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3章 異世界旅行録
24話 死ぬ程思い慕っております
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「え、え?ど、どういう事?俺に復讐するんじゃなかったんですか?」
「復讐?もしかして、ヒスイ様は私がロット2世を失脚させた事を恨んでいるとでも?」
「いきなり拘束されたらそう思うのが普通だと思うんですけど・・・」
シュエリ王女のロット2世の呼び方は相変わらず呼び捨て。尊敬も敬愛もしていない事が読み取れる。
「私がロット2世から虐待を受けていたのは本当です。憎んでいるのも本当。だから貴方に感謝しているのです」
ベッドにあおむけに拘束される翡翠に重なるように上に乗っかり、顔を唇が重なるギリギリまで近づける。
両足は蛇のように俺の右足に巻き付かせ、股を俺の太ももに擦り付けている。少し湿っているのは気のせいだと思いたい。
「ヒスイ様・・・ああ、私の救世主様・・・貴方とこうして一緒になるまでの数か月間、とても長く感じましたわ」
「ちょっと、シュエリ王女?」
「これからずぅっと一緒に暮らしましょうね?」
駄目だ。自分の世界に入り込んでしまっている。話しかけても全く反応しない。
俺の事を『救世主』呼びしている事に加えて、拘束した上での行動。思い違いだったら恥ずかしいのだが、今回ばかりは絶対にそうなのではっきりと言わせてもらう。
彼女は俺に恋愛感情を抱いている。原因は、ロット2世を失脚させた事。これによって、長年ロット2世に縛り付けられていたシュエリ王女は解放。苦しみから解放してくれた俺に恋したというわけだが・・・自分で考察するのは恥ずかしいな・・・。
「ご名答です、ヒスイ様♪」
「あ、戻ってきた」
「申し訳ございません。一国の王女にあるまじきはしたない行動をしてしまって・・・計画が思い通りにいった嬉しさのあまり少々興奮してしまいました・・・」
「計画・・・ま、まさか・・・ナチュレへの招待からここに至るまでの流れって・・・」
「はい♪すべて私が企てた事です♪」
「じゃあ、俺がナチュレに連れてこられたのは、王族としての責務を果たすことじゃないってこと!?」
「私がヒスイ様に会いたかったからです♡」
ここでようやく一番の謎だった俺を呼び出した理由がはっきりと分かった。復讐とかそういう暗い目的ではなくて良かったと思っている自分と、別の危機を感じ取っている自分がいる。
「寝室に呼んだのも、俺の知りたい事を教える為じゃなくて・・・」
「2人きりになるためです♡本来は来る予定のなかったお友達もつれてこられていたので、恐らく何かを探しているのだろうなと思う、賭けに出てみました♪」
その賭けに見事勝った結果のベッド拘束か。
「すんすん・・・お日様の光を浴びたお布団のような匂い・・・これがヒスイ様の匂いなのですね・・・」
「あの、あんまり匂いとかは嗅がないでほしいです・・・」
「フフフ・・・遠慮しなくても大丈夫ですよ・・・ね?」
首元から始まり、腰元まで翡翠の匂いを嗅ぎ続けるシュエリ。その姿は変態そのもの。痴漢として警察に提出できるだろう。
「フフ、ヒスイ様は凄い戦士なのに、以外と鈍感ですね。私の好意に気づいていなかったですし、朝食に魔法薬を混ぜても美味しいからって気づいていませんでしたし・・・」
あだ名で呼んでほしい理由は寂しいからではなく、好きな人にあだ名で呼んでもらいたかったからという事か。なんでそこで違和感を感じていなかったのだろうか。我ながら鈍すぎやしないか?
「ていうか、あの朝食に何の魔法薬を入れたんですか?」
「フフフ・・・さぁ、なんでしょう?」
もし、遅効性の媚薬とかだったらマズイ。異性としっかりと意識している人が至近距離で俺の体にピッタリとくっついている時点で、かなり性的に興奮してしまっているというのに、それに加えて媚薬の効果まで加わったらもう、俺は耐えられない。
「媚薬とかじゃなければありがたいですね・・・」
懇願気味に言ってみる。希望は薄い。俺の事を手足を拘束するまで好いている人があのタイミングで媚薬を入れないわけがない。きっと、彼女が指を鳴らしたら効果が発動し、俺は彼女に食われるのだr────
「ビヤク?なんですか?それ?」
「へ?」
キョトン顔で首を傾げるシュエリ王女。媚薬を知らない?いや、そもそも媚薬という薬はエルフにないのか?
