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5章 紛い物の神

238話 山頂の神殿

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「開いた・・・!!」

「ナックル、『おちんちん』とは一体どういう意味なんだ?」

「随分可愛らしい響きだったけど・・・ファルコ?どうしてそんなに気まずそうな表情を浮かべているの?」

 口にするのは、抵抗があったので、無言で股間に指差す。すると、ヘリナ先輩の顔はゆでだこのように赤く熱くなった。

「最っ低・・・」

「俺じゃないですからね!?」

「分かってるってば・・・ファルコはそういう時期は既に終わってるんでしょ?合計年齢60歳なんだし」

「まあ・・・前世で丁度この歳くらいには」

「早いな。私なんか、まだ使ってるぞ。部下に」

「その部下の性別は?」

「勿論、女だが?」

「今のうちに絶対やめておいた方が良いぞ、ドゥーク。時代が変われば訴えられるから」

「・・・説得力があるな。分かったよ」

 まだ、セクハラに寛容で良かった。出なければ今頃ドラゴム家は終わっていた。

「隠し通路っていうよりも階段だな。だいぶ緩やかな」

「多分、神殿を作る物資を運ぶための配慮じゃないですあね?」

「異空間魔法があるというのにな」

「それは、ベルム族の魔法だろ」

「それもそうだったな」

 階段を登りながら、左右の壁を見てみると、擦り傷ようなものがあるのが分かる。物を運んでいてぶつけてしまったのだろう。

「落下死の可能性もさっきまではあったのに、今じゃまるで心配ないね」

「はい。正直、これ以上ほぼ壁の山をよじ登るのは勘弁だったのでありがたいです」

 緩やかな階段の為、頂上に着くのが遅い。緩やかな螺旋状に作られているようで、少し目が回ってきた。気のせいだと良いのだが。

 約2時間くらい階段を登った所で、出口が見えてきた。暗いが、空に散りばめられた星が小さいながらも輝いているのが分かる。

「登頂を始めてからどのくらい経ちましたっけ?」

「数回の休憩時間を含めて約2日。階段がなければ1週間は確実にかかっていただろうな。階段を作ったエルフに感謝をしておこう」

「・・・・良かったな、ファルコ。最初から調べ直しはしなくて済みそうだぞ」

「そうだね、父さん」

 階段を登り終えた俺達を待つように存在する巨大な神殿。作りは前世の学生時代の頃に世界史で見たコリント式という造りにとても良く似ている。

 神に捧げるつもりで作ったのであろう神殿は、とても美しかった。例え、巻物に書かれた通りに天界に行けなかったとしても、登山して良かったと思える出来の神殿だ。

「・・・中に入って良いのかな?こういうのってあんまり中に入っちゃいけないんだよね?」

「中に入らずにどうやって祈りを捧げるっていうんですか。ほら、行きますよ」

 世界遺産に土足で入り込んだからって後で怒られない・・・よね?

 恐る恐る神殿の中へと入った。
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