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4章 偽りの歴史

208話 メンタルブレイクキッス

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「おい!!アイツじゃないのか?」

「やっぱり、龍騎隊は都市を襲いに来たんじゃない。ファルコ・ブレイヴをサルベージしに来たんだ!」

「奴を止めろ!!A級冒険者もつれてこい!!」

 表に出た瞬間、兵士に見つかってしまう。皆はワイバーンから逃げているのに、俺達は追いかけているんだからバレても仕方はないのだが・・・。

 それにしても、兵士に集中しすぎて冒険者の事を忘れていた。戦士タイプならともかく、魔法使いタイプだと、かなり厄介だ。そして、・・・。

「ヘリナちゃ~~ん♡」

「げっ・・・やっぱり来た」

 案の定やってきたヤンデレレズ魔法使いルナの登場だ。目の前に現れたので、蹴り飛ばしたが、また幻だった。

「ウチから逃げれると思ってるの?そんな浅はかな所もヘリナちゃんらしくて可愛い・・・でも、逃がさないから」

「もうこれ以上貴女の駒に戻るのだけは嫌なんで」

「ふふ、安心して?もうあんなひどい事はさせないわ。寧ろもう何もしなくて良い。ずっとウチを平和に暮らしましょう?都市の外れにある敷地を買って、丸太小屋を建てるの♪そこで、毎日のんびりと薪だけを割って暮らすの魅力的だと思わない?」

「凄く魅力的~~・・・所で、そこにファルコは?」

「フフフ、いるわけないじゃない。でも安心して?この仮面を被れば苦しむ事なんてないから」

 ルナが持つどす黒い色の仮面からは、マリオネットダンスと同じ魔力を感じる。被らせたらヘリナ先輩は一生ルナのラブドールというわけだ。

 ヘリナ先輩は拒む姿勢を貫いているが、ルナはまるで諦めようとしていない。正直に言って、彼女はかなり優秀な魔法使いだ。魔法は勿論、罠での足止めもあまり意味をなさないだろう。

 ならば、昨晩地下牢でヘリナ先輩が行った精神攻撃が有効だろう。

「ヘリナ先輩!精神攻撃お願いできます?」

「任せといて!ルナさんにとってどぎついの今考えたから!!」

「どぎついの・・・?うおっ!!」

 ヘリナ先輩は俺と対面するように抱き着いてくると、顔を近づけてくる。そのまま顔が近づいていき、俺と、ヘリナ先輩の唇は接触した。

「なっ・・・!」

「ルナさん・・・ごめんなさい」

 キスの後のごめんなさい。その威力は半端なものではないだろう。

「あ・・・あああ・・・・ああああああああああああああ!!」

 やはり、精神的に耐えられなかったようで、ルナの姿は風船が破裂するように消え去った。

「あらま!良いわね~~~」

「母さん、煽らないでよ!!」

 キスなんてしたの前世を足しても30年ぶりぐらいだったので、顔が熱くなってしまった。ヘリナ先輩は、凄く満足そうにしていた。
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