いや、それよりも、もっとシンプルな理由かもしれない。
「すみません、もしかして子供の作り方って知ってます?」
「へっ///もももも勿論知ってますよ!当然です!」
「・・・・・・では、教えては頂けないでしょうか?」
「なななな何故です!?まだ、私達はそんな時期ではないでしょう!?」
拘束しておいて段階をゆっくりと踏もう?ギャグか?それとも、天然か?
「まずは手を繋ぐ事から始めましょう?そこからハグ。そして、最後にキスです!」
「へぇ~つまり、キスで子供ができるわけですね」
「・・・っは!私とした事がとんだミスを・・・!!」
成程・・・よくよく考えてみたら、彼女はつい数か月前までロット2世によって、この寝室で監禁生活を送っていた。机の上には、魔術書以外の本は並べられていない。
これらの情報から導き出される答えはたった1つ!シュエリ王女は、性教育を全く受けていない。
183歳・・・ヒューマン換算で18歳の女性が子作りの仕方を知らないのはどうかと思うが、これは手足を拘束された状態から逆転する唯一の弱点かもしれない。
「でも、これから俺と一生一緒にいたいんですよね?」
「はい。もう既にヒスイ様と私が入る樹木は植えてありますので」
「でも、申し訳ない事に俺には仕事があります。同棲している子もいますし、ご飯食べさせてる人もいます。とても、貴方と一緒になれる状況ではありません」
「その2人は、魔王女とあのハーフドワーフの方ですか?」
正解を答えると共に、俺と同色の綺麗な瞳からゆっくりと光が失われていく。性知識が皆無のくせして、独占力は人一倍高い様子。
「やはり、堂々と結婚を申し込めば・・・いや、恐らく魔王女が阻止してくる。敵対したら、ロット2世のの二の舞に────」
「そこで、1つ。俺をリオに帰さない唯一の方法があるのですが・・・お聞きになりますか?」
「そんな方法があるのですか!?是非!是非ともお教えください!!」
「そんな難しい事ではありませんよ、シュエリ様。子供です。俺との子供を作ればいいのです」
手足を縛られて身動きの取れない翡翠は頬を真っ赤に染めるシュエリに向かって不敵に微笑んだ。
「復讐?もしかして、ヒスイ様は私がロット2世を失脚させた事を恨んでいるとでも?」
「いきなり拘束されたらそう思うのが普通だと思うんですけど・・・」
シュエリ王女のロット2世の呼び方は相変わらず呼び捨て。尊敬も敬愛もしていない事が読み取れる。
「私がロット2世から虐待を受けていたのは本当です。憎んでいるのも本当。だから貴方に感謝しているのです」
ベッドにあおむけに拘束される翡翠に重なるように上に乗っかり、顔を唇が重なるギリギリまで近づける。
両足は蛇のように俺の右足に巻き付かせ、股を俺の太ももに擦り付けている。少し湿っているのは気のせいだと思いたい。
「ヒスイ様・・・ああ、私の救世主様・・・貴方とこうして一緒になるまでの数か月間、とても長く感じましたわ」
「ちょっと、シュエリ王女?」
「これからずぅっと一緒に暮らしましょうね?」
駄目だ。自分の世界に入り込んでしまっている。話しかけても全く反応しない。
俺の事を『救世主』呼びしている事に加えて、拘束した上での行動。思い違いだったら恥ずかしいのだが、今回ばかりは絶対にそうなのではっきりと言わせてもらう。
彼女は俺に恋愛感情を抱いている。原因は、ロット2世を失脚させた事。これによって、長年ロット2世に縛り付けられていたシュエリ王女は解放。苦しみから解放してくれた俺に恋したというわけだが・・・自分で考察するのは恥ずかしいな・・・。
「ご名答です、ヒスイ様♪」
「あ、戻ってきた」
「申し訳ございません。一国の王女にあるまじきはしたない行動をしてしまって・・・計画が思い通りにいった嬉しさのあまり少々興奮してしまいました・・・」
「計画・・・ま、まさか・・・ナチュレへの招待からここに至るまでの流れって・・・」
「はい♪すべて私が企てた事です♪」
「じゃあ、俺がナチュレに連れてこられたのは、王族としての責務を果たすことじゃないってこと!?」
「私がヒスイ様に会いたかったからです♡」
ここでようやく一番の謎だった俺を呼び出した理由がはっきりと分かった。復讐とかそういう暗い目的ではなくて良かったと思っている自分と、別の危機を感じ取っている自分がいる。
