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1章 就職!異世界の門日本支部!
15話 ジャネーの法則
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誰かが、言っていた。人間は19歳の時点で体感的に人生の半分が終わると。
早生まれの影響で、まだ18歳の俺でも何となく分かる気がする。1日の始まりから終わりまでの体感時間が幼い頃と比べて、非常に短くなったような気がする。
何が言いたいのかと、門番になってから、早くも3週間が経過した。よし!働くぞ!と思っていたらいつのまにか1日の業務が終了していることが多くなった。
無意味に時間を過ごしているわけではない。門番としての仕事はしっかりと体に染み付いてきている。牛歩ではあるが、主任に迷惑がかからないように一生懸命覚えてきている。
最初は親交が浅かったことが影響して、戦闘での連携が取れてなかった2人にも、遅れを取ることが無くなった。
入国審査もたまにヤバい客が来るが、穏便に対処できている。たまにモネさんがやらかすので、尻拭いをすることがあるが・・・。
そんな事を考えていると、出勤時間がやってきた。靴べらで急いで靴を履き、家を出る。
門に付くと、疲労困憊の夜勤組の先輩達が目に入る。男の夜勤組の先輩は、相変わらず優しかったが、女性の夜勤組の先輩は、最近ボディタッチが増えた上に、目が地走っている。高校時代のバイト先の店長を彷彿とさせて少し怖い。
「やあ!おはよう!ヒスイ!!今日も寝癖きまってるね!!」
「そっちこそ、ポニーテールがキツネの尻尾みたいになってるよ、シャープ。そろそろ髪を切りに行った方が良いんじゃないのか?時間が無ければ俺が切るぞ」
シャープとは、同性同年代ということも相まって、冗談を言い合える仲へと発展した。現状休みがない、門番だが、笑い合える友がいるだけで些かマシになる。
「アンタ達、遅い。さっさとこっち手伝って」
「はいよー」
モネさんは相変わらず他人との壁が厚いが、扱い方というか、接し方が大体分かってきた。あまり言い合いをせずに、受け流す。彼女を怒らせたら乱入してくる魔物よりも厄介なのだから。
「おいっす!おはよう!可愛い部下達!今日も元気に働こー!!」
「「はい!!」」「はい・・・」
主任は相変わらず主任だ。何も変わらないし、何も分からない。何度か本名を聞き出そうとはしたが、やはり、答えてはくれずに勤務24日目がスタートした。
「今日は、ザナ側からの客人はいないから、魔物が出てこないように警戒しといてー」
「ザナ側の門近くの農場からの魔物脱走情報はありますか?」
「いや、全く。タックルピッグは珍しく1匹も逃げ出さずに大人しいんだとか」
タックルピッグは、リオで言うところの豚に該当する魔物である。肉が豚同様に非常に美味しく、育てるコストが低い為、家畜としてザナ人に飼われているが、突進で木製の柵を破壊してしまう事が多々ある。ザナ側の門付近には、そのタックルピッグの牧場があり、時々、脱走したタックルピッグがリオ側に来てしまうのだ。
ザナとリオの門番達は、牧場の移動を申し出ているが、牧場主は先祖から受け継いできた土地だと主張して、拒否している模様。
3日前に侵入してきたのだが、本当に戦いづらかった。傷つける為、武器は使用禁止。殺した場合罰金というので、無傷で捕獲しなければならなかったのだ。それだけだったらまだ良いのだが、タックルピッグの持ち主である牧場主がまあ、横柄!タックルピッグを無傷でこちらに明け渡すのは当たり前などと言う自分勝手な事を平然と言ってしまうクソ爺なのだ。
近々、主任が本部と相談してタックルピッグの侵入に関して罰金を設けてくれるそうなのだが、あのクソ頑固な爺が果たして罰金を支払うのかが謎である。
「ヒスイ!大変!タイヘン!!すぐ来て!!」
「何?また、タックルピッグ?うっかりって事でやっちゃおっか」
「チガウ!ブラッドベア!!今、モネが1人で抑えてる!!」
「はぁ!?ブラッドベアだって!?」
日本にある門は、非常に奇妙なザナの土地と繋がっている。ザナ側の門は草原、森林、雪原、火山、砂漠と言ったそれぞれ異なる特性を持つ環境達が奇跡的に隣接している奇跡の土地に立っているのだ。その為か、色々な特性を持つ魔物がリオに侵入してくる。ヘルファイガーやアイスウルフなどが良い例だろう。
今侵入してきたブラッドベアは、森林の環境に住む熊型の魔物だ。肉よりも血を好むという変わった魔物。特に栄養満点な人間の血液が大好きで、ザナの森林での死亡理由第1位はブラッドベアらしい。
つまり、何が言いたいかと言うと、今回ばかしは町に逃がすのだけは絶対に阻止しなければならないという事。万が一、逃走を許した場合、異門町の人口はちょっとばかし減る事になってしまう。そうなってしまう前に・・・。
「熊狩りだ!!主任も呼んでくれ!確実に仕留める!!」
「分かった!!先に行ってて!たたき起こしてくる!!」
テーブルに立てかけていた刀を帯び、門前へと急ぐ。シャープの言う通り、モネさんは上半身が真っ赤な血で染まった狂暴な熊と戦っていた。
「こりゃあ、相当食ってるな・・・縁起が悪すぎて剥製には向いて無さそう」
「剥製にするより、殺す事を考えなさい!!」
ブラッドベアの爪l攻撃を弾きながらモネさんが俺に叫ぶ。叫び声に反応するかのように俺は刀を抜き、ブラッドベアの右腕を切断した。
早生まれの影響で、まだ18歳の俺でも何となく分かる気がする。1日の始まりから終わりまでの体感時間が幼い頃と比べて、非常に短くなったような気がする。
何が言いたいのかと、門番になってから、早くも3週間が経過した。よし!働くぞ!と思っていたらいつのまにか1日の業務が終了していることが多くなった。
無意味に時間を過ごしているわけではない。門番としての仕事はしっかりと体に染み付いてきている。牛歩ではあるが、主任に迷惑がかからないように一生懸命覚えてきている。
最初は親交が浅かったことが影響して、戦闘での連携が取れてなかった2人にも、遅れを取ることが無くなった。
入国審査もたまにヤバい客が来るが、穏便に対処できている。たまにモネさんがやらかすので、尻拭いをすることがあるが・・・。
そんな事を考えていると、出勤時間がやってきた。靴べらで急いで靴を履き、家を出る。
門に付くと、疲労困憊の夜勤組の先輩達が目に入る。男の夜勤組の先輩は、相変わらず優しかったが、女性の夜勤組の先輩は、最近ボディタッチが増えた上に、目が地走っている。高校時代のバイト先の店長を彷彿とさせて少し怖い。
「やあ!おはよう!ヒスイ!!今日も寝癖きまってるね!!」
「そっちこそ、ポニーテールがキツネの尻尾みたいになってるよ、シャープ。そろそろ髪を切りに行った方が良いんじゃないのか?時間が無ければ俺が切るぞ」
シャープとは、同性同年代ということも相まって、冗談を言い合える仲へと発展した。現状休みがない、門番だが、笑い合える友がいるだけで些かマシになる。
「アンタ達、遅い。さっさとこっち手伝って」
「はいよー」
モネさんは相変わらず他人との壁が厚いが、扱い方というか、接し方が大体分かってきた。あまり言い合いをせずに、受け流す。彼女を怒らせたら乱入してくる魔物よりも厄介なのだから。
「おいっす!おはよう!可愛い部下達!今日も元気に働こー!!」
「「はい!!」」「はい・・・」
主任は相変わらず主任だ。何も変わらないし、何も分からない。何度か本名を聞き出そうとはしたが、やはり、答えてはくれずに勤務24日目がスタートした。
「今日は、ザナ側からの客人はいないから、魔物が出てこないように警戒しといてー」
「ザナ側の門近くの農場からの魔物脱走情報はありますか?」
「いや、全く。タックルピッグは珍しく1匹も逃げ出さずに大人しいんだとか」
タックルピッグは、リオで言うところの豚に該当する魔物である。肉が豚同様に非常に美味しく、育てるコストが低い為、家畜としてザナ人に飼われているが、突進で木製の柵を破壊してしまう事が多々ある。ザナ側の門付近には、そのタックルピッグの牧場があり、時々、脱走したタックルピッグがリオ側に来てしまうのだ。
ザナとリオの門番達は、牧場の移動を申し出ているが、牧場主は先祖から受け継いできた土地だと主張して、拒否している模様。
3日前に侵入してきたのだが、本当に戦いづらかった。傷つける為、武器は使用禁止。殺した場合罰金というので、無傷で捕獲しなければならなかったのだ。それだけだったらまだ良いのだが、タックルピッグの持ち主である牧場主がまあ、横柄!タックルピッグを無傷でこちらに明け渡すのは当たり前などと言う自分勝手な事を平然と言ってしまうクソ爺なのだ。
近々、主任が本部と相談してタックルピッグの侵入に関して罰金を設けてくれるそうなのだが、あのクソ頑固な爺が果たして罰金を支払うのかが謎である。
「ヒスイ!大変!タイヘン!!すぐ来て!!」
「何?また、タックルピッグ?うっかりって事でやっちゃおっか」
「チガウ!ブラッドベア!!今、モネが1人で抑えてる!!」
「はぁ!?ブラッドベアだって!?」
日本にある門は、非常に奇妙なザナの土地と繋がっている。ザナ側の門は草原、森林、雪原、火山、砂漠と言ったそれぞれ異なる特性を持つ環境達が奇跡的に隣接している奇跡の土地に立っているのだ。その為か、色々な特性を持つ魔物がリオに侵入してくる。ヘルファイガーやアイスウルフなどが良い例だろう。
今侵入してきたブラッドベアは、森林の環境に住む熊型の魔物だ。肉よりも血を好むという変わった魔物。特に栄養満点な人間の血液が大好きで、ザナの森林での死亡理由第1位はブラッドベアらしい。
つまり、何が言いたいかと言うと、今回ばかしは町に逃がすのだけは絶対に阻止しなければならないという事。万が一、逃走を許した場合、異門町の人口はちょっとばかし減る事になってしまう。そうなってしまう前に・・・。
「熊狩りだ!!主任も呼んでくれ!確実に仕留める!!」
「分かった!!先に行ってて!たたき起こしてくる!!」
テーブルに立てかけていた刀を帯び、門前へと急ぐ。シャープの言う通り、モネさんは上半身が真っ赤な血で染まった狂暴な熊と戦っていた。
「こりゃあ、相当食ってるな・・・縁起が悪すぎて剥製には向いて無さそう」
「剥製にするより、殺す事を考えなさい!!」
ブラッドベアの爪l攻撃を弾きながらモネさんが俺に叫ぶ。叫び声に反応するかのように俺は刀を抜き、ブラッドベアの右腕を切断した。
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