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4章 最終防衛戦門
24話 信者
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「まあ、今日は働いてもらうけどねん」
「あ、はい・・・」
天国から一気に現実に戻されてしまった。まあ、今日は通常のシフトでも入ってるから良いんだけど・・・。
「さて!リオ側からの攻撃はこれで無くなりましたっ!一旦喜びを分かち合う為に拍手!!」
まるで大会に優勝した時のような拍手が事務所内に鳴り響く。俺とシャープは肩を抱き合いながら苦痛からの解放に涙した。
「ですが、まだ1つ!!問題が残っています」
異門町への攻撃は無くなった。しかし、まだ2人の王女への攻撃────ザナからの魔物襲撃問題は収まっていない。この問題に関しては、大元である賢者ルミナを叩く他ないような気がするが────
「元凶である賢者ルミナを倒さなければ、改造された魔物の濁流を抑える事は出来ない!!と思っているようだね、君達は────」
枯れているけど、何処か品があって、体にほんの少し緊張感が走る声。そして、嗅覚を刺激する花の良い香り。前と香水の匂いがかなり変わっているが、顔を見なくても分かる。
「リャオさん!いつリオに来てたんですか?」
「ほんの少し前だよ。皆頑張っているようだね。ご褒美にこれをやろう」
紳士服のポケットから出したのは、小さな袋に入ったナニカ。なんだかすごく・・・臭い。
「あの・・・何ですかこれ?」
「お菓子だよ。後で暇があったら食べてくれ」
とてもじゃないが、食べられなさそうだ。後でコッソリと捨てるか・・・。
「どうして貴方がリオに来たんデスカ?」
「わしが手に入れた情報を君達に伝えるためだよ。間接的に伝える方法は末を見る者達のルミナ信者によって、筒抜けになっているからね。この瞬間まで情報が漏洩したとは気づかないだろうしね」
「なるほどー。それで、その情報っていうのはなに?」
「魔物をこの世界に送っている者の情報だよ」
「えっ?ルミナっていうクソッタレ賢者じゃないの?」
「あの人は、今頃世界融合魔術の準備で手一杯さ。だから、信者に任せたんだよ」
最も忠実なのは、部下でもなければ、ファンでもない。信者だ。こちらに魔物を送りまくっていたのも、リリとシュエリを捕まえて、褒めてもらうためなのだろう。
「リオにいたのも、全部信者だったよ~~」
「探究者集団で、まるで統一感のない『末を見る者』に信者・・・賢者ルミナは一体どんなカリスマなんだろう・・・」
「カリスマ・・・というより、ずば抜けた才能を持っていると言っても過言ではないね。皆も考えた事はあるんじゃないかの?もし、大地が海に沈んだら?もし、世界が昆虫系の魔物に支配されたら?みたいな妄想を」
割と誰しもがふとした時に想像するだろうシチュエーションだ。俺も小さい頃は、特撮に出てた悪の組織が現実にいたらなんて想像していたな・・・。
「大体があり得ない、実現不可能と思って諦めるね?だが、そんな不可能を実現させてしまうのが、賢者ルミナの恐ろしい才能なんだよ」
叶えられない夢を、もし誰かが叶えてくれると言ったら誰しもが、その人を応援または支援する。賢者ルミナの信者はそういう不可能を可能にする夢を胸に抱いて、賢者ルミナを支援する存在。
俺ももし、叶えたいけど、叶えられない夢があったら、誰かに託すだろうから、信者の気持ちも分からんでもない。分からなくないのだが────。
「阻止するのを止める理由にはならないな」
「「「「同感」」」」
阻止するのは変わらない。徹底的に抵抗する。他人の夢で、平穏を崩されてたまるものか。
「それで、魔物を誘導している信者は何処にいるんです?今すぐ叩きに行きましょう!!」
「それなんだけどね・・・実はここからそう遠くない場所にいるんだよ」
「一体何処にいるわけ?」
「あそこだよ」
リャオさんが杖で指したのは、門の先。リャオさんがやってきた世界ザナだった。また、長旅が始まるのか・・・。
「そう焦らなくても大丈夫だよ。裏切り者・・・いや、元からこちら側ではない信者はザナに入ったらすぐ近くにいる」
「すぐ近く?・・・まさか!」
「そう、ザナの門番だよ」
「あ、はい・・・」
天国から一気に現実に戻されてしまった。まあ、今日は通常のシフトでも入ってるから良いんだけど・・・。
「さて!リオ側からの攻撃はこれで無くなりましたっ!一旦喜びを分かち合う為に拍手!!」
まるで大会に優勝した時のような拍手が事務所内に鳴り響く。俺とシャープは肩を抱き合いながら苦痛からの解放に涙した。
「ですが、まだ1つ!!問題が残っています」
異門町への攻撃は無くなった。しかし、まだ2人の王女への攻撃────ザナからの魔物襲撃問題は収まっていない。この問題に関しては、大元である賢者ルミナを叩く他ないような気がするが────
「元凶である賢者ルミナを倒さなければ、改造された魔物の濁流を抑える事は出来ない!!と思っているようだね、君達は────」
枯れているけど、何処か品があって、体にほんの少し緊張感が走る声。そして、嗅覚を刺激する花の良い香り。前と香水の匂いがかなり変わっているが、顔を見なくても分かる。
「リャオさん!いつリオに来てたんですか?」
「ほんの少し前だよ。皆頑張っているようだね。ご褒美にこれをやろう」
紳士服のポケットから出したのは、小さな袋に入ったナニカ。なんだかすごく・・・臭い。
「あの・・・何ですかこれ?」
「お菓子だよ。後で暇があったら食べてくれ」
とてもじゃないが、食べられなさそうだ。後でコッソリと捨てるか・・・。
「どうして貴方がリオに来たんデスカ?」
「わしが手に入れた情報を君達に伝えるためだよ。間接的に伝える方法は末を見る者達のルミナ信者によって、筒抜けになっているからね。この瞬間まで情報が漏洩したとは気づかないだろうしね」
「なるほどー。それで、その情報っていうのはなに?」
「魔物をこの世界に送っている者の情報だよ」
「えっ?ルミナっていうクソッタレ賢者じゃないの?」
「あの人は、今頃世界融合魔術の準備で手一杯さ。だから、信者に任せたんだよ」
最も忠実なのは、部下でもなければ、ファンでもない。信者だ。こちらに魔物を送りまくっていたのも、リリとシュエリを捕まえて、褒めてもらうためなのだろう。
「リオにいたのも、全部信者だったよ~~」
「探究者集団で、まるで統一感のない『末を見る者』に信者・・・賢者ルミナは一体どんなカリスマなんだろう・・・」
「カリスマ・・・というより、ずば抜けた才能を持っていると言っても過言ではないね。皆も考えた事はあるんじゃないかの?もし、大地が海に沈んだら?もし、世界が昆虫系の魔物に支配されたら?みたいな妄想を」
割と誰しもがふとした時に想像するだろうシチュエーションだ。俺も小さい頃は、特撮に出てた悪の組織が現実にいたらなんて想像していたな・・・。
「大体があり得ない、実現不可能と思って諦めるね?だが、そんな不可能を実現させてしまうのが、賢者ルミナの恐ろしい才能なんだよ」
叶えられない夢を、もし誰かが叶えてくれると言ったら誰しもが、その人を応援または支援する。賢者ルミナの信者はそういう不可能を可能にする夢を胸に抱いて、賢者ルミナを支援する存在。
俺ももし、叶えたいけど、叶えられない夢があったら、誰かに託すだろうから、信者の気持ちも分からんでもない。分からなくないのだが────。
「阻止するのを止める理由にはならないな」
「「「「同感」」」」
阻止するのは変わらない。徹底的に抵抗する。他人の夢で、平穏を崩されてたまるものか。
「それで、魔物を誘導している信者は何処にいるんです?今すぐ叩きに行きましょう!!」
「それなんだけどね・・・実はここからそう遠くない場所にいるんだよ」
「一体何処にいるわけ?」
「あそこだよ」
リャオさんが杖で指したのは、門の先。リャオさんがやってきた世界ザナだった。また、長旅が始まるのか・・・。
「そう焦らなくても大丈夫だよ。裏切り者・・・いや、元からこちら側ではない信者はザナに入ったらすぐ近くにいる」
「すぐ近く?・・・まさか!」
「そう、ザナの門番だよ」
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