「寝室に呼んだのも、俺の知りたい事を教える為じゃなくて・・・」
「2人きりになるためです♡本来は来る予定のなかったお友達もつれてこられていたので、恐らく何かを探しているのだろうなと思う、賭けに出てみました♪」
その賭けに見事勝った結果のベッド拘束か。
「すんすん・・・お日様の光を浴びたお布団のような匂い・・・これがヒスイ様の匂いなのですね・・・」
「あの、あんまり匂いとかは嗅がないでほしいです・・・」
「フフフ・・・遠慮しなくても大丈夫ですよ・・・ね?」
首元から始まり、腰元まで翡翠の匂いを嗅ぎ続けるシュエリ。その姿は変態そのもの。痴漢として警察に提出できるだろう。
「フフ、ヒスイ様は凄い戦士なのに、以外と鈍感ですね。私の好意に気づいていなかったですし、朝食に魔法薬を混ぜても美味しいからって気づいていませんでしたし・・・」
あだ名で呼んでほしい理由は寂しいからではなく、好きな人にあだ名で呼んでもらいたかったからという事か。なんでそこで違和感を感じていなかったのだろうか。我ながら鈍すぎやしないか?
「ていうか、あの朝食に何の魔法薬を入れたんですか?」
「フフフ・・・さぁ、なんでしょう?」
もし、遅効性の媚薬とかだったらマズイ。異性としっかりと意識している人が至近距離で俺の体にピッタリとくっついている時点で、かなり性的に興奮してしまっているというのに、それに加えて媚薬の効果まで加わったらもう、俺は耐えられない。
「媚薬とかじゃなければありがたいですね・・・」
懇願気味に言ってみる。希望は薄い。俺の事を手足を拘束するまで好いている人があのタイミングで媚薬を入れないわけがない。きっと、彼女が指を鳴らしたら効果が発動し、俺は彼女に食われるのだr────
「ビヤク?なんですか?それ?」
「へ?」
キョトン顔で首を傾げるシュエリ王女。媚薬を知らない?いや、そもそも媚薬という薬はエルフにないのか?
いや、それよりも、もっとシンプルな理由かもしれない。
「すみません、もしかして子供の作り方って知ってます?」
「へっ///もももも勿論知ってますよ!当然です!」
「・・・・・・では、教えては頂けないでしょうか?」
「なななな何故です!?まだ、私達はそんな時期ではないでしょう!?」
拘束しておいて段階をゆっくりと踏もう?ギャグか?それとも、天然か?
「まずは手を繋ぐ事から始めましょう?そこからハグ。そして、最後にキスです!」
「へぇ~つまり、キスで子供ができるわけですね」
「・・・っは!私とした事がとんだミスを・・・!!」
成程・・・よくよく考えてみたら、彼女はつい数か月前までロット2世によって、この寝室で監禁生活を送っていた。机の上には、魔術書以外の本は並べられていない。
これらの情報から導き出される答えはたった1つ!シュエリ王女は、性教育を全く受けていない。
183歳・・・ヒューマン換算で18歳の女性が子作りの仕方を知らないのはどうかと思うが、これは手足を拘束された状態から逆転する唯一の弱点かもしれない。
「でも、これから俺と一生一緒にいたいんですよね?」
「はい。もう既にヒスイ様と私が入る樹木は植えてありますので」
「でも、申し訳ない事に俺には仕事があります。同棲している子もいますし、ご飯食べさせてる人もいます。とても、貴方と一緒になれる状況ではありません」
「その2人は、魔王女とあのハーフドワーフの方ですか?」
正解を答えると共に、俺と同色の綺麗な瞳からゆっくりと光が失われていく。性知識が皆無のくせして、独占力は人一倍高い様子。
「やはり、堂々と結婚を申し込めば・・・いや、恐らく魔王女が阻止してくる。敵対したら、ロット2世のの二の舞に────」
「そこで、1つ。俺をリオに帰さない唯一の方法があるのですが・・・お聞きになりますか?」
「そんな方法があるのですか!?是非!是非ともお教えください!!」
「そんな難しい事ではありませんよ、シュエリ様。子供です。俺との子供を作ればいいのです」
手足を縛られて身動きの取れない翡翠は頬を真っ赤に染めるシュエリに向かって不敵に微笑んだ。
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