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1章 投げる冒険者
15話 頭を砕く一撃
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「うわぁぁぁ!!助け・・・!!」
複数体のコボルトに群がられた同期達が次々と殺されていく。残された新人冒険者の人数は私を含めて5人。
そして、生き残りはコボルトに四方八方で囲まれて逃げ出せない状態だ。
楽しむようにジリジリと距離を詰めてくるコボルト。少し前までは怒っていたのに、今は楽しみの笑みを浮かべている。勝ちを確信したからだろう。
森に入ってからどのくらいが経った?既に数時間が経っているような感じがするが、襲われて時間感覚が狂ってしまっているような気がする。
「こんな事になるならオーナーと一緒に来るんだった・・・」
アタシ達が舐めていたあの球投げ野郎。アイツはアタシ達に続くことはなかった。あれは、やたら無闇に突っ込んだらこうなる事を分かっていたんだ。それを話してもアタシ達が言う事を聞かないことも理解していた。
バカは真っ先に死んだ大剣の奴と、それについて行ってしまったアタシ達だ。コボルトがナイフを逆手に持ち、飛びかかってくる。
ダメだと分かっているのに、反射と恐怖で目を瞑ってしまう。今から殺されるというのに・・・。
「あれ?」
しかし、何秒経ってもコボルトに刺される事も噛まれる事も無かった為、ゆっくりと目を開けて確認すると、アタシに襲い掛かろうとしていたコボルトはいなかった。
突然いなくなったコボルトに驚きを隠せなかったけど、コボルトを含めた全員の目線でどこに行ったのか分かった。アタシに飛びかかろうとしていたコボルトは、木に激突して頭から血を流して倒れていた。
顔には、丸型の凹みができており、その近くには、あの球遊び野郎の鉄球が落ちていた。
いきなりの展開に固まる一同。コボルトすらも硬直している状況を、彼は決して見逃さなかった。
「オラァッ!!」
「ギャアッ!!」
鉄球に気合いと力が加わる。150グラムと比較的軽い鉄球は、アタシが目で追うのもやっとの速度で飛んできて、近くのコボルトの頭を粉砕した。
人の手で鉄球を投げただけなのに、生き物の頭を粉砕した?近距離武器のハンマーならまだ分かるが、20mほど離れたところから投げた球が?
「あ、有り得ない・・・人間があんな速度を出すだなんて・・・」
少なくとも時速140キロは出ていた。弓矢ならともかく、タネも仕掛けもない人間の体1つであんな破壊力が・・・。
「そんな事はどうだって良いだろう!?今がチャンスだ!押し切るぞ!!」
「ッ!!・・・わ、分かってるわよ!!」
どんな理屈かは分からないけれども、あの球遊び野郎のおかげで再びこちらが優勢になったのは事実。ここで仕留め切らなければ・・・。
せっかくのチャンスを失わないように、魔力が空になるまで魔法を使い続けた。
複数体のコボルトに群がられた同期達が次々と殺されていく。残された新人冒険者の人数は私を含めて5人。
そして、生き残りはコボルトに四方八方で囲まれて逃げ出せない状態だ。
楽しむようにジリジリと距離を詰めてくるコボルト。少し前までは怒っていたのに、今は楽しみの笑みを浮かべている。勝ちを確信したからだろう。
森に入ってからどのくらいが経った?既に数時間が経っているような感じがするが、襲われて時間感覚が狂ってしまっているような気がする。
「こんな事になるならオーナーと一緒に来るんだった・・・」
アタシ達が舐めていたあの球投げ野郎。アイツはアタシ達に続くことはなかった。あれは、やたら無闇に突っ込んだらこうなる事を分かっていたんだ。それを話してもアタシ達が言う事を聞かないことも理解していた。
バカは真っ先に死んだ大剣の奴と、それについて行ってしまったアタシ達だ。コボルトがナイフを逆手に持ち、飛びかかってくる。
ダメだと分かっているのに、反射と恐怖で目を瞑ってしまう。今から殺されるというのに・・・。
「あれ?」
しかし、何秒経ってもコボルトに刺される事も噛まれる事も無かった為、ゆっくりと目を開けて確認すると、アタシに襲い掛かろうとしていたコボルトはいなかった。
突然いなくなったコボルトに驚きを隠せなかったけど、コボルトを含めた全員の目線でどこに行ったのか分かった。アタシに飛びかかろうとしていたコボルトは、木に激突して頭から血を流して倒れていた。
顔には、丸型の凹みができており、その近くには、あの球遊び野郎の鉄球が落ちていた。
いきなりの展開に固まる一同。コボルトすらも硬直している状況を、彼は決して見逃さなかった。
「オラァッ!!」
「ギャアッ!!」
鉄球に気合いと力が加わる。150グラムと比較的軽い鉄球は、アタシが目で追うのもやっとの速度で飛んできて、近くのコボルトの頭を粉砕した。
人の手で鉄球を投げただけなのに、生き物の頭を粉砕した?近距離武器のハンマーならまだ分かるが、20mほど離れたところから投げた球が?
「あ、有り得ない・・・人間があんな速度を出すだなんて・・・」
少なくとも時速140キロは出ていた。弓矢ならともかく、タネも仕掛けもない人間の体1つであんな破壊力が・・・。
「そんな事はどうだって良いだろう!?今がチャンスだ!押し切るぞ!!」
「ッ!!・・・わ、分かってるわよ!!」
どんな理屈かは分からないけれども、あの球遊び野郎のおかげで再びこちらが優勢になったのは事実。ここで仕留め切らなければ・・・。
せっかくのチャンスを失わないように、魔力が空になるまで魔法を使い続けた。
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