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5章 紛い物の神

252話 ナックルの口撃

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「魔族の子よ、君も何か、我に、聞きたいのか?」

「はい」

 聞きたい事?何だそれは?俺達は互いに秘密は打ち解けあってきた。打ち解けた秘密の中に神に質問するレベルの秘密は無かったはずだ。

 それとも、隠していたのか?この機会が来るのを待って心の奥に隠していた?いやいや、ありえない。だって、神に会えるのが分かったのだってついさっきだぞ?天使に会えるのだってたった1ヶ月前に知った事だ。

 ・・・いや、違う。昔から持っていた質問じゃない。ナックルは、天界に来てから今に至るまでの出来事で生まれた疑問を質問として抽出しているんだ。

 そして、その質問は恐らく神の見た目と体調の悪さに関してだ。それ以外考えられない。

 しかし、ファルコの予想は大いに外れる事になる。

「神様、貴方様はどうして俺達の探している魔法使いが男だと分かったんですか?」

「「「「え?」」」」「「はぁ?」」

 ナックルの質問は俺の予想を裏切る内容だった。

「貴方様はファルコさんの514年前の魔法使いを知っているか?という質問に対し、『そのような男は知らん』と答えましたね?ファルコさんは性別も言っていないのに」

 確かに。俺は性別なんて言った覚えはない。514年前から生きているエルフ以外の魔法使いとしか言った覚えがない。

「それは、君達の、頭の中から・・・」

「僕らも追っている魔法使いの性別は知りません。それに、天界の人達は頭を読む行為を卑しい行動だと捉えているのに、どうして貴方の中にはその選択肢があるのですか?」

 神?の慈悲深い表情が、段々と曇っていく。対してナックルの表情は戦闘時のような険しい顔になっていく。

「全身のヒビ割れといい、言葉の端切れ悪さといい。貴方、本当に神なんですか?失礼ですが、僕は貴方が神だとはとてもじゃありませんが思えません」

「君っ!!」

 瞬間、ルイスがナックルに掴みかかる。

「なんという事を言う!流石の私でも怒るぞ!!」

「じゃあ、貴方はどう見えているんですか!?目の前にいる神と名乗る男がどんなふうに見えているのか、口で説明して下さい!」

「い、一体何を言い出すんだ君は・・・どんなふうと言っても、完璧という言葉は、あのお方にあるといわしめるほどの美しさだが・・・」

「ああ、やっぱりだ。貴方達天使は僕達よりも症状が酷い。記憶改変魔法の影響なのか?いや、それとは別に魔法がかかっているのか?だとするなら───────『メルトアウト』!」

 魔法解除の魔法が、神?向かって放たれる。すると、数秒もしないうちにルイスは目を丸くして神?を見つめ始めた?

「貴方は・・・誰だ?」

 ナックルの読みはどうやら当たっていたらしい。
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