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最終章 探究者と門番
26話 魂
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「これでぇ・・・最後!!」
まとわりついてきたコピーを切り殺す。これで、俺が倒したコピーの数は214体。既にマラソン完走し終えた時のような体力しか残っていないが、戦いを求める体のおかげで動けている。
コピーは何体も倒したが、ルミナにはかすり傷1つ付ける事ができていなかった。
「キャハハ!残念!それもコピー。そぅれ!!」
再び指を弾くと、コピーが補充される。ルミナに傷を負わせられないのは、無限に現れるコピーと瓜二つのせいだ。延々と浮遊し続けている為、どれが本物か、コピーなのか分からなくなる。
最初はリリやシュエリさんに頼んで魔術で一気に吹き飛ばして貰っていたが、それでも、砂埃が付くだけで、怪我は無し。魔術が効かない体なのだろうか?
では、魔力量で特定すれば良いのではと思うだろう。普通ならそうしている。コピーの魔力量はオリジナルに劣る。しかし、今のオリジナルの魔力量は通常よりも少ない。なので、コピーと見分けがつかないのだ。
「くそっ!同盟騎士団はどうした?もう駆けつけてきてもおかしくないだろう?」
「そんな事言ったら、うちの門番達もだよ!こんなに近くでどんぱちやってるのに誰も見に来やしねぇ!!」
「私がコピーのリソースを頭達に全部注いでると思う?」
ルミナの発言からして、他の戦士達もルミナのコピーによって足止めされているようだ。
「リリック!シュエリーヌ王女!まだ、魔力残ってる?」
「だめ!すっからかん!」
「魔力が空になるまで消費したなんて初めての体験です・・・とてもきついのですね」
「もう大幅な攻撃も回復も望めないぞ・・・どうするリード・ザナ」
「無限に湧いてくる複製体・・・悪い、どうする事も出来ねぇ。すまない」
「はぁ!?このまま死ねというのか!?混沌を受け入れろと言うのか!?リャオ、お前はどうだ?」
「・・・魂かもしれません」
「「魂?」」
「コピーが模倣しているのは、ルミナの容姿と頭脳。それ以外はオリジナルとは違います」
「魔力が違うだけで、ほとんど同じだろう?」
「いえ、魂が違います。中に入っている魂が違う。ルミナコピーは、同じ遺伝情報を持った別人です。肉体は成人していますが、魂はまだ若い・・・はずです」
「魂・・・私達が遺体破壊する時にみた青い炎か。リャオ、お前には見分ける能力があるのか?」
「昔はありましたが・・・今のわしにはありません」
「じゃあ、やり方は?あるんだろう?その方法が!!」
「魂に触れた者です。集中すれば、必ず見る事ができるはずです・・・」
魂に触れた事がある者。実体はなく、最近初めて肉眼で見る事ができた者を触れた者なんているだろうか?
私は、青い炎が生贄の魂だと気づくと、触れずにただ天国へと導かれていくのを見守った。つまりは触れていない。
触れれるはずがなかった。そんな死者を冒涜するような行為、できるはずがなかった。ここにいる者に、恐らく魂に触れた者は恐らくいない。
今から探すか?いや、時間の無駄だし、見つかるか分からない者を探してどうなる?どうしようも無い・・・。
「リード・ザナ。何笑ってるんだ?」
「いや、何て偶然なんだろうなって・・・」
「何?お前触ったのか?魂に。死者への冒涜と言っても過言ではないぞ?」
「いやいや、オレが触ったわけでもないし、自主的に触ったわけじゃないよ・・・翡翠!」
ルミナコピーの首を切り落としている最中の翡翠に向かって叫ぶ。疲労が溜まっている彼は、心底嫌そうな顔をしながら2人の元へとやってきた。
「3時間前、君の刀〈隼人一陣〉に翡翠のお父さんの魂が宿ったよね?」
「はい、一瞬ですが・・・それがどうかしたんです?」
「その時、お父さんは感じた?」
「え?・・・ま、まあ何となくは感じました。実態はないはずなのに、温かみを感じました。でも、どうかしたんですか?」
リード・ザナの言っていた事は本当だったようだ。現状、勝てる要素が無い中、ヒスイ王子に唯一の打開策が存在しているかも知らない。
「ヒスイ、君にルミナの魂を読み取ってほしい。魂は年月を重ねるごとに大きくなっていく。生まれたばかりのルミナコピーと比べたらとても大きいのがルミナオリジナルの魂だ」
「えぇ!?そんな事言われても、魂を読み取るなんて一度もしか事ないですし・・・」
当たり前だ。ついさっき魂に触れたばかりなのだから。
「難しいかもしれないが、やってくれ!このままだと止めるどころか全滅する!!」
既に今戦っている者の体力は限界を超えている。ここにいる者だけじゃない。離れてばなれになってしまった同盟騎士も、門番の仲間達も連戦の影響が出てきている。
今、俺以外にやれる人はいないのか?いないんだな?なら、やるしかないのか?俺の為じゃない。2つの場所で戦っている皆の為にも。
「リャオさん、俺やります。やらせて下さい」
「良く言ってくれた!!皆、翡翠も守れ・・・!指一本触れさせるなっ!!」
「「了解!!」」「任せて!!」「死んでも守ります!!」
「深呼吸して、魂を捉えるんだ・・・」
魂を・・・捉える・・・。
「これでぇ・・・最後!!」
まとわりついてきたコピーを切り殺す。これで、俺が倒したコピーの数は214体。既にマラソン完走し終えた時のような体力しか残っていないが、戦いを求める体のおかげで動けている。
コピーは何体も倒したが、ルミナにはかすり傷1つ付ける事ができていなかった。
「キャハハ!残念!それもコピー。そぅれ!!」
再び指を弾くと、コピーが補充される。ルミナに傷を負わせられないのは、無限に現れるコピーと瓜二つのせいだ。延々と浮遊し続けている為、どれが本物か、コピーなのか分からなくなる。
最初はリリやシュエリさんに頼んで魔術で一気に吹き飛ばして貰っていたが、それでも、砂埃が付くだけで、怪我は無し。魔術が効かない体なのだろうか?
