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3章 異世界旅行録
12話 電池切れは突然
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「流石に多すぎやしない?ゾンビ・・・どんだけ死体転がってるんだよ・・・」
「冒険者ギルドがあるでしょう?あそこの連中が討伐したのが残っていたんだと思います」
「事後処理とかないの?ザナでは」
「あんな面倒な作業するのは綺麗好きなリオ人だけ!冒険者を恨む暇があるなら、カタナ振り回しなさい」
モネさんは既に気分をリセットしてやる気満々な模様。こちらも頬を叩いて気合を入れなおす。
しかし、すべてを倒しきれるとは到底思っていない。シャイ団長と共に逃走の経路と手段を練っていると、ぎこちない動きで近づいてきていたゴブリンゾンビ達が俺達の所に到達する前に倒れていったのだ。
1体倒れると、また1体、またまた1体と倒れていく。連鎖的に続いたゴブリンゾンビの行動不能は群れ全体にまで行き届き、俺達が戦う予定だったゾンビ達は1体たりとも立ち上がってはいなかった。
「ど、どういう事・・・?」
「・・・これは恐らく呪いの効果が切れたな」
「呪いの効果切れ?そんな事聞いたことないけど!」
「聞き覚えがないのも無理はない。ほとんど実例がないからな」
呪いで動くゾンビにとって、呪いの大元は電源のようなもの。その大元から呪いというケーブルを伸ばして、死体に繋いで無理やり動かす。それは呪いゾンビの仕組みだ。
呪いをケーブルで表現したから分かるように、呪いゾンビには行動範囲に限界が存在する。行動範囲を超えた行動は不可能だ。限界まで到達したら動かないようになっている。
だから、今目の前で呪いで動いていたゾンビ達が呪い切れで死体に戻ったのがとてもおかしい事でしかないのだ。ゾンビは自ら限界範囲を突破したという事になる。
「呪いの大元が途中で消えたとか?」
「自然発生では消えないでしょ?」
「呪術師が解呪してくれたとか?」
「その呪術師の姿がまるで見えないじゃないの。適当言うのは止めなさいよね」
「じゅあ、どうやって呪いが無くなったっていうんだヨ!」
「恐らく元から呪いは消えていたんだと思われる」
考えてもいなかった選択肢Bがシャイ団長の口から登場。だが、それだと呪いゾンビ達は動力源がない状態で動いていた事になる。同時一番説得力のある説だった。
「ここには元々強力な呪いが存在していて、何かの拍子でそれが消えた。消えてもなお、その呪いによってゾンビになった死体の中には強力な呪いの残りカス残っていた」
「つまりは俺達は残りカスと戦っていたと?」
「そういう事になりますね」
「だとしたらとんでもない呪いだね。死後もなお、呪いとして生き残り続けたお父様とタメはれるんじゃないかな?」
え?魔王死んでも残り続けてたの?怖っ。教科書に載って無かったから知らなかった。
「ま、勇者様がしばいてたけど」
勇者2度世界を救う・・・か。語られていなかった伝説を聞けたような満足感を感じる。
「ていう事はそんな呪いを解呪した呪術師は相当すごい人なんだね!もしくは、賢者だったりして」
魔術を使う者は下から魔術使い、魔術師、大魔術師、賢者とランクのような呼び方をされる。一番上の賢者はこの世に3人のみしか名乗る事が許されていない名誉高い肩書きなのだ。つまりは魔術師界のトップ3という事である。
確かにそんなすごい魔術師なら、呪術師ではなくても、強力な呪いを解いてしまっていても何もおかしい話ではないだろう。
しかし、その説を取ると、矛盾までとはいかないが、やや怪しい点が現れる。
「なんで、呪いの大元を解いたのに、余力で動いてるゾンビ達の後始末はしないのよ」
「あ・・・確かに」
賢者がどんな性格をしているのかは知らないが、呪いを解いたのにゾンビを放置するとは考えられない。モネさんと同意見だ。
「じゃあ、考えられるのは・・・呪いの大元がここから離れた?」
呪いは勿論生命体ではない。だが、呪いを有する生命体は存在する。例をあげるなら1年前に門を襲い、半数の門番を呪いで苦しめた謎の魔物が良い例だろう。
