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1章 就職!異世界の門日本支部!

19話 協力者

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  深夜21時、異世界への門前。この時間帯の門は魔物が神出鬼没に現れる為、非常に危険。

 規則により、誰も近寄れないが、この時間帯はそもそも誰も近寄ろうともしない。自殺志願者でさえ、恐怖で近づこうとしない日本一の危険地帯である。

 そんな危ない場所に足を踏み入れるのは、肝の座った人か、門番のみとなる。

 今日はかなり珍しいことに、町から門に近づいてくる者がいるようだ。門側を警戒していた夜勤の門番達も、荒野を踏み歩く足音に気が付き、町からの来訪者を警戒する。

「誰だこの野郎!!今すぐ足を止めてオレの登場を待ちやがれ!!」

「落ち着きなさいよ。女の子かもしれないでしょ?」

「あ、そっか!!」

 そこは大した問題ではない。

「それにもしかしたら、翡翠きゅんかもしれないし・・・♡」

「あいつなら今頃すやすや寝てるだろ。年増に喰われにわざわざこんな所に来るわけねぇだろ」

「ピッチピチの28歳をババア呼ばわりするなら、32のお前は何なんだ!!えぇ!?」

「翡翠から見たらの話してんだよ!若いと思ってんなら、年齢気にしてんじゃねぇ!!」

「ああ~、もう決めた。殺す。ばり殺す。めった殺しにする」

「やれるもんなら、やってみな」

 2人の間に見えない火花が散る。今にも始まりそうな意味のない戦いを予見したのは、門に向かって歩いてきた人だった。

「やめなさいお馬鹿2人。オレだよ、オレオレ!」

「「・・・なんだ、主任か」」

 謎の人物の正体は主任だった。2時間前に退勤した主任が何かを肩に乗せてやってきた。

「翡翠じゃなくて悪かったね。代わりにとんでもないお土産持ってきたから許してよ」

 肩に乗せていた大きな荷物を優しく地面に置く。荷物は蛹化したての昆虫の蛹のように蠢き、2人を驚かせる。

「これ・・・人ですか?」

「主任・・・まさか遂に人攫いを・・・!」

「ついにって・・・オレ、そんな風に見える?」

「「笑顔が胡散臭い」」

「わぁお、辛辣。けど、不正解。不法入国者だよーん。透明マント被りながら、町で迷子になってたのを見つけてニーブラした」

「「ッッ!!」」

 ふざけていた2人の表情が一気に冴えたものになる。いつ抜け出した?どうやって?今日の仕事が始まってからの記憶を辿り、抜け出した時間を推測する。

「抜け出したのは夜じゃないね。オレらの勤務時間が終わる直前。18時50分あたりじゃないかな?」

「根拠は?」

「頭の中を覗いちゃった♪口も割らないし、面倒だから」

 主任は、恐らく魔術を用いて捕獲した不法入国者の記憶を覗いたと思われる。

「それでさ、この不法入国者ちゃん、どうやら団体さんで来ちゃったみたいなんだよね。面倒な事に」

「団体とは随分大胆な不法入国の方法ですね・・・一体どうやって・・・」

「そんなの、実質的に1つしかないよねぇ~」

 入口を警戒されている状況下での団体不法入国。目立つ事間違いなし。それでも、バレなかったのかと言うと、リオには既に団体不法入国するための仲間または協力者が存在するという事。

 そして、その仲間または協力者は──────

「門番の中にいるって事」
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