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3章 平和主義者達
126話 大義か個人か
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「流石アタシの相棒ね。声だけで分かってくれるなんて・・・かなり嬉しいわ」
見えないが、その声と喋り方は確実にヘリナ先輩のものだった。という事は、トルネヒロを襲ったのは、ガーディアンズ。
「久しぶりって言ったけど、別れてから2週間しか経ってないんだよね。こんなに早く再会できるだなんです思わなかった・・・」
「嬉しいん、ですか・・・?」
「嬉しさ半分、悲しさ半分よ。だって、アタシはこの町トルネヒロと、ギルド『レボルス』を滅ぼしに来たんだから」
「一応理由を聞いても良いですか?」
「・・・魔族と共謀して、国家転覆を狙っているからよ」
いつかはバレるだろうなとは思っていた。しかし、まさか移籍してからたったの2週間でガサ入れが入るとは思わなかった。
「今、アタシ達ガーディアンズには、裏切り者である貴方達を逮捕する権利と、殺す権利を持っている」
「でも、皆俺達を殺すつもりなんでしょ?目が見えなくてもなんとなく分かります。ヘリナ先輩の背後から感じる尋常ではないレベルの殺意を感じます」
他にも、刃を研ぐ音と、建物を破壊する音が聞こえてくる。しかし、まだ悲鳴は上がっていない。
恐らくだ・・・恐らくだが、俺の言葉を待っているんだろう。ただ、なんと答えようが、ガーディアンズの冒険者達は俺達を殺す。ベルム族の人達は更に凄惨な殺し方をする。
彼らにとって、ベルム族は忌まわしき存在なんだから。
言葉に迷っていると、ヘリナ先輩の唇が左耳に近づいている事に気がついた。俺に何が囁こうとしている。
「ファルコ、アタシなら貴方を助けられるよ?」
「・・・はぁ?」
「ファルコはレボルスに来てから2週間しか経ってない。人はそんな短い期間で思想に染まりきらないと思うの。アタシだけじゃない。ガーディアンズの人達も皆そう思ってる」
「・・・・・・」
「ファルコは、父親であるイーグル・ブレイヴに騙されそうになった。そうなんでしょ?」
「・・・・・・」
「ねぇ、お願いファルコ。そうだって言って。嘘でも良いから頷いて。アタシに貴方を殺させないで・・・」
声が潤んでいる。顔に生暖かい水滴が落ちてくる。滴って俺の口の中に入ってくる。しょっぱい。涙だ。ヘリナ先輩は今、本気で泣いている。
「俺は・・・」
人生は思い通りにはいかない。回数は人それぞれだが、大事なモノから1つしか選べない時が来る。
今がその時だ。大義を選ぶか、個人を選ぶか。俺は─────。
「これは、俺の意志です・・・!」
大義を選ぶ事にした。
「そっか・・・・・・愛してる」
風を切る音がする。俺を斬り殺そうとヘリナ先輩の大剣が迫ってくる。死の覚悟をした次の瞬間、ほぼ光を失っていた目は、再び光を捉えた。
「フンッ・・・!!」
気づいた時には、ヘリナ先輩の腕を掴み、大剣の振り下ろしを停止させていた。
見えないが、その声と喋り方は確実にヘリナ先輩のものだった。という事は、トルネヒロを襲ったのは、ガーディアンズ。
「久しぶりって言ったけど、別れてから2週間しか経ってないんだよね。こんなに早く再会できるだなんです思わなかった・・・」
「嬉しいん、ですか・・・?」
「嬉しさ半分、悲しさ半分よ。だって、アタシはこの町トルネヒロと、ギルド『レボルス』を滅ぼしに来たんだから」
「一応理由を聞いても良いですか?」
「・・・魔族と共謀して、国家転覆を狙っているからよ」
いつかはバレるだろうなとは思っていた。しかし、まさか移籍してからたったの2週間でガサ入れが入るとは思わなかった。
「今、アタシ達ガーディアンズには、裏切り者である貴方達を逮捕する権利と、殺す権利を持っている」
「でも、皆俺達を殺すつもりなんでしょ?目が見えなくてもなんとなく分かります。ヘリナ先輩の背後から感じる尋常ではないレベルの殺意を感じます」
他にも、刃を研ぐ音と、建物を破壊する音が聞こえてくる。しかし、まだ悲鳴は上がっていない。
恐らくだ・・・恐らくだが、俺の言葉を待っているんだろう。ただ、なんと答えようが、ガーディアンズの冒険者達は俺達を殺す。ベルム族の人達は更に凄惨な殺し方をする。
彼らにとって、ベルム族は忌まわしき存在なんだから。
言葉に迷っていると、ヘリナ先輩の唇が左耳に近づいている事に気がついた。俺に何が囁こうとしている。
「ファルコ、アタシなら貴方を助けられるよ?」
「・・・はぁ?」
「ファルコはレボルスに来てから2週間しか経ってない。人はそんな短い期間で思想に染まりきらないと思うの。アタシだけじゃない。ガーディアンズの人達も皆そう思ってる」
「・・・・・・」
「ファルコは、父親であるイーグル・ブレイヴに騙されそうになった。そうなんでしょ?」
「・・・・・・」
「ねぇ、お願いファルコ。そうだって言って。嘘でも良いから頷いて。アタシに貴方を殺させないで・・・」
声が潤んでいる。顔に生暖かい水滴が落ちてくる。滴って俺の口の中に入ってくる。しょっぱい。涙だ。ヘリナ先輩は今、本気で泣いている。
「俺は・・・」
人生は思い通りにはいかない。回数は人それぞれだが、大事なモノから1つしか選べない時が来る。
今がその時だ。大義を選ぶか、個人を選ぶか。俺は─────。
「これは、俺の意志です・・・!」
大義を選ぶ事にした。
「そっか・・・・・・愛してる」
風を切る音がする。俺を斬り殺そうとヘリナ先輩の大剣が迫ってくる。死の覚悟をした次の瞬間、ほぼ光を失っていた目は、再び光を捉えた。
「フンッ・・・!!」
気づいた時には、ヘリナ先輩の腕を掴み、大剣の振り下ろしを停止させていた。
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