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1章 投げる冒険者

37話 調査開始

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 その日から謎の魔物の追跡が始まった。北東地域に飛ぶタイプの魔物はいない為、調査はそこまで難しくは無かった。

 まず手始めに次襲われる可能性のある村にヤマを張り、魔物の住処を特定する方法だ。

 最初こそ上手くいかず、尻尾どころか羽一枚すら掴めなかったが、調査を始めてから襲われていった村から次に襲う村を予想。

 俺の読みが正しければ、次はブカの村から近いフォーク村だろう。それにしても・・・。

「この地域、球種みたいな村名ばっかりだな」

 俺の故郷はブカで反対からカーブだし、レートはストレートだし・・・いや、ストレートは若干こじつけかな?

 フォーク村は近所という事もあり、ブカの村ととてもよく似ている。魔物から皆んなを守る兵士がいない所も共通している。そんな所まで似ていなくていいのに。

「おや、冒険者様。どうしてこんな所に?ここには魔物も盗賊も出ていませんよ?」

「ええ、ちょっと広範囲で行動している魔物の調査をしているだけです」

「噂の45人を殺した魔物ですか?う、うちの村にも来るのでしょうか?」

「ブカの村が襲われたんです。可能性はないわけではありません」

 すでに依頼が始まってから6日が経過した。まだ、見つけてすらいない間に、謎の魔物は既に6人もの被害者を出してしまった。1日に1人の計算だ。中には帰省していた冒険者もいたらしい。

 日に日に後悔と罪悪感が募っていくが、何も得られていないわけではない。謎の魔物の特徴が新たに分かった。

 謎の魔物は、一回襲うごとに1人しか殺さないらしい。そして殺したら別の村に行く為、同じ村が連続で襲われる事はないのだとか。

 北東にある町や村が多い事もあってか、まだ謎の魔物は全部の町や村を襲ったわけではないらしい。つまりは、襲撃1周目というわけだ。

 そして、襲われていないのは、このフォーク村を含めた3つの村となる。フォーク村を選んだ理由は、前に襲われたん村から。

 そして、母さんの言うとおり、謎の魔物は夜に現れて、人を殺す。つまりは昼間のうちは安全というわけだ。

「我々は、非難した方が良いでしょうか?」

「構いませんが、相手はまるで正体が分からない魔物です。もしかしたら、人間に匹敵する知能を持っているかも。そしたら、どうなると思います?」

「おおお追いかけて殺される・・・」

「はい、そうです。ああ、でも心配しないでください。今のはあくまで俺の推測ですので。ハハッ!!」

「ハ、ハハ!そうですか!ハハハハハ!!」

 ちょっと笑えない冗談をかましてしまった。村人の笑みが引き攣っている。

 まだ、太陽は沈まない。夜に備えて寝るとしよう。
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