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5章 紛い物の神

216話 昔馴染み

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「再生能力があるのか・・・!!しかもめちゃくちゃ強力な奴!」

「ファルコ、作戦変更だ。さっきと同じ事をしたらすぐに茎の表面を炙れ。植物とか生き物は焼いた部分だけ再生するのが遅いからな」

 焼く行為による、細胞破壊。良い案だ、それで行こう。

「よぉし!行くぞ!!アイ─────」

「あああ、ちょっと待った。ちょっと待った。まだ、焼かないで~」

「父さん!?・・・じゃないな・・・誰!?」

 グルメプラントの方向から声が聞こえる。木影から聞こえたような気がした。

「ぼく?ぼくはね、このグルメプラントの管理をしてるんだ」

 現れたのは、耳がとんがった14歳くらいの背丈の男の子・・・エルフだ。

「ごめんね、このグルメプラントはエルフの人を攫う悪い人を食べるために植えたんだ」

「成る程・・・でも、俺達を助けても良かったの?どうやってエルフ攫いじゃないって確信したんだ?」

「そうだね、君だけじゃ一目で確信はしてなかったかも。ぼくがエルフを攫う人じゃないった確信できたのは、もう1人ののお陰だよ」

 子といいながら指差すのは、俺の父さん38歳。一瞬訳が分からなかったが、エルフが長寿の種族だという事を思い出す。

 見た目は完全に小さな子供だけれども、俺と父さんよりも遥かに年上なのかもしれない。

「イーグル。すごい老けてたから一瞬誰だか分からなかったよ。ぼくの事覚えてる?」

「・・・まさか、トライヴ?トライヴなのか?」

「うん!覚えてくれてて嬉しいよ」

 どうやら父さんとトライヴというエルフは知り合いみたいだ。再会の握手をするくらいには仲がよかった事が伺える。

「久しぶりだな!まさか、姿がまるで変わってなかったから驚いたぜ!」

「久しぶり?20年しか経ってないじゃないか。いや、人間にとっては人生の3分の1くらいか・・・ところであそこにいる君に似た子は?」

「俺の息子だ」

「息子・・・驚いたね。20年でこんなに変化があるなんて・・・人間と友達だと刺激があって楽しいや」

 流石は1000年生きる種族だ。感覚がまるで俺達と違う。心の底からエルフに転生しなくてよかったと思う。

「なあ、トライヴ。俺は20年前にお前にエルフの集落への行き道を教えてもらったよな?」

「うん、教えたね」

「それなのに、途中から迷ったんだけど」

「ああ~実はね、ちょっと前にファリードの森を少しいじったんだ」

「えぇ・・・何で?いや、エルフ攫い対策なんだろうけども」

「だって、イーグルが言ってたじゃん。家族を守りたかったら、工夫しろって。だからつい10年前に少し森をいじったし、5年前にグルメプラントだって植えたんだよ」

「あ~・・・成る程。つまり俺は自分の発言が原因で死にかけたわけだ。ハハッ!」

 死にかけたけれども、セキュリティの向上が伺えたので良しとしよう。
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