超一流であるルミナにも恐怖の声を上げさせる威圧感。顔は完全に優男なのに、うちから溢れ出す殺気と魔力が彼の怖さを大きくしている。
リリに関しては気絶し、シュエリ王女は失禁してしまっている。敵対していないというのに、俺も足が生まれたての子鹿のようになってしまっている。
「ルミナ!悪い事は言わないから潔くクティに殺されるんだ!!さもないと、滅茶苦茶に─────」
「フフフ・・・・キャハハ!!抵抗しないだなんて、そんな馬鹿な事誰がするもんですか!生きてる限り、可能性は潰えない!ここで、生き残って!今度こそ惑星融合を成功させてみせる!!」
「だから、それが無理だから早く降伏しろって言ってるんだ!クティに敵対した時点でもう、可能性は潰えている!そのくらい分かっt─────」
「そんな事!やらなくちゃ分からない!!私は最後まで抵抗する!例え、ゾンビになってでも!!」
リャオさんの顔色がみるみる悪くなっていく。ルミナを殺してくれるというのに、何故そんなに顔面蒼白なのだろうか?
理由は、すぐに分かった。
「分かった、じゃあ、死ね」
雑に大きく拳を振り上げると、目の前のルミナに向かって振り下ろす。目で追う事も難しい拳は、ルミナの顔面をひしゃげ、地面を抉りながら、異門町の方へと吹き飛ばす。
町の方からは、爆発音と大勢の人の悲鳴が聞こえてきた。
「クティは、最強ゆえに手加減というものを知らない。だから、戦った時、戦場は荒地と化す。しかも、今のクティは怒りで自分をまるで制御できてない」
「・・・もしかして、オレ達が止めないとザナとリオ滅びる?」
「可能性としては十分ありえるだろう」
これは、想定外の最悪のシチュエーションかもしれない。
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