では、魔力量で特定すれば良いのではと思うだろう。普通ならそうしている。コピーの魔力量はオリジナルに劣る。しかし、今のオリジナルの魔力量は通常よりも少ない。なので、コピーと見分けがつかないのだ。
「くそっ!同盟騎士団はどうした?もう駆けつけてきてもおかしくないだろう?」
「そんな事言ったら、うちの門番達もだよ!こんなに近くでどんぱちやってるのに誰も見に来やしねぇ!!」
「私がコピーのリソースを頭達に全部注いでると思う?」
ルミナの発言からして、他の戦士達もルミナのコピーによって足止めされているようだ。
「リリック!シュエリーヌ王女!まだ、魔力残ってる?」
「だめ!すっからかん!」
「魔力が空になるまで消費したなんて初めての体験です・・・とてもきついのですね」
「もう大幅な攻撃も回復も望めないぞ・・・どうするリード・ザナ」
「無限に湧いてくる複製体・・・悪い、どうする事も出来ねぇ。すまない」
「はぁ!?このまま死ねというのか!?混沌を受け入れろと言うのか!?リャオ、お前はどうだ?」
「・・・魂かもしれません」
「「魂?」」
「コピーが模倣しているのは、ルミナの容姿と頭脳。それ以外はオリジナルとは違います」
「魔力が違うだけで、ほとんど同じだろう?」
「いえ、魂が違います。中に入っている魂が違う。ルミナコピーは、同じ遺伝情報を持った別人です。肉体は成人していますが、魂はまだ若い・・・はずです」
「魂・・・私達が遺体破壊する時にみた青い炎か。リャオ、お前には見分ける能力があるのか?」
「昔はありましたが・・・今のわしにはありません」
「じゃあ、やり方は?あるんだろう?その方法が!!」
「魂に触れた者です。集中すれば、必ず見る事ができるはずです・・・」
魂に触れた事がある者。実体はなく、最近初めて肉眼で見る事ができた者を触れた者なんているだろうか?
私は、青い炎が生贄の魂だと気づくと、触れずにただ天国へと導かれていくのを見守った。つまりは触れていない。
触れれるはずがなかった。そんな死者を冒涜するような行為、できるはずがなかった。ここにいる者に、恐らく魂に触れた者は恐らくいない。
今から探すか?いや、時間の無駄だし、見つかるか分からない者を探してどうなる?どうしようも無い・・・。
「リード・ザナ。何笑ってるんだ?」
「いや、何て偶然なんだろうなって・・・」
「何?お前触ったのか?魂に。死者への冒涜と言っても過言ではないぞ?」
「いやいや、オレが触ったわけでもないし、自主的に触ったわけじゃないよ・・・翡翠!」
ルミナコピーの首を切り落としている最中の翡翠に向かって叫ぶ。疲労が溜まっている彼は、心底嫌そうな顔をしながら2人の元へとやってきた。
「3時間前、君の刀〈隼人一陣〉に翡翠のお父さんの魂が宿ったよね?」
「はい、一瞬ですが・・・それがどうかしたんです?」
「その時、お父さんは感じた?」
「え?・・・ま、まあ何となくは感じました。実態はないはずなのに、温かみを感じました。でも、どうかしたんですか?」
リード・ザナの言っていた事は本当だったようだ。現状、勝てる要素が無い中、ヒスイ王子に唯一の打開策が存在しているかも知らない。
「ヒスイ、君にルミナの魂を読み取ってほしい。魂は年月を重ねるごとに大きくなっていく。生まれたばかりのルミナコピーと比べたらとても大きいのがルミナオリジナルの魂だ」
「えぇ!?そんな事言われても、魂を読み取るなんて一度もしか事ないですし・・・」
当たり前だ。ついさっき魂に触れたばかりなのだから。
「難しいかもしれないが、やってくれ!このままだと止めるどころか全滅する!!」
既に今戦っている者の体力は限界を超えている。ここにいる者だけじゃない。離れてばなれになってしまった同盟騎士も、門番の仲間達も連戦の影響が出てきている。
今、俺以外にやれる人はいないのか?いないんだな?なら、やるしかないのか?俺の為じゃない。2つの場所で戦っている皆の為にも。
「リャオさん、俺やります。やらせて下さい」
「良く言ってくれた!!皆、翡翠も守れ・・・!指一本触れさせるなっ!!」
「「了解!!」」「任せて!!」「死んでも守ります!!」
「深呼吸して、魂を捉えるんだ・・・」
魂を・・・捉える・・・。
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