「だとしたらとんでもない奴ね。遭遇したらぶっ殺しましょ」
「いや、逃げるよ」
モネさんの戦闘民族思考にはたまに頭を悩ませられる。
「冒険者ギルドがあるでしょう?あそこの連中が討伐したのが残っていたんだと思います」
「事後処理とかないの?ザナでは」
「あんな面倒な作業するのは綺麗好きなリオ人だけ!冒険者を恨む暇があるなら、カタナ振り回しなさい」
モネさんは既に気分をリセットしてやる気満々な模様。こちらも頬を叩いて気合を入れなおす。
しかし、すべてを倒しきれるとは到底思っていない。シャイ団長と共に逃走の経路と手段を練っていると、ぎこちない動きで近づいてきていたゴブリンゾンビ達が俺達の所に到達する前に倒れていったのだ。
1体倒れると、また1体、またまた1体と倒れていく。連鎖的に続いたゴブリンゾンビの行動不能は群れ全体にまで行き届き、俺達が戦う予定だったゾンビ達は1体たりとも立ち上がってはいなかった。
「ど、どういう事・・・?」
「・・・これは恐らく呪いの効果が切れたな」
「呪いの効果切れ?そんな事聞いたことないけど!」
「聞き覚えがないのも無理はない。ほとんど実例がないからな」
呪いで動くゾンビにとって、呪いの大元は電源のようなもの。その大元から呪いというケーブルを伸ばして、死体に繋いで無理やり動かす。それは呪いゾンビの仕組みだ。
呪いをケーブルで表現したから分かるように、呪いゾンビには行動範囲に限界が存在する。行動範囲を超えた行動は不可能だ。限界まで到達したら動かないようになっている。
だから、今目の前で呪いで動いていたゾンビ達が呪い切れで死体に戻ったのがとてもおかしい事でしかないのだ。ゾンビは自ら限界範囲を突破したという事になる。
「呪いの大元が途中で消えたとか?」
「自然発生では消えないでしょ?」
「呪術師が解呪してくれたとか?」
「その呪術師の姿がまるで見えないじゃないの。適当言うのは止めなさいよね」
「じゅあ、どうやって呪いが無くなったっていうんだヨ!」
「恐らく元から呪いは消えていたんだと思われる」
考えてもいなかった選択肢Bがシャイ団長の口から登場。だが、それだと呪いゾンビ達は動力源がない状態で動いていた事になる。同時一番説得力のある説だった。
「ここには元々強力な呪いが存在していて、何かの拍子でそれが消えた。消えてもなお、その呪いによってゾンビになった死体の中には強力な呪いの残りカス残っていた」
「つまりは俺達は残りカスと戦っていたと?」
「そういう事になりますね」
「だとしたらとんでもない呪いだね。死後もなお、呪いとして生き残り続けたお父様とタメはれるんじゃないかな?」
え?魔王死んでも残り続けてたの?怖っ。教科書に載って無かったから知らなかった。
「ま、勇者様がしばいてたけど」
勇者2度世界を救う・・・か。語られていなかった伝説を聞けたような満足感を感じる。
「ていう事はそんな呪いを解呪した呪術師は相当すごい人なんだね!もしくは、賢者だったりして」
魔術を使う者は下から魔術使い、魔術師、大魔術師、賢者とランクのような呼び方をされる。一番上の賢者はこの世に3人のみしか名乗る事が許されていない名誉高い肩書きなのだ。つまりは魔術師界のトップ3という事である。
確かにそんなすごい魔術師なら、呪術師ではなくても、強力な呪いを解いてしまっていても何もおかしい話ではないだろう。
しかし、その説を取ると、矛盾までとはいかないが、やや怪しい点が現れる。
「なんで、呪いの大元を解いたのに、余力で動いてるゾンビ達の後始末はしないのよ」
「あ・・・確かに」
賢者がどんな性格をしているのかは知らないが、呪いを解いたのにゾンビを放置するとは考えられない。モネさんと同意見だ。
「じゃあ、考えられるのは・・・呪いの大元がここから離れた?」
呪いは勿論生命体ではない。だが、呪いを有する生命体は存在する。例をあげるなら1年前に門を襲い、半数の門番を呪いで苦しめた謎の魔物が良い例だろう。
「だとしたらとんでもない奴ね。遭遇したらぶっ殺しましょ」
「いや、逃げるよ」
モネさんの戦闘民族思考にはたまに頭を悩ませられる。
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