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1章 投げる冒険者

43話 遊ぼ遊ボアソボ

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「グリフォン・・・・いや、ライ・フィート」

「エヘヘ、覚エテテクレテタ。嬉シイ!」

 翼をはためかせ、喜びを表現する。俺の推測は当たってしまったらしい。何故、嫌な事で予測が当たってしまうのだろうか。

 そして、フォーク村で話した時からそうだったが、精神年齢がだいぶ下がっている。魔物になった影響だろうか?

「俺も貴方とこうやって話せて嬉しいです」

「ウン!僕モ!!皆、遊ンデクレナイカラ、ツマラナカッタンダ」

「・・・ウィート家の人は?」

「鬼ゴッコデ遊ンダンダ!!イキナリ始メルカラビックリシタケド、全員捕マエタンダ!!ケド、一回遊ンダキリデ、皆寝チャッタンダ・・・」

 そう語るライさんの声は、非常に悲しそうだった。彼は、快楽が理由で殺していたわけではなかったんだ。ただただ遊んでくれる友達を探していただけなんだと、ここでようやく気付けた。

「・・・それで、最近は遊んでくれる人を探してたのか」

「ウン!!ファルコは遊ンデクレル?」

「ああ・・・遊んでやるよ。死ぬまでな」

「ソッカ!ソッカ!!ソッカァァァァァァ!!シネ!シネ!シネェ!!」

 グリフォンとしての本能が表に出てきたのだろうか。爪を剥き出しにして、襲ってくる。先程と変わらない爪攻撃。攻撃力や体力は圧倒的にグリフォンが上だが、精神年齢も相まって単調で避けやすい。

「クルルルルルァァァァァァァァ!!」

 部屋は小さい円型で直径は6mしかない。眠るには最適かもしれないが、戦うにはちと狭い。俺にとっては狭すぎる。

 狭いということも相まって、あっと言う間に壁まで追い詰められる。もう後退して避けられない。

「シネ!!」

 爪が上から降ってくる。既に後ろには下がれないが、前には行ける。意を決して俺は、グリフォンの方へと飛び込み、腹の下に滑り入った。

 目標を失った爪は、俺ではなく、目の前にある壁を破壊する。

「よっと!!」

 腹の下にいたら、潰されるのですぐに転がって腹の下から脱出。再び距離を取って爪攻撃を避け始める。そして、壁に到達したら、再び壁沿いまで来たら、腹の下に潜り込んで壁を破壊させる。

 これを十数回繰り返した後、氷の魔法で足と足元を凍らせて身動きを取れなくさせる。しかし、咄嗟に放った為、しっかりと魔力は練れていないし、そもそも使った魔力の量も少ないので、すぐに拘束は解けてしまうだろう。

 しかし、それで良い。元から完全に身動きを取れなくさせるなんて1ミリも考えていない。今はただ、距離を取れれば良い。

「18.44m・・・これ距離さえ取れれば俺は戦える」

 鉄球を構えた。
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