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2章 亡命者は魔王の娘!?
8話 隠れた問題
しおりを挟む「いない者は仕方ない!諦めよう!」
「そう簡単に諦めて良い輩じゃないでしょ!?王女だと分かって襲うのは明らかなテロです!所属する組織を特定する為にも見つけなければいけません!」
謎の銀の騎士達は手がかりになる物を全て回収して逃げてしまったようで、物からの特定は不可能となっている。なので、直接見つけなければならないのだが──────
「ザナとリオの法律まで破って王女リリックを捕まえようとしたんだし、また来るよ。そん時に捕まえればいいだけの話」
「その次の機会に王女が捕まったらどうするんです!」
「じゃあ、捕まらないように24時間警護すればいいだけの話よ!」
「24時間って・・・家に連れて行けって事ですか?」
「うん、そう。だって彼女住む家無いモン」
「はぁ!?普通ホテルとか取ってるんじゃないんですか?」
「急な亡命だったから取れなかったんだよね~~。この時期旅行客多いからね~」
「もし、宿の予約が取れたとしてもわたしは泊まる気は無いわ」
「それはどうしてです?」
王族特有の一般庶民が使う施設なんか使えなーい!だろうか?
「だって、わたしが利用したら・・・わたしだけじゃなくて、罪の無い一般人にも被害が出るじゃない。狙われるのはわたしの命だけで十分よ!もう、これ以上わたしのせいで死なせたくない・・・」
本当に心の底からの謝罪をする。彼女は王族としてだけでなく、人としても素晴らしい人格を有している。何故、命を狙われるのか分からないくらいには。
やはり、政略の為だろうか。自分の理想を実現する為に、年端もいかぬ少女の命を狙うのは人としての心が痛まないのだろうか。
政治家や王族の考える事は分からないものだ。
「リリック王女」
「リリックで良いわ、堅苦しい。それに、あなたは恩人だし」
「分かりまし・・・いや、分かった」
「うん!それで良い!」
花のように美しくも、可愛らしい満面の笑みが向けられる。思わず、目を逸らしたくなるほど可愛かった。無邪気という言葉を存在で表現しているような存在だ。
「さっき、襲ってきた騎士は共存に反対する魔族なんです?」
「ううん、分からない。けど、多分違うと思う。魔族の騎士はあんな銀ピカの鎧は着ないし、あんなに弱く無い」
魔族の平均的な身体能力は他種族随一。更に騎士になるぐらいの実力のある者はそんな魔族の中でも身体能力な部類に入るだろう。
そんな武闘派が一般人よりも多少強い程度の俺達新人門番に倒せるだろうか?
いいや、倒せない。目に見えている。結果が目に見えている。
「じゃあ、別の種族か・・・ドワーフは消去法で消えるネ!」
「そうね~、背が低いからねっ!!」
「イッタイ!?何で踏むの!?」
モネ・ロックマン。背の低さが若干のコンプレックス。
「まあ、いない奴の正体なんて分からないからまた今度の機会に確かめる事にしよう・・・主任!リリックは何処に居てもらいます?やはり事務室ですか?」
「ジムシツって何がある?」
「特に遊ぶ物はないね」
彼女の求めていた答えを言うと、急に不機嫌な顔になる。どうなら暇になるのは嫌らしい。
「でも、暇潰せる物なんてないよ。仕事がある僕らはともかく、リリックさんにはね」
「良い暇つぶしがあるじゃない!貴方達門番の仕事ぶりを見てれば時間なんてあっという間よ!」
「ま、まあそれで良いなら全然・・・」
今日は入国審査もない為、ザナ人と魔物の侵入を警戒するだけなので、すぐに飽きてしまいそうだ。その時はその時で別の暇つぶしを探してあげy─────
「ひゃんっ!」
横に立っていたモネさんがいきなり女の子らしい声を上げる。聞いた事もない声だったので思わず振り向いてしまった。
彼女自身もそんな声を出してしまった事が恥ずかしかったらしく、左横に立っていた俺の足を思い切り踏んづけた。
「いってぇ!!おい、女々しい声聞かれたからって八つ当たりするなよ!」
「うっさいこっち見んな!仕方ないじゃないの!急に背中に変な感覚が走ったんだから!」
「変な風でも吹いたの?」
「いや、風なんかじゃない。何だか生温かったし、それに生臭かった。まるで・・・舐められたみたいな・・・」
「・・・確かに湿ってるね~。汗のかき過ぎとかではなさそうだねぇ」
「それに、何だか、体が、熱く、なってきて・・・気持ち悪い・・・おえぇ・・・」
立ち膝になったと思ったら、四つん這いになり、胃の内容物を吐き出し始めた。
胃液と共に朝食に食べたであろうドロドロのサンドイッチが出てくる。
ノロウィルスを彷彿とさせる症状だ。しかし、今までそんな素振りは見せていなかったし、先程まで元気だった。
そして、嘔吐する前に言っていた舐められたような感覚。何か接点があるようにしか考えられない。
これらの情報から導き出される答えは1つ。
「何か隠れてるねぇ・・・毒を持った何かが」
姿を隠して毒をかける卑怯モノが何処かに隠れているという答えが。
「そう簡単に諦めて良い輩じゃないでしょ!?王女だと分かって襲うのは明らかなテロです!所属する組織を特定する為にも見つけなければいけません!」
謎の銀の騎士達は手がかりになる物を全て回収して逃げてしまったようで、物からの特定は不可能となっている。なので、直接見つけなければならないのだが──────
「ザナとリオの法律まで破って王女リリックを捕まえようとしたんだし、また来るよ。そん時に捕まえればいいだけの話」
「その次の機会に王女が捕まったらどうするんです!」
「じゃあ、捕まらないように24時間警護すればいいだけの話よ!」
「24時間って・・・家に連れて行けって事ですか?」
「うん、そう。だって彼女住む家無いモン」
「はぁ!?普通ホテルとか取ってるんじゃないんですか?」
「急な亡命だったから取れなかったんだよね~~。この時期旅行客多いからね~」
「もし、宿の予約が取れたとしてもわたしは泊まる気は無いわ」
「それはどうしてです?」
王族特有の一般庶民が使う施設なんか使えなーい!だろうか?
「だって、わたしが利用したら・・・わたしだけじゃなくて、罪の無い一般人にも被害が出るじゃない。狙われるのはわたしの命だけで十分よ!もう、これ以上わたしのせいで死なせたくない・・・」
本当に心の底からの謝罪をする。彼女は王族としてだけでなく、人としても素晴らしい人格を有している。何故、命を狙われるのか分からないくらいには。
やはり、政略の為だろうか。自分の理想を実現する為に、年端もいかぬ少女の命を狙うのは人としての心が痛まないのだろうか。
政治家や王族の考える事は分からないものだ。
「リリック王女」
「リリックで良いわ、堅苦しい。それに、あなたは恩人だし」
「分かりまし・・・いや、分かった」
「うん!それで良い!」
花のように美しくも、可愛らしい満面の笑みが向けられる。思わず、目を逸らしたくなるほど可愛かった。無邪気という言葉を存在で表現しているような存在だ。
「さっき、襲ってきた騎士は共存に反対する魔族なんです?」
「ううん、分からない。けど、多分違うと思う。魔族の騎士はあんな銀ピカの鎧は着ないし、あんなに弱く無い」
魔族の平均的な身体能力は他種族随一。更に騎士になるぐらいの実力のある者はそんな魔族の中でも身体能力な部類に入るだろう。
そんな武闘派が一般人よりも多少強い程度の俺達新人門番に倒せるだろうか?
いいや、倒せない。目に見えている。結果が目に見えている。
「じゃあ、別の種族か・・・ドワーフは消去法で消えるネ!」
「そうね~、背が低いからねっ!!」
「イッタイ!?何で踏むの!?」
モネ・ロックマン。背の低さが若干のコンプレックス。
「まあ、いない奴の正体なんて分からないからまた今度の機会に確かめる事にしよう・・・主任!リリックは何処に居てもらいます?やはり事務室ですか?」
「ジムシツって何がある?」
「特に遊ぶ物はないね」
彼女の求めていた答えを言うと、急に不機嫌な顔になる。どうなら暇になるのは嫌らしい。
「でも、暇潰せる物なんてないよ。仕事がある僕らはともかく、リリックさんにはね」
「良い暇つぶしがあるじゃない!貴方達門番の仕事ぶりを見てれば時間なんてあっという間よ!」
「ま、まあそれで良いなら全然・・・」
今日は入国審査もない為、ザナ人と魔物の侵入を警戒するだけなので、すぐに飽きてしまいそうだ。その時はその時で別の暇つぶしを探してあげy─────
「ひゃんっ!」
横に立っていたモネさんがいきなり女の子らしい声を上げる。聞いた事もない声だったので思わず振り向いてしまった。
彼女自身もそんな声を出してしまった事が恥ずかしかったらしく、左横に立っていた俺の足を思い切り踏んづけた。
「いってぇ!!おい、女々しい声聞かれたからって八つ当たりするなよ!」
「うっさいこっち見んな!仕方ないじゃないの!急に背中に変な感覚が走ったんだから!」
「変な風でも吹いたの?」
「いや、風なんかじゃない。何だか生温かったし、それに生臭かった。まるで・・・舐められたみたいな・・・」
「・・・確かに湿ってるね~。汗のかき過ぎとかではなさそうだねぇ」
「それに、何だか、体が、熱く、なってきて・・・気持ち悪い・・・おえぇ・・・」
立ち膝になったと思ったら、四つん這いになり、胃の内容物を吐き出し始めた。
胃液と共に朝食に食べたであろうドロドロのサンドイッチが出てくる。
ノロウィルスを彷彿とさせる症状だ。しかし、今までそんな素振りは見せていなかったし、先程まで元気だった。
そして、嘔吐する前に言っていた舐められたような感覚。何か接点があるようにしか考えられない。
これらの情報から導き出される答えは1つ。
「何か隠れてるねぇ・・・毒を持った何かが」
姿を隠して毒をかける卑怯モノが何処かに隠れているという答えが。
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