上 下
102 / 341
3章 平和主義者達

101話 同じ思想

しおりを挟む
「母さんから聞いてたが、随分とガタイが良くなったな。ほとんど俺と変わらないじゃないか。顔立ちは母さんよりだけどな」

「・・・・・えっと、3年ぶりだね」

「そんなにか!?俺、結構家に帰ってたんだけど・・・って帰省のタイミング合ってなかったなそういえば」

 定期的に故郷のブカの村に戻っていたけれども、父さんの言う通りすれ違いで会う事はなかった。代わりに母さんづてで俺の話が伝わっているらしいが。

「2年前、鉄球を投げて戦う冒険者がいるって噂で聞いた時にはニヤニヤが止まらなかったな!だって、俺の息子なんだもん」

 ガシガシと乱暴な頭の撫で方。しかし、何故かこれが心地よい。

「さっきの子はあれか?ファルコの友達か?それとも────」

「相棒のヘリナ先輩。ファーマーズで知り合ったんだ」

「ほう?て事は2年以上コンビを組んでたわけだ。良いね、ディーネとコンビをしていた事を思い出したよ」

「そういえば、父さんは母さんとはコンビだったんだよね。そこから恋仲に発展したと。まあ、俺は恋人というよりかはどちらかといえば依存先に近いだろうけど。」

「まあ、冒険者なんて訳あり集団だからな。かく言う俺も孤児院育ちだし」

「それは初耳。ところで父さん。この馬車はレボルスがあるトルネヒロに向かってるんだよね?」

「ああ、向かってるぞ。疑問に思うなら御者に聞いてみな」

「いや、良いよ。父さんが嘘を言っているとは思えない。そして、到着場所よりも聞きたいのは─────」

「何で、俺がこんなところにいるのか?だろ?」

 話が早くて助かる。だが、大抵の予測はついている。父さんの所属ギルドは不明。そして、レボルス行きの馬車に乗っているという事は─────」

「俺は、レボルスの構成員だ」

「・・・だと思った。もしかして圧力をかけたのも父さん?」

「圧力?ああ、ファルコをレボルスに移籍させようとした事を言ってるのか?あれは圧力じゃないって」

 いや、トレッドオーナーの話を聞く限り、限りなく圧力に近かったんだけども。

「実はだな、知り合いからファルコが俺と同じ思想を持っているが分かってな。そして、目標も同じときた。だったら、同じ思想を持つ者が集まる場所に移籍させた方がいいんじゃないかって思ってさ」

「同じ思想?俺と父さんが?」

 父さんは何も言わずに俺に近づくと、両手で顔を掴み真剣な眼差しを俺に向けてきた。

「ファルコ、お前はこの戦争を平和的に終わらせたいんだろう?」

「ッッ・・・!!」

 思わず俺は父さんを凝視してしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強の回復魔法で、レベルアップ無双! 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります

おーちゃん
ファンタジー
俺は勇者パーティーに加入していて、勇者サリオス、大魔導士ジェンティル、剣士ムジカの3人パーティーの雑用係。雑用係で頑張る毎日であったものの、ある日勇者サリオスから殺されそうになる。俺を殺すのかよ!! もう役に立たないので、追放する気だったらしい。ダンジョンで殺される時に運良く命は助かる。ヒール魔法だけで冒険者として成り上がっていく。勇者サリオスに命を狙われつつも、生き延びていき、やがて俺のレベルは異常な速度で上がり、成長する。猫人、エルフ、ドワーフ族の女の子たちを仲間にしていきます。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ
ファンタジー
アラサーのサラリーマンのサトーは、仕事帰りに道端にいた白い子犬を撫でていた所、事故に巻き込まれてしまい死んでしまった。 実は神様の眷属だった白い子犬にサトーの魂を神様の所に連れて行かれた事により、現世からの輪廻から外れてしまう。 そこで神様からお詫びとして異世界転生を進められ、異世界で生きて行く事になる。 異世界で冒険者をする事になったサトーだか、冒険者登録する前に王族を助けた事により、本人の意図とは関係なく様々な事件に巻き込まれていく。 貴族のしがらみに加えて、異世界を股にかける犯罪組織にも顔を覚えられ、悪戦苦闘する日々。 ちょっとチート気味な仲間に囲まれながらも、チームの頭脳としてサトーは事件に立ち向かって行きます。 いつか訪れるだろうのんびりと冒険をする事が出来る日々を目指して! ……何時になったらのんびり冒険できるのかな? 小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しました(20220930)

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...