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4章 最終防衛戦門
16話 嵐は鳴りやむ事はない
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ザナからの緊急帰宅から十数時間後、俺は、再び門番の制服に袖を通していた。
目に優しい色だけど、何処か威厳を感じる紺を少し感じる青色の制服。着ると、安心してしまうのは職業病だろうか。
「フフ・・・仕事服のヒスイ様もカッコいいです♡」
「あはは・・・ありがと」
勿論、シュエリさんもついて来ている。1人にした結果、攫われたなんて笑えないもの。
「あんま、仕事の邪魔するなよ?ヒッキー」
「ええ、邪魔なんてするつもりはありません。貴方こそ、戦いで暴走してヒスイ様にご迷惑をおかけしないように。おチビさん」
「一度たりともかけた事ないわ!!」
いや、週に3回ぐらいはかけてると思う。
「それにしても・・・もう少し人を増やしても良いのでは?合計6人でザナから守るのは些か厳しいかと・・・」
「逆に採用数上げて増やしても、殉職者が増えるだけだからそうもいかないんですよネ・・・」
着替え終えたシャープが門前にやってくる。モネさんとシャープと俺。久しぶりにこの3人が同じの日のシフトに入ったような気がする。
「あれ?シャープ。アンタ首輪は?」
「ん?ああ、取ってもらった」
シャープの首についていたGPSと爆発機能付きの黒い首輪が無くなっている。罪を償ったと認められたようだ。
「また、付けられないように気を付けろよ~?」
「主任にも言われたヨ。でも安心して、もう皆を裏切る事なんてしないカラ」
「その言葉・・・信じるよ」
「・・・うん、ありがとう」
改めてよろしくの意味を込めて熱い握手を交わす。首輪を外されて余程嬉しくて、はしゃいだのだろうか?手が少し汗で濡れていた。
「あの~~感動のシーン邪魔して悪いんですけど、報告いいっすかー?」
「ごめん、虹村さん!どうしたの?」
壁の上から、門の見張りをしていた後輩の虹村さんが叫ぶようにこちらに話しかけてくる。
「砂漠エリアから、全長5m級のサンドワームが3体門に向かってきてるっす。警戒してください!」
「「「はぁ!?」」」
業務開始から数分。かなり早めの登場だな。しかも、普段は、砂漠エリアからは出ないサンドワームが群れて門を襲ってくるだなんて・・・。
「一体誰の差し金なんだろうな?」
「分かってるのに疑問形付けないで。どう考えても、末を見る者のクソったれ共の仕業じゃない」
「ソレナ」
ザナ側にも門番は勿論いるが、5m級の魔物3体を抑えきれるわけがないので、ほぼ確実に1体以上やってくる。
虹村さんも、壁の上でボウガンを構えている。援護は彼女に任せきりになりそうだ。
「ヒスイ様。私が凍らせて差し上げましょうか?」
「いえ、なるべく俺達で頑張るんで、シュエリさんは壁の上で待っていてください・・・リリ!!出番だよ!」
「えっ!?早くない・・・ってうわっ!!クソデカミミズ!!」
厳密に言うと、サンドワームはミミズのような環形動物ではない。本当に小さい上に、退化してまるで役に立たない複数の腕が存在する。
まあ、もう少し年月が経てば、不要な足は進化と共に無くなり、環形動物の仲間入りするだろうが。
「初手爆発で行く?」
「壁まで破壊するからダメ!水の魔術にしなさい!」
「おーけー!!」
サンドワームは、砂漠に生息し始めた結果、乾燥に強くなったが、同時に表面に水を喰らうと、皮膚が裂けるようになってしまった何とも不便な生き物。特撮のとある怪獣を思い出させる。
しかし、水をぶっかけるように指示したのは、仕留める為ではない。ある事を試したいからである。
「Wooooooooom!!」
「案の定来たね!1匹!」
「これ、外に逃したらどうなるんだろ?」
「異門町壊滅は確実だろうね!」
「本気で仕留めにイク!!リリック!ヨロシク!!」
「任せて!!『水の魔術』!!」
直径50cmは確実にあるだろう巨大な水の玉が、侵入してきたサンドワーム向かって飛んでいく。魔力のチャージとこの戦い以降の魔術の使用を考慮して、50%の出力にしたようだ。
水の大玉は、直進してくるサンドワームに見事命中。皮膚に亀裂が入る大ダメージになる・・・はずだったのだが。
「Wooooooooo!!」
「あれ!?何で!?効いてないよ!」
「やっぱり。あのサンドワームも末を見る者に改造されてるっぽいね」
「水が効かないってなると、直接叩くしかないって事?」
「それって無敵じゃない?」
「いや、そんな事はないと思うよ。皆」
サンドワームの弱点が効かなくて、焦っている中、1番冷静だったのは、意外にもリリ。
俺は、もしかしたら効かないんじゃないかと試しただけで、その後は考えていなかったが、リリの中には既に何か考えがあるようだ。
「水が大丈夫になったなら、他の弱点が出来ててもおかしくはないんじゃないかな?」
テレビゲームのように、スキルの割り振りには制限がある。魔法特化のキャラクターを作りたいなら、他のスキルを諦めなければならないように、水耐性を手に入れたサンドワームも何かの耐性を捨てたはずだ。
「みんな!攻撃して気を逸らして!その隙に色んな魔術バンバン打ちまくって弱点見つけるから!」
かなり、地道かつ危険な戦法だが、1番確実性が高い作戦だろう。
ザナからの緊急帰宅から十数時間後、俺は、再び門番の制服に袖を通していた。
目に優しい色だけど、何処か威厳を感じる紺を少し感じる青色の制服。着ると、安心してしまうのは職業病だろうか。
「フフ・・・仕事服のヒスイ様もカッコいいです♡」
「あはは・・・ありがと」
勿論、シュエリさんもついて来ている。1人にした結果、攫われたなんて笑えないもの。
「あんま、仕事の邪魔するなよ?ヒッキー」
「ええ、邪魔なんてするつもりはありません。貴方こそ、戦いで暴走してヒスイ様にご迷惑をおかけしないように。おチビさん」
「一度たりともかけた事ないわ!!」
いや、週に3回ぐらいはかけてると思う。
「それにしても・・・もう少し人を増やしても良いのでは?合計6人でザナから守るのは些か厳しいかと・・・」
「逆に採用数上げて増やしても、殉職者が増えるだけだからそうもいかないんですよネ・・・」
着替え終えたシャープが門前にやってくる。モネさんとシャープと俺。久しぶりにこの3人が同じの日のシフトに入ったような気がする。
「あれ?シャープ。アンタ首輪は?」
「ん?ああ、取ってもらった」
シャープの首についていたGPSと爆発機能付きの黒い首輪が無くなっている。罪を償ったと認められたようだ。
「また、付けられないように気を付けろよ~?」
「主任にも言われたヨ。でも安心して、もう皆を裏切る事なんてしないカラ」
「その言葉・・・信じるよ」
「・・・うん、ありがとう」
改めてよろしくの意味を込めて熱い握手を交わす。首輪を外されて余程嬉しくて、はしゃいだのだろうか?手が少し汗で濡れていた。
「あの~~感動のシーン邪魔して悪いんですけど、報告いいっすかー?」
「ごめん、虹村さん!どうしたの?」
壁の上から、門の見張りをしていた後輩の虹村さんが叫ぶようにこちらに話しかけてくる。
「砂漠エリアから、全長5m級のサンドワームが3体門に向かってきてるっす。警戒してください!」
「「「はぁ!?」」」
業務開始から数分。かなり早めの登場だな。しかも、普段は、砂漠エリアからは出ないサンドワームが群れて門を襲ってくるだなんて・・・。
「一体誰の差し金なんだろうな?」
「分かってるのに疑問形付けないで。どう考えても、末を見る者のクソったれ共の仕業じゃない」
「ソレナ」
ザナ側にも門番は勿論いるが、5m級の魔物3体を抑えきれるわけがないので、ほぼ確実に1体以上やってくる。
虹村さんも、壁の上でボウガンを構えている。援護は彼女に任せきりになりそうだ。
「ヒスイ様。私が凍らせて差し上げましょうか?」
「いえ、なるべく俺達で頑張るんで、シュエリさんは壁の上で待っていてください・・・リリ!!出番だよ!」
「えっ!?早くない・・・ってうわっ!!クソデカミミズ!!」
厳密に言うと、サンドワームはミミズのような環形動物ではない。本当に小さい上に、退化してまるで役に立たない複数の腕が存在する。
まあ、もう少し年月が経てば、不要な足は進化と共に無くなり、環形動物の仲間入りするだろうが。
「初手爆発で行く?」
「壁まで破壊するからダメ!水の魔術にしなさい!」
「おーけー!!」
サンドワームは、砂漠に生息し始めた結果、乾燥に強くなったが、同時に表面に水を喰らうと、皮膚が裂けるようになってしまった何とも不便な生き物。特撮のとある怪獣を思い出させる。
しかし、水をぶっかけるように指示したのは、仕留める為ではない。ある事を試したいからである。
「Wooooooooom!!」
「案の定来たね!1匹!」
「これ、外に逃したらどうなるんだろ?」
「異門町壊滅は確実だろうね!」
「本気で仕留めにイク!!リリック!ヨロシク!!」
「任せて!!『水の魔術』!!」
直径50cmは確実にあるだろう巨大な水の玉が、侵入してきたサンドワーム向かって飛んでいく。魔力のチャージとこの戦い以降の魔術の使用を考慮して、50%の出力にしたようだ。
水の大玉は、直進してくるサンドワームに見事命中。皮膚に亀裂が入る大ダメージになる・・・はずだったのだが。
「Wooooooooo!!」
「あれ!?何で!?効いてないよ!」
「やっぱり。あのサンドワームも末を見る者に改造されてるっぽいね」
「水が効かないってなると、直接叩くしかないって事?」
「それって無敵じゃない?」
「いや、そんな事はないと思うよ。皆」
サンドワームの弱点が効かなくて、焦っている中、1番冷静だったのは、意外にもリリ。
俺は、もしかしたら効かないんじゃないかと試しただけで、その後は考えていなかったが、リリの中には既に何か考えがあるようだ。
「水が大丈夫になったなら、他の弱点が出来ててもおかしくはないんじゃないかな?」
テレビゲームのように、スキルの割り振りには制限がある。魔法特化のキャラクターを作りたいなら、他のスキルを諦めなければならないように、水耐性を手に入れたサンドワームも何かの耐性を捨てたはずだ。
「みんな!攻撃して気を逸らして!その隙に色んな魔術バンバン打ちまくって弱点見つけるから!」
かなり、地道かつ危険な戦法だが、1番確実性が高い作戦だろう。
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