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最終章 探究者と門番
24話 初めまして無邪気
しおりを挟む「シュエリーヌ王女!ヒスイ王子!」
「いかん!!走れ!!」
突然の出来事に皆の思考がフリーズする中、いち早く動いたのは賢者リャオと、シャイ・マスカッツ。彼らは飛び込むように転送が始まり光り始める城跡に入る。
他の戦士達も慌てて入ろうとしたが、時既に遅く、翡翠達は転送されてしまった。
何処までも続いていそうな緑の草原から、何処か哀愁を感じる町へと激しい景色の変化が起きる。
本当に土地が転送されたら、自分の転送されるのかと驚くのも束の間、自分らが転送された場所が何処なのか気づき、その驚きは潰えた。
「ここ、異門町?」
「しかも、門ならかなり近くない?」
「何て偶然なの・・・」
ルミナの隠れ家である城跡が転送された場所は、何と異門町だった。門はすぐ右横にある。
「やった!大成功!まさかこんなに上手くいくとは思わなかったよ~。タイミング良く転送して、分断する作戦大成功ッ!!」
無邪気な女性の声が、肉声で聞こえてくる。これで2度目・・・いや、厳密には初めてか。1時間前に会話したのは、クローンだったし。
「初めまして、皆!私が、皆が探してた賢者ルミナだよ~?」
天の川を彷彿とさせる、暗いが、キラキラと輝く髪。尖った耳。赤いアイシャドウで飾った目。派手な見た目だが、神秘的に見えるので不思議だ。
「話したいのは山々だけど、はじめようか?」
パチンと指を弾くと、賢者ルミナと全く容姿が同じのクローンが、俺達を囲む。
「レッツ、ショーターイム!!」
愉快な掛け声と共に、全方位から、様々な魔術が放たれる。
「いけません!『トゥエレ』!」
シュエリさんが咄嗟に唱えた防御魔術が、全方位からの魔術から俺らを守ってくれた。その場しのぎの守りだった為、すぐに壊れてしまったが、急な攻撃は耐えることが出来た。
「ありゃ、凄い反射神経。つい最近まで引きこもってたとは思えない!」
「余計なお世話です!『グラシエス』!」
氷の槍を作り、ルミナに向かって放つ。しかし、周りに浮遊するルミナコピーの犠牲によって殺すことはできなかった。
「残念。ここにいる私のコピーはぜーんぶ、私と同じ思考かつ合理的なコピー。オリジナルである私が惑星融合に最も近いから、絶対に守ってくれるんだ」
「自分と同じ顔の奴が死ぬことに関しての抵抗感は?」
「無いよ☆そんなの必要かな?」
「人間として生きるなら必要じゃないかなっ!!」
心臓を確実に狙ったシャープの突きがルミナを襲うが、これもまたコピーによって、防がれてしまった。
「う~ん・・・別に私も人間に生まれたくて生まれたわけじゃないからな・・・もう、魔物って事で良いよ!!」
「それなら、話が早い!」
「だなっ!!しかし、同じ種族に生まれた者も同士、責任は私が取らせてもらう!!」
「良いよ!取れるならねっ!」
2人の熟練の戦士が繰り広げる止めもない剣撃。あっという間にコピーは減っていき、オリジナルのみとなる。
「ヒュー!やるねぇ~!でも・・・!!」
再び指がパチンと鳴ると、殺された分を補うようにルミナコピーが現れた。
「貯蔵は十分!!明確な数は教えられないけど、倒したらその分、作られるからオリジナルの私を叩かないと意味ないよー」
「バカだねー」「愚かだねー」「猿だねー」「もう少し考えたら良いのにねー」「まあ、私よりも頭良いって言う条件付きだけどー」
「「「キャハハハハハハハ!!」」」
コピーの見下すような笑いが、耳に響いてくる。ただではえ、連戦に次ぐ連戦で披露しているというのに、煽るような笑い声を聞くと無性に腹が立つ。
「因みに、こんな芸当もできるよ~それっ!!」
数多のコピーのうち1体が俺に抱きついてくる。複製体だというのに、温もりや柔らかさは人間と変わらない。
何が目的かは知らないが、絶対に碌でも無いことだけは分かる。
「キャハハ・・・『爆発魔術』」
「マジかよ・・・!!」
コピーは無尽蔵に作成が可能。と言う事は、自爆させるのも容易というわけだ。
自分の命を犠牲にして放つ爆発魔術の威力は絶大。確実に人を仕留められる威力以上の破壊力だ。
ロルの一言が聞こえてきた瞬間、〈隼人一陣〉を回すように振るって、抱きついてきたルミナコピーの腕を切り、他のコピーの方へと蹴り飛ばす。
既に爆発魔術を唱え終えているルミナコピーは、途中で中断することもできないまま、爆発。他のルミナコピーを吹き飛ばしながら爆死した。
「はぁ・・・!!はぁ・・・!冗談抜きで死にかけた。何て攻撃方法使ってくるんだ・・・」
「賢者リャオ、貴方弱体化していると言っていましたが、全然していませんね。寧ろ、コピーを使うという方法を編み出した結果、還って厄介になってません?」
「弱体化しているのは本体。それを補う為のコピーだったはずなのじゃが・・・どうやら普段以上に凶悪さが増したようだの」
「作戦は何かあります?」
「コピーの供給元を叩くのが一番だが、残り時間までに探せないな」
「それに、許してくれなさそうだし。という事は・・・」
「「「「オリジナルを叩けるまで戦い続けろ」」」」
シンプルイズベストと言うが、これは絶対にベストじゃないし、効率は最悪。でも、俺達に残された方法はこれしか無かった。
「いかん!!走れ!!」
突然の出来事に皆の思考がフリーズする中、いち早く動いたのは賢者リャオと、シャイ・マスカッツ。彼らは飛び込むように転送が始まり光り始める城跡に入る。
他の戦士達も慌てて入ろうとしたが、時既に遅く、翡翠達は転送されてしまった。
何処までも続いていそうな緑の草原から、何処か哀愁を感じる町へと激しい景色の変化が起きる。
本当に土地が転送されたら、自分の転送されるのかと驚くのも束の間、自分らが転送された場所が何処なのか気づき、その驚きは潰えた。
「ここ、異門町?」
「しかも、門ならかなり近くない?」
「何て偶然なの・・・」
ルミナの隠れ家である城跡が転送された場所は、何と異門町だった。門はすぐ右横にある。
「やった!大成功!まさかこんなに上手くいくとは思わなかったよ~。タイミング良く転送して、分断する作戦大成功ッ!!」
無邪気な女性の声が、肉声で聞こえてくる。これで2度目・・・いや、厳密には初めてか。1時間前に会話したのは、クローンだったし。
「初めまして、皆!私が、皆が探してた賢者ルミナだよ~?」
天の川を彷彿とさせる、暗いが、キラキラと輝く髪。尖った耳。赤いアイシャドウで飾った目。派手な見た目だが、神秘的に見えるので不思議だ。
「話したいのは山々だけど、はじめようか?」
パチンと指を弾くと、賢者ルミナと全く容姿が同じのクローンが、俺達を囲む。
「レッツ、ショーターイム!!」
愉快な掛け声と共に、全方位から、様々な魔術が放たれる。
「いけません!『トゥエレ』!」
シュエリさんが咄嗟に唱えた防御魔術が、全方位からの魔術から俺らを守ってくれた。その場しのぎの守りだった為、すぐに壊れてしまったが、急な攻撃は耐えることが出来た。
「ありゃ、凄い反射神経。つい最近まで引きこもってたとは思えない!」
「余計なお世話です!『グラシエス』!」
氷の槍を作り、ルミナに向かって放つ。しかし、周りに浮遊するルミナコピーの犠牲によって殺すことはできなかった。
「残念。ここにいる私のコピーはぜーんぶ、私と同じ思考かつ合理的なコピー。オリジナルである私が惑星融合に最も近いから、絶対に守ってくれるんだ」
「自分と同じ顔の奴が死ぬことに関しての抵抗感は?」
「無いよ☆そんなの必要かな?」
「人間として生きるなら必要じゃないかなっ!!」
心臓を確実に狙ったシャープの突きがルミナを襲うが、これもまたコピーによって、防がれてしまった。
「う~ん・・・別に私も人間に生まれたくて生まれたわけじゃないからな・・・もう、魔物って事で良いよ!!」
「それなら、話が早い!」
「だなっ!!しかし、同じ種族に生まれた者も同士、責任は私が取らせてもらう!!」
「良いよ!取れるならねっ!」
2人の熟練の戦士が繰り広げる止めもない剣撃。あっという間にコピーは減っていき、オリジナルのみとなる。
「ヒュー!やるねぇ~!でも・・・!!」
再び指がパチンと鳴ると、殺された分を補うようにルミナコピーが現れた。
「貯蔵は十分!!明確な数は教えられないけど、倒したらその分、作られるからオリジナルの私を叩かないと意味ないよー」
「バカだねー」「愚かだねー」「猿だねー」「もう少し考えたら良いのにねー」「まあ、私よりも頭良いって言う条件付きだけどー」
「「「キャハハハハハハハ!!」」」
コピーの見下すような笑いが、耳に響いてくる。ただではえ、連戦に次ぐ連戦で披露しているというのに、煽るような笑い声を聞くと無性に腹が立つ。
「因みに、こんな芸当もできるよ~それっ!!」
数多のコピーのうち1体が俺に抱きついてくる。複製体だというのに、温もりや柔らかさは人間と変わらない。
何が目的かは知らないが、絶対に碌でも無いことだけは分かる。
「キャハハ・・・『爆発魔術』」
「マジかよ・・・!!」
コピーは無尽蔵に作成が可能。と言う事は、自爆させるのも容易というわけだ。
自分の命を犠牲にして放つ爆発魔術の威力は絶大。確実に人を仕留められる威力以上の破壊力だ。
ロルの一言が聞こえてきた瞬間、〈隼人一陣〉を回すように振るって、抱きついてきたルミナコピーの腕を切り、他のコピーの方へと蹴り飛ばす。
既に爆発魔術を唱え終えているルミナコピーは、途中で中断することもできないまま、爆発。他のルミナコピーを吹き飛ばしながら爆死した。
「はぁ・・・!!はぁ・・・!冗談抜きで死にかけた。何て攻撃方法使ってくるんだ・・・」
「賢者リャオ、貴方弱体化していると言っていましたが、全然していませんね。寧ろ、コピーを使うという方法を編み出した結果、還って厄介になってません?」
「弱体化しているのは本体。それを補う為のコピーだったはずなのじゃが・・・どうやら普段以上に凶悪さが増したようだの」
「作戦は何かあります?」
「コピーの供給元を叩くのが一番だが、残り時間までに探せないな」
「それに、許してくれなさそうだし。という事は・・・」
「「「「オリジナルを叩けるまで戦い続けろ」」」」
シンプルイズベストと言うが、これは絶対にベストじゃないし、効率は最悪。でも、俺達に残された方法はこれしか無かった。
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