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5章 紛い物の神
260話 魔法と物理
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ルイスと俺の会話は誰にも聞こえないレベルのヒソヒソ話だった為、ヘリナ先輩にも勿論聴こえていない。しかし、ヘリナ先輩と俺は互いに信頼し合っている。だから、互いに何をしようか分からなくても、信用して動く事が出来る。
「ヘリナ先輩!!突撃!!」
「任せて!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヒビ入った大剣をまるで騎馬槍のように構えて突撃。ヘリナ先輩も長時間の戦いで今日の分の魔力を9割使い切っており、武器の問題だけでなく、魔力面でもこれが最後の攻撃となるだろう。
「はぁ・・・悲しいな。勝てないと察して最早何も考えられなくなったか・・・フンッ!!」
「ぐわぁ!!」
抑えていたドゥークを遠くまで吹き飛ばす。一瞬で見えなくなる距離まで吹き飛ばされてしまった。死んではいないだろうが、俺達の方まで戻って来るには時間がかかるだろう。
「『フレイム』・・・!!」
触れていなくても火傷しそうなくらいの温度と大きさを誇る巨大な火の玉がシャックルからヘリナ先輩に向かって放たれる。これで、神様の0.5%の力だというのだから恐ろしい。
「俺に任せな!!『マジックシールド』!!」
ヘリナ先輩を庇うように前に出て盾を構えながら、魔法の盾を使用。鉄壁と魔法でヘリナ先輩を守る。巨大なフレイムが消えたと同時に父さんは横へと回転ダイブ。シャックルへと向かう。
「うおおおおおおお!!死ねぇぇぇぇぇ!!」
突撃体勢を止め、いつも通りの体勢へとチェンジ。身の丈以上の大剣を振りかぶり、力と魔力のある限り振り下ろした。
「あんなにサポートしてもらっておいてこの程度か・・・お前達人間の矮小さ、これで理解できたかな?」
「アンタだって人間でしょう?それに・・・アタシはファルコが何をしたいのか全然知らないから」
「何?・・・ハッ!!」
瞬間、我の脳裏によぎるのは未来予知により、把握した5秒後の未来。使用している魔力が少ない事も影響してか、読める未来があまりにも短すぎる。
見えたのは、己の背後を取って投げる段階に入っているファルコ。しかし、ファルコが何を投げてくるのか分からない。手が位置的な問題で背中に隠れ居ているせいで、何を投げてくるかもわからない。
しかし、鉄球だという事は変わらないだろう。問題は、エンチャントした鉄球か否か。
天使ルイスの方へ倒れた時、起き上がるのが少し遅かった。恐らくその時、我のバリアが一度に魔法か物理かのどちらかしか防げない事を知ってしまったのだろう。
だからチビ女剣士を突撃させた。そして、自分は背後から魔法鉄球を投げる事でどちらかの攻撃が当たるようにしたんだろう。
しかし、認識が甘かったな。魔力の消費量を最低限にしているというだけに過ぎない!それに、前後から別々の攻撃をしてくるのならば、2種類のバリアを作ればいい話だ。
ファルコは、魔法鉄球を投げてくるだろうから魔法特攻のバリアを、そして正面から大剣を振り下ろしてくるチビ女剣士には物理特攻バリアを張れば良い。そうすれば、他に割り振っている魔力をわざわざバリアの方に振らなくても防ぐ事が出来る。
「さあ、来い!!矮小なる人間ども!!」
背後には、魔法特攻バリア、前方には物理特攻バリアが張られる。どちらも同色で見分けがつく事がない。自分達の考えが読まれているとは知らずに、ファルコは球を投げる。
「ヘリナ先輩!!」
「ッッ!?」
ファルコの投げた物が、我の顔の真横を通り過ぎていく。通り過ぎて行ったのは鉄球・・・ではなく、何か柔らかい物が詰まった布袋だった。
凡そ150キロで通り過ぎて行った布袋は、振り下ろされる大剣の刃にぶつかると、刃に電気が宿る。その電気は、魔法由来の電気。布袋には雷の魔法が込められていた!?
布袋が刃にぶつかった瞬間、チビ女剣士の大剣は物理攻撃から魔法攻撃へと変化を遂げてしまった。
考えが読んでいたのは我ではなく、ただの人間だったというのか!?
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
急いで切り替えようとしても、時すでに遅し。我の背中にひんやりとした冷たい鉄球が貫通せんばかりにめり込んでいた。
「ヘリナ先輩!!突撃!!」
「任せて!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヒビ入った大剣をまるで騎馬槍のように構えて突撃。ヘリナ先輩も長時間の戦いで今日の分の魔力を9割使い切っており、武器の問題だけでなく、魔力面でもこれが最後の攻撃となるだろう。
「はぁ・・・悲しいな。勝てないと察して最早何も考えられなくなったか・・・フンッ!!」
「ぐわぁ!!」
抑えていたドゥークを遠くまで吹き飛ばす。一瞬で見えなくなる距離まで吹き飛ばされてしまった。死んではいないだろうが、俺達の方まで戻って来るには時間がかかるだろう。
「『フレイム』・・・!!」
触れていなくても火傷しそうなくらいの温度と大きさを誇る巨大な火の玉がシャックルからヘリナ先輩に向かって放たれる。これで、神様の0.5%の力だというのだから恐ろしい。
「俺に任せな!!『マジックシールド』!!」
ヘリナ先輩を庇うように前に出て盾を構えながら、魔法の盾を使用。鉄壁と魔法でヘリナ先輩を守る。巨大なフレイムが消えたと同時に父さんは横へと回転ダイブ。シャックルへと向かう。
「うおおおおおおお!!死ねぇぇぇぇぇ!!」
突撃体勢を止め、いつも通りの体勢へとチェンジ。身の丈以上の大剣を振りかぶり、力と魔力のある限り振り下ろした。
「あんなにサポートしてもらっておいてこの程度か・・・お前達人間の矮小さ、これで理解できたかな?」
「アンタだって人間でしょう?それに・・・アタシはファルコが何をしたいのか全然知らないから」
「何?・・・ハッ!!」
瞬間、我の脳裏によぎるのは未来予知により、把握した5秒後の未来。使用している魔力が少ない事も影響してか、読める未来があまりにも短すぎる。
見えたのは、己の背後を取って投げる段階に入っているファルコ。しかし、ファルコが何を投げてくるのか分からない。手が位置的な問題で背中に隠れ居ているせいで、何を投げてくるかもわからない。
しかし、鉄球だという事は変わらないだろう。問題は、エンチャントした鉄球か否か。
天使ルイスの方へ倒れた時、起き上がるのが少し遅かった。恐らくその時、我のバリアが一度に魔法か物理かのどちらかしか防げない事を知ってしまったのだろう。
だからチビ女剣士を突撃させた。そして、自分は背後から魔法鉄球を投げる事でどちらかの攻撃が当たるようにしたんだろう。
しかし、認識が甘かったな。魔力の消費量を最低限にしているというだけに過ぎない!それに、前後から別々の攻撃をしてくるのならば、2種類のバリアを作ればいい話だ。
ファルコは、魔法鉄球を投げてくるだろうから魔法特攻のバリアを、そして正面から大剣を振り下ろしてくるチビ女剣士には物理特攻バリアを張れば良い。そうすれば、他に割り振っている魔力をわざわざバリアの方に振らなくても防ぐ事が出来る。
「さあ、来い!!矮小なる人間ども!!」
背後には、魔法特攻バリア、前方には物理特攻バリアが張られる。どちらも同色で見分けがつく事がない。自分達の考えが読まれているとは知らずに、ファルコは球を投げる。
「ヘリナ先輩!!」
「ッッ!?」
ファルコの投げた物が、我の顔の真横を通り過ぎていく。通り過ぎて行ったのは鉄球・・・ではなく、何か柔らかい物が詰まった布袋だった。
凡そ150キロで通り過ぎて行った布袋は、振り下ろされる大剣の刃にぶつかると、刃に電気が宿る。その電気は、魔法由来の電気。布袋には雷の魔法が込められていた!?
布袋が刃にぶつかった瞬間、チビ女剣士の大剣は物理攻撃から魔法攻撃へと変化を遂げてしまった。
考えが読んでいたのは我ではなく、ただの人間だったというのか!?
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
急いで切り替えようとしても、時すでに遅し。我の背中にひんやりとした冷たい鉄球が貫通せんばかりにめり込んでいた。
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