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4章 偽りの歴史

171話 凸凹

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 王女曰く、カートライトの中央都市には、十数人の諜報員がいるらしい。

 その諜報員ほ1週間に一度報告をよこすのだが、その報告の中に、諜報員のうち4名が殺されたと書かれていたらしい。

「今まで、諜報員が捕まって殺される事件は何度かありました。けれども、一気に殺される事は初めてです」

「捕まらずに殺された?で良いんでしょうか?」

「はい。他の生き残った諜報員の前で切り殺されたとのことです。大胆に背後から心臓を貫くように・・・」

 うん、確かに大事件だ。このまま放っておいたらカートライト側の情報を掴んでくれている諜報員が全滅する事態となる。だけど─────。

「俺は隠密行動に向いた人間ではありません。それに、ドゥークもどう考えても隠密向きじゃありませんし・・・」

「なっ・・・!で、でも確かにこの男の言う通りです。他にもっと静かに行動できるものがいるんではないでしょうか?」

 行かなくても分かる。この依頼に対する適正が俺達にはない。このまま言っても失敗する未来しか見えない。

「貴方は言われた通り、自分の力を過小評価しているみたいですね。その腕で鉄球を豪速球で投げる時、音は鳴りますか?」

「いえ、鳴りません・・・鳴った時には既に相手の頭が砕けている時です」

「隠密で最も重要とされているのは大きくわけて2つ。気配を消せることと、音を消せることです。貴方の鉄球投げは50m先の敵をも黙らせると聞きました。選ぶには十分ない理由だと思いませんか?」

「まあ、そう言われればそうかも・・・」

「では、問題ありませんね?では、依頼お願いしますね」

 しまった、上手く言葉で誘導されて嵌められた。確かに、俺の投球戦法には音は出ないけど、俺自身が隠密依頼に向いてないんだって!

「で、では私は?そこの男とは違って、恐ろしく派手な魔法ですよ?こんな化け物を隠密依頼に使って良いんですか?」

「貴方は・・・まあ、そうですね。確かに向いてませんね」

「でしょう!?なら、さっさと別の者を────」

「ですが、貴方自身の実力はどうでしょう?体術はまるでダメですが、代わりに魔法や潜入訓練などの成績はほぼ完璧です。よって貴方は適任でしょう」

「そ、そんな・・・」

 アレクサンダーには、徴兵制度が存在しており、その際に身体能力検査を受けるらしい。その時の成績から所属を決めるのだとか。

「それにもしも、バレて敵に囲まれた場合、貴方のドラゴンズソウルは最適でしょう?」

「言われてみれば確かに」

「こらぁー!!変なこというなこんの馬鹿野郎が!!」

「フフ、元気そうで何より。頑張って下さいね♪」

 こうして、ベルムとカートライトの凸凹コンビが完成したのであった。
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