108 / 341
3章 平和主義者達
107話 魔法の義手
しおりを挟む
レボルスにやってきた初日。最初こそ喧嘩からの乱闘という最悪の印象から始まったわけだが、同じ理想の元集まった者同士やはり気が合うらしい。
その日の夜は歓迎会という事で、みんなでたらふく酒を呑み、アレクサンダーの珍味に舌鼓を打った。
アレクサンダーは隣国だけど、歩んできた文明が全く違うようで、特にその面は料理に出ていた。
珍しい調理法に、面白い調味料。美味しいというよりも楽しい食事だった。
とにかく、楽しい宴の後に待っているのは、二日酔いという名の体からのペナルティ。頭痛が止まない、吐き気がすごい。
「気持ち悪い・・・」
そう呟きながら、酒場にやってくる。食欲がなくても食べなければいけない朝食を食べに。
俺が帰った後も、酒飲みは続いたようで、床には先輩達が転がっている。寝ゲロを吐いている先輩もいれば、中にはベルム族とカートライト人同士で抱き合っている先輩達もいる。
寝ゲロは汚いけれども、対立中の種族が仲良くしているのを見ると何だか微笑ましいな・・・。
「んん・・・気持ち悪い・・・」
テーブルにうつ伏せて寝ていた先輩のうち1人が起床する。それは、ドゥークだった。
「「なんだ、お前かよ・・・」」
互いにに嫌い合っているからか、言葉がハモる。それがまた喧嘩の火種になりかねないのだが、互いに体調不良の為、喧嘩する事はない。
朝食を摂る席を見つけようとしても、先輩達が寝るのに使ってしまっているのがほとんどで使えるテーブル席がない。残っているのは、ドゥークのテーブル席のみだった。
「おい、何で私の前に座る。他の席に行け」
「仕方ないだろ。他の席がないんだから。それに、隣の方が嫌だろ」
「それは確かに嫌だな・・・まあ、良い」
意外にもあっさりと座らせてもらえた。恨みはありつつも、仲間だと認識しているからだろうか。
「一応仲間という肩書きではあるが、勘違いはするなよ?私はお前達を恨んでいるいる事をな」
「にも関わらず冷静だな。左腕も奪ったのに」
「正々堂々の勝負の末の結果だ。卑怯な手だったら話はまた別だがな。それに、だ。腕に関しては問題ないからな」
見せつけてきたのは、金属製の義手。しかも、指先までまるで本物の手のように動いている。微量ながらも魔力を感じることから、科学ではなく、魔法で動いている事が分かる。
「これこそがアレクサンダーの最新技術っ!!お前の母国はこのような素晴らしい物を作る国を滅ぼそうとしているのだぞ?恥を知れ!恥を」
「・・・なあ、その腕。もらえないか?」
この義手さえあれば、パルスさんは再び冒険者として戦えるかもしれない。そう思ったのだが────。
「断るっ!!」
「えぇ・・・」
キッパリと断られてしまった。
その日の夜は歓迎会という事で、みんなでたらふく酒を呑み、アレクサンダーの珍味に舌鼓を打った。
アレクサンダーは隣国だけど、歩んできた文明が全く違うようで、特にその面は料理に出ていた。
珍しい調理法に、面白い調味料。美味しいというよりも楽しい食事だった。
とにかく、楽しい宴の後に待っているのは、二日酔いという名の体からのペナルティ。頭痛が止まない、吐き気がすごい。
「気持ち悪い・・・」
そう呟きながら、酒場にやってくる。食欲がなくても食べなければいけない朝食を食べに。
俺が帰った後も、酒飲みは続いたようで、床には先輩達が転がっている。寝ゲロを吐いている先輩もいれば、中にはベルム族とカートライト人同士で抱き合っている先輩達もいる。
寝ゲロは汚いけれども、対立中の種族が仲良くしているのを見ると何だか微笑ましいな・・・。
「んん・・・気持ち悪い・・・」
テーブルにうつ伏せて寝ていた先輩のうち1人が起床する。それは、ドゥークだった。
「「なんだ、お前かよ・・・」」
互いにに嫌い合っているからか、言葉がハモる。それがまた喧嘩の火種になりかねないのだが、互いに体調不良の為、喧嘩する事はない。
朝食を摂る席を見つけようとしても、先輩達が寝るのに使ってしまっているのがほとんどで使えるテーブル席がない。残っているのは、ドゥークのテーブル席のみだった。
「おい、何で私の前に座る。他の席に行け」
「仕方ないだろ。他の席がないんだから。それに、隣の方が嫌だろ」
「それは確かに嫌だな・・・まあ、良い」
意外にもあっさりと座らせてもらえた。恨みはありつつも、仲間だと認識しているからだろうか。
「一応仲間という肩書きではあるが、勘違いはするなよ?私はお前達を恨んでいるいる事をな」
「にも関わらず冷静だな。左腕も奪ったのに」
「正々堂々の勝負の末の結果だ。卑怯な手だったら話はまた別だがな。それに、だ。腕に関しては問題ないからな」
見せつけてきたのは、金属製の義手。しかも、指先までまるで本物の手のように動いている。微量ながらも魔力を感じることから、科学ではなく、魔法で動いている事が分かる。
「これこそがアレクサンダーの最新技術っ!!お前の母国はこのような素晴らしい物を作る国を滅ぼそうとしているのだぞ?恥を知れ!恥を」
「・・・なあ、その腕。もらえないか?」
この義手さえあれば、パルスさんは再び冒険者として戦えるかもしれない。そう思ったのだが────。
「断るっ!!」
「えぇ・・・」
キッパリと断られてしまった。
31
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
最強の回復魔法で、レベルアップ無双! 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります
おーちゃん
ファンタジー
俺は勇者パーティーに加入していて、勇者サリオス、大魔導士ジェンティル、剣士ムジカの3人パーティーの雑用係。雑用係で頑張る毎日であったものの、ある日勇者サリオスから殺されそうになる。俺を殺すのかよ!! もう役に立たないので、追放する気だったらしい。ダンジョンで殺される時に運良く命は助かる。ヒール魔法だけで冒険者として成り上がっていく。勇者サリオスに命を狙われつつも、生き延びていき、やがて俺のレベルは異常な速度で上がり、成長する。猫人、エルフ、ドワーフ族の女の子たちを仲間にしていきます。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
異世界転生したので、のんびり冒険したい!
藤なごみ
ファンタジー
アラサーのサラリーマンのサトーは、仕事帰りに道端にいた白い子犬を撫でていた所、事故に巻き込まれてしまい死んでしまった。
実は神様の眷属だった白い子犬にサトーの魂を神様の所に連れて行かれた事により、現世からの輪廻から外れてしまう。
そこで神様からお詫びとして異世界転生を進められ、異世界で生きて行く事になる。
異世界で冒険者をする事になったサトーだか、冒険者登録する前に王族を助けた事により、本人の意図とは関係なく様々な事件に巻き込まれていく。
貴族のしがらみに加えて、異世界を股にかける犯罪組織にも顔を覚えられ、悪戦苦闘する日々。
ちょっとチート気味な仲間に囲まれながらも、チームの頭脳としてサトーは事件に立ち向かって行きます。
いつか訪れるだろうのんびりと冒険をする事が出来る日々を目指して!
……何時になったらのんびり冒険できるのかな?
小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しました(20220930